欧州サッカーショートレポート#1

今までは一試合に特化して分析していましたが、年末年始にかけて立て込んでいるため今回からしばらくの間は週末に見た試合の中で印象に残った試合の部分的な分析をしていきたいと思います。

プレミアリーグ#12 リバプールvsアーセナル    (4-0)

この試合のスタメンと初期配置は図のようになっていました。

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アーセナルの前プレ

この試合のアーセナルが行ったリバプールのビルドアップの対応方法は、前から人を当てたプレスでした。

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まずオバメヤンとラカゼットの2トップがタテ関係となり、オバメヤンがマティプ、ラカゼットがファビーニョにマークをつくことになります。

これにより基本的にリバプールのGKからのビルドアップではアリソンからファンダイクにパスが出されて始まり、リバプールのビルドアップは左からが中心となりました。

最初はフリーのファンダイクにはボールを持つと、サカが右外から中に絞ってプレッシャーをかけてできるだけ選択肢を制限していました。

そして、サイドのツィミカスには冨安がタテすらして対応していました。

これに連動して残りの最終ライン3人は右にスライドして3トップに3人で対応するようにしていました。

アーセナルは4バックをスライドさせて前からマンツーマンプレスを行おうとするという超攻撃的な守備展開しました。

開幕当初にあったチェルシー、マンチェスターシティのどちらの試合も最終ラインのスライドでプレスをかけようとしていましたが、今回も同じような守備の狙いを持ってこの試合に臨んできました。しかし今回の一番の変化は開幕当初からの最終ラインの質の向上です。冨安、ホワイト、マガリャンイスという守備のスペックが高い選手がいるのでこの守備を行えましたし、簡単に崩されることはありませんでした。

しかしこのプレスへの対応をリバプールが行いました。そしてこの対応によりアーセナルは失点してしまいました。

リバプールの対応

リバプールはアーセナルのマンツーマンプレスに、ツィミカスの上がった後ろにチアゴがクロースロールで下がるという対応をしました。

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本来リバプールのIHにはアーセナルのCHがそれぞれ対応することになっていました。しかしここまで下がられるとトーマスとしては、ライン間にスペースをつくってしまうため出ていけません。このようにチアゴがビルドアップの出口になっていました。

またジョタのゼロトップなひいてボールを受ける動きもボールを前進させるために役立っていました。

チアゴが下がるようになると、アーセナルもトーマスにそのままついて行かせて対応しました。しかし、ここにも問題が生じました。

それは当然ですが、ライン間にいるのが片方のCH1人だけになってしまうということです。

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この試合の3,4失点目はライン間にボールが入ったことが原因でした。

3点目はサイドのツィミカスからライン間に入ったボールがジョタに渡り、ワンタッチでスルーパスを出されてしまう。(ツィミカスにボールが出たときに冨安の対応が一瞬遅れて中に入れさせてしまったという要素もある。またCBを消されたときに浮いていたSBにフィードを出せるアリソンの技術の高さも要因の一つではあるが、ライン間の管理が2CHでできていたらジョタには対応できていたと思うので、チアゴに対応したことで発生した現象と考えた。)

4失点目もCHがトーマス1人になり、南野が降りてボールを受けようとしてトーマスが南野に引き付けられた。そしてトーマスの横にヘンダーソンが入りボールをライン間で受けターンして攻撃の起点となった。スミスロウが中に絞って対応しようとしていたが、間に合わなかった。CH1人に対して2人でライン間を攻めるクレバーな攻め方だと思いました。

まとめ

アーセナルはしっかりリバプールを守備で困らせようと準備はしてきました。しかしリバプールは前述した守備への対応(チアゴのクロースロール)を行いました。アーセナルもリバプールの対応の対応をしました。しかしアーセナルのその対応によりできる守備の穴(ライン間にCH1人では管理しきれない広大なスペース)をついていくリバプールはとてつもなく強いチームだと思いました。


ラ・リーガ#14 バルセロナvsエスパニョール(1-0)

この試合を取り上げた理由はなんと言ってもバルサのレジェンドであるチャビがバルサの監督として帰還しどのようなサッカーをするのか気になったからです。

今回はバルサの攻撃について説明します。

バルサの攻撃時の配置は下図のようでした。

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4123で臨んだこの試合は図のように選手の配置を変化させないやり方と下図の左サイドの3人(ガビ、デヨンク、アルバ)を流動的にしたやり方がありました。

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このどちらの陣形も共通していることは、5レーンをとれている事と右サイドの幅はWG、ハーフバイタルはIHがとるということです。

バルベルデが解任されて以降バルサの監督になったセティエン、クーマンはどちらも5レーンをとれずに取りこぼす試合がありました。しかし、チャビはしっかり攻撃がうまくいく配置を仕込んできました。

そして右サイドについてです。右SBのミンゲサはそれほど攻撃が得意ではありませんなのでSBで使うならば、守備専用の役割を与えた方がうまくいきます。今回スタメンで使われたミンゲサはサイドをオーバーラップすることはなく、ほとんど右サイドの低い位置に居ました。これはチャビが選手の特性を理解している証拠だと思います。

しかし現在のバルサで右の幅をとれる右WGはいません。デンベレが在籍はしていますが、監督としてはまり使う気になる選手ではないと思います。したがって、今回は若い2人が前後半で1人ずつ使われたのでしょう。

私は右WGにセルジロベルトを起用してサイドの幅をとらせればいいのかなと思います。そして右SBにCBタイプの選手(図ではガルシアにしてCBにラングレをいれました)を起用すれば、まだ未知数で成長過程にある若手に頼るよりもクオリティが高いサッカーができると思います。

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チャビバルサを見ていて思ったことは、IHがかなり背後を意識しているということです。CBがオープンだとかなり頻繁にニコとデヨンクはウラに抜けようとする動きをしていました。これはデパイがCBに対応されても得点がとれるようにIHに得点の役割も期待しているのと、ライン間にスペースをつくる狙いがあると思います。


まとめ

今回は2試合のショートレポートを書きましたがいかがだったでしょうか。

普段と違い複数の試合を紹介することができるので、サッカーの奥深さを感じることができたのではないでしょうか。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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