見出し画像

1兆円を盗んだ男

仮想通貨FTXを立ち上げた、サム・バンクマン・フリードの物語で、本屋に山積みになっていたので買ってきました〜

無限のドル」が必要な理由は、地球上のあらゆる生命の存亡にかかわるリスクを解決したいから

暗号資産に対する熱狂は、1637年ごろのアムステルダムを彷彿させた。当時はチューリップの球根1個が、レンブラントの3倍の価格で取引されていた。FTXで取引される暗号資産の規模も、日に日に膨らんでいた

サムは、神やサンタクロースに対する広範な信仰から、ひとつの結論を導き出した。ほぼ誰もが何かについて明らかな間違いを犯す可能性がある。「集団妄想というのは、結局のところ、世界で普遍的に見られる現象」

すごく親しい人がさほど多くなかったために、特定の誰かではなく、すべての人々に関心を持つことが自然になった。大事でない人などいない、だから誰のことも同じように気にかけよう、というのがサムのデフォルトの考え方だった」

時間のプレッシャーは自分に有利だと考えた。プレッシャーに強いのではなく、プレッシャーを感じない。時間制限があるとふだんよりもうまくやるというわけではないが、他の人々のように悪くなるということはなかった

誰かがあなたとギャンブルしたい、あるいは取引したいと思うとき、たいていは理由がある。彼らはあなたが知らない何かを知っているから。誰かに賭けを持ちかけられたとき、最初にしなければならないのは、その相手が知っているかもしれないことを見逃していないか確認すること

感情を伝えられないせいで、他人との間に距離ができていることはずっとわかっていた。感情を抱かないからといって、それを伝えられないわけではない

ボットが買った後に株を買ったり、ボットが売ったあとに株を買うことによって、ちょっとした財産を築いた。「他人の愚かなアルゴリズムをリバースエンジニアリングしていたというわけ」とサムは言う

本当に感謝するためには、喜びや親近感、高揚感といったものを、心で、腹で、頭で感じなければならない」とサムは書いている。「しかし僕はそれを感じない。何も感じない。少なくとも、いいことも何も。サムは喜びも、愛も、誇りも、献身も感じない。その瞬間のぎこちなさを感じている。適切なリアクションをとらなければ、彼らを愛していると示さなければ、というプレッシャー。しかし、サムはそうしない。そうすることができないから」

本来確率的な状況が、事後的に白か黒か、善か悪か、正しいか間違っているかと解釈されるのが嫌いだった。サムの人生に対するアプローチが多くの人々と異なっていた点は、確率を割り出してそれに基づいて行動しようとする意識と、事実が明らかになったあとで実はもっと知り得たはずだと幻想に振り回されるのを拒否する姿勢にあった

ビットコインは「電子コイン」である。「プルーフ・オブ・ワーク・チェーン」と呼ばれる公開台帳の上に存在する。ある人から別の人へと送金されるたびに、その真正性がプログラマーによって検証される。検証したプログラマーが、その取引を公開台帳に追記する。そうしたプログラマーが「マイナー(採掘者)」と呼ばれるようになる

彼らは効果的利他主義者にはならないだろう。人間の本質に利他主義が存在するのか確信がなかった。しかし彼らは効果的利他主義者たちを心から気に入っていた

効果的利他主義者であることは、2つの部分がある。ひとつは結果主義で、もつひとつは個人的な犠牲

サムはFTXで達成したいと思っているほどの効果を生んだマーケティングキャンペーンがいかに少ないかを指摘した。彼が成功したと考えたのは次の3つしかなかった

1.Yes we can : バラク・オバマ
2.just do it : ナイキ
3.Think different : アップル

サムは、なぜ人々が自分を信用しないのかわかっていない。人は、彼が他人をボードゲーム上の駒のように扱っているのが、すぐにわかる

サムが行ったAI関連企業への投資を挙げた。「アンソロピックという会社に5億ドルも投資している。アイデアだけしかない連中だ。実態がない」しかし数週間後、Google、スパーク・キャピタル他数社がアンソロピックに4億5000万ドルを出資した。これにより、サムが5億で買ったアンソロピック株は、価値が8億ドルへ跳ね上がった

効果的利他主義(EA:Effective Altruism)」
限られたリソースを最も「効果的」に活用することで、他者の幸福を最大化することを目指すという考え方。1970年代に哲学者ピーター・シンガーが唱えた「浅い池」と呼ばれる思考実験が基になっている

クリプトとは「隠された」や「秘密の」を意味する古代ギリシャ語のクリプトス(kryptos)に語源を持つ接頭辞で、それに「書く」という意味のグラフィア(graphia)が続くことで、暗号学暗号化技術を意味する「クリプトグラフィー」という単語が生まれた

サムがどのようにして育ち、暗号資産のFTXを立ち上げ資産を増やしていったかがよく分かり、めちゃくちゃ面白い物語なので、とてもおすすめな1冊です。映画とかになりそうです


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?