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意思決定の理論と技法

アカデミア仲間におすすめされたので、ちょっと古い本でしたが読んでみました〜。意思決定に関してとても参考になる本です。

建設的不安とは、今後進むべき方向について、打つべき手は打った。その結果がどうなるかは、不確実性の下での方向性の決定である以上、必ず良い結果が出るという保証はない。そうはいっても、やはり結果についての不安は残る。

非建設的不安は、自らの置かれた状況の枠組みや環境条件に対する不安であり、その原因は自分にはなく与えられた環境条件のほうにある、という受け止め方。

ディシジョン・マインドの第一歩は「だれかのせいでこうなった」ではなく、「それは自分の責任だ。自分で決めたのだから( It's up to me )」という心構えを持つこと。

ディシジョン・マインドを持つと、「自分たちには何ができるか、何を達成したいか」という前向きな発想になってくる。意思決定者としての経営者のメンタリティへ

たまたままぐれ当たり的に成功した人たちがその結果のみ高い評価を受けると、今後は逆に「運がすべてなら努力のしようがない。それならば大きなことを言った方が得だ」という無責任なリスクテーキングが横行する恐れがある。バブル期のさまざまな投資パターン。

戦略とは、事業・企業の長期的業績に大きな影響を与える複数の意思決定の総体

ディシジョン・マネジメント 6要素
1.的確なフレーム
2.創造的かつ実行可能な戦略代替案
3.有用かつ信頼性の高い情報
4.明確な価値判断基準
5.明快かつ正しいロジック
6.実行への関係者全体のコミットメント

暗黙のフレームの罠
ある状況が出現するとき、気が付かないうちに特定のフレームを受け入れる。そのフレームの中で戦略を立てたりアクションを起こしたりする。間違った基盤の上で意思決定していまう。

フレーミング (枠組みづくり)
この方法論を用いたプロセスの中で最も難しい部分である。極めて人間的な、人間にしかできない深い洞察力を必要とする作業

先入観を排除して柔軟に考えれば、創造的思考はそれほど難しいことではない。思いつくままにアイデアを出し合う。(アイデア・ジェネレーション)ばかげたアイデアだと内心は思っても口にせず、アイデアのどこか良いところを発展させられないかと発想することが重要。

創造性を刺激するために、見方、立場を変えて考えるためのテクニック
1.「悪魔の申し子」からの質問
2.ロールプレイング
3.バックキャスティング / タイムマシン
4.こじつけ

商品性能の特徴を顧客の真のニーズの観点から明確に理解することにより、より良い商品のアイデアを創造しやすくなる。

有用かつ信頼性の高い情報収集は、我々が必要としているのは意思決定のための情報である。

だれも未来のことを確実に知ることはできない。しかし、知るための努力をする意志とそれを実行に移す能力を持った人には、ある程度の精度で未来の事象を予測・判断することができる。

事業の初期段階では、とにかく成功させるという意気込みと、できるだけ早くさまざまなやり方を試したり、広く情報を集めて「だめなものなら早く分かった方が良い。失敗するなら傷が浅く初期段階の方が良い」というメンタリティが重要。

不確実項目に関する確率による数値化は、大きいときは◯◯ぐらい、小さいときは△△ぐらい。重要なのは「だいたい正しい ( approximately right)」ことのほうが「きっちりとした1点予測をして外す (precisely wrong)」よりもはるかに良い

ある事業から撤退することで会社のハイテクイメージに傷がつき、それによって優秀なエンジニアの採用に支障をきたし、他の事業に影響を及ぼす。優秀なエンジニアが何んでとれ、どこまで減るかを考えるべき。赤字を継続する以外のオプションはあるのか?どれくらいコスト投資が必要か?具体的な検討を行う。定量的に捉える。

過去の戦略や意思決定を振り返って「反省」をして、これからの戦略策定や意思決定、また実行に役立つ教訓や学習事項を引き出すことは有益。

何がこの製品の「売り」なのか、それは潜在顧客にとってどんなメリットがあるのか、彼らは現在そのメリットが世の中に存在しないことでどの程度不便ないし不満なのか、それかを考えると潜在市場および対象となる顧客群はどのように想定されるか、それに対してこの製品はどのような速さで、どの程度まで浸透していくか、という形で市場をとらえていく。

インフルエンス・ダイヤグラム
1.戦略的マネジメント課題を把握し関係者間で共有化するときのコミュニケーション・ツールになる。
2.定量的な分析のための一種の設計図・青写真

エクセナチュラルあり(With) と、エクセナチュラルなし(Without)の事業価値の差を定義して、売上高、コストなど分析していく
事業のトータルをWithとWithoutの2つの場合に分けて考え、差をとり新規投入によって生み出される価値を正確に測定できる。

トップマネジメントとして、「偉大なる案件決裁マネジャー」や「スーパー・エキスパート」として腕を振るうより、「ディシジョン・クオリティ向上のリーダーシップ」をとったほうが、企業の価値創造におけるアウトプット量はずっと大きくなる。

戦略立案・実施プロセス
1.Access ビジネス環境の状況把握
2.Develop 戦略代替案の創出
3.Evaluate 戦略代替案のリスク/リターン評価
4.Decide 意思決定
5.Plan 実行計画の策定
6.Implement 戦略の実施と成果の達成

企業としての理想形は、まず、時間という自分にとっての最大の経営資源を強く意識し、それに対するアウトプット(顧客、社会、会社に対する貢献)を考えてメリハリの効いた仕事や意思決定を行うプロフェッショナルとしての個人がおり、個人の利害が会社のマネジメントの方向と一致すること。

意思決定を行うのに、さまざまなテクニックを具体的な事例ケースで分かりやすく解説していて、とても参考になる1冊でおすすめです。



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