フットボールショートレポート#2チャビバルサの行方

今回分析するのはラ・リーガ第15節ビジャレアルとバルセロナの一戦です。

スタメン

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ビジャレアルの守備とバルセロナのビルドアップ

今節のバルサは苦しめられ、何とか勝ち点3を手に入れた試合でした。

その原因はビジャレアルによりGKからのビルドアップが思い通りにできなかったからです。

そのビジャレアルの守備は下図のようです。

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CBには2トップ、SBにはSHが対応し、ブスケツにはパレホ、ニコにはキャプ―、そしてデヨンクにはボールが入りそうになるとパウが前に出たり、モイゴメスが中に絞って警戒していました。パウがデヨンクのマークに出るときは基本的にボールが右サイドにありガルシアなどが持っているときです。左サイドにあればモイゴメスが絞ってマークしていました。

このようにバルサのビルドアップをマンマークで近場に出せないように守備をしていました。これによりバルサは前線へのロングボールが増えてしまいました。バルサの前線はロングボールをおさめることが得意な選手がいないためほとんど攻撃にはつながりませんでした。

ではこのような状況をどのように打開すべきだったのでしょうか。

まずは、ロングボールの使い方です。

前述しましたがデヨンクにボールが入りそうになるとパウが前に出ます。

するとビジャレアルのDFラインにはスペースができます。そこをメンフィスやアブデが走ってそこを狙ってテアがフィードを蹴るということが有効だと思いました。

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88分の勝ち越しゴールは、テアシュテーゲンがパウの空けたスペースを狙ってフィードを蹴りました。そしてパウの背後をケアしたエストゥピニャンの判断ミスが起点となったゴールでした。パウの後ろをテアシュテーゲンのフィードで狙う攻撃はこの一回くらいでしたのでおそらく偶然でしょうが、ビジャレアルの守備の弱点をついた攻撃となりました。

そしてもう一つはサイドチェンジです。

バルサはサイドチェンジ、特に左から右へのチェンジをもっと有効に使うべきでした。なぜなら、これも前述しましたが左にボールがあるときモイゴメスがデヨンクに対応するために中に絞っているからです。

それによりガルシアにボールが渡るとモイゴメスが寄せてくるまで時間ができ、そこから外のアブデ、アブデに対応するペドロサが出て来ます。そしてペドロサとパウの間にデヨンクなどが出て行けばビジャレアルの守備を崩せたと思います。

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ピケからガルシアへのサイドチェンジはこの試合多くあり、意図的に行っているということはわかりました。しかしガルシアのボールを受けるアブデのポジショニングが良くありませんでした。またガルシア自身もボールを受ける位置が外に出すぎていました。サイドに大きく広がるのではなく、アラウホの横あたりでボールを受ければモイゴメスとの距離が広がるため時間的に余裕を持てたと思います。

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上図はガルシアがボールを持ったシーンですが、アブデはペドロサとの距離が近すぎました。それにとりアブデにボールが出ても前向きになる余裕はありませんし、ペドロサとパウのスペースを広げることもできません。

アブデにはもう一つ上の図のようにファジーゾーンでボールを受けるべきでした。

4123への固執?

しかし、この右WGが高い位置に居すぎてしまう問題は前節からなのでチャビが問題に気づいていないか、WGのポジショニングはサイドの高い位置に居ることが重要と考えている可能性があります。そしてチャビは4123の配置にこだわり過ぎているのかもしれません。

前節のエスパニョールは基本的にブロックを構えて守備を行ってバルサとしては余裕を持ってボールを持つことができました。

しかし、今節は前述したようにハイプレスを受け思い通りのビルドアップができていませんでした。この状態は90分通して変わりませんでした。つまりビジャレアルのプレスに対して修正を行わず、テアシュテーゲンやSBから前線へロングボールを使うことを問題と思っていなかった可能性があります。この私の予想が的中していたらチャビがバルサ復権を成し遂げられるのか疑問符が付きました。

もし自陣からビルドアップを行うことを望むならば下図のように修正すべきでした。

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完全に4バックがはめられていたので配置を動かすことで敵のマークに迷いを生じさせます。アルバを高い位置、ガビを内側へ移動させトリゲロスの横にニコをおろす可変です。

ビジャレアルはエメリが監督のため、アルバの上がりにはWGであるピノがそのまま対応することが予想されます。それによりニコがフリーでボールを持てるはずです。仮にキャプ―が付いてくるのであれば、ライン間にスペースができるためそこへフィードすれば、ビジャレアルプレッシャーをはずすことができます。テアシュテーゲンならばガビやメンフィスの足元を狙ってのキックを入れることは可能なはずです。

ガルシアの守備タスク

続いてビジャレアルの攻撃に対するバルサの守備の仕方を説明します。

ビジャレアルの攻撃時の配置は下図のようになります。

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左WGのモイゴメスが内側に入り、その分空いた外のスペースを左SBのペドラサが使うという形です。

それに対するバルサの対応は、モイゴメスに対してガルシアはマークを受け渡すのではなくそのままマークに付いて対応していました。

2CBは2トップ、IHがCHにそれぞれ対応することになっていたのでマークを預けることができる見方がいない状況だったため当然の事かもしれません。

そしてオーバーラップしてくるペドラサにはアブデが下がって対応していました。しかし、アブデはWGであり守備対応には難があり簡単に背後を取られてしまうシーンが多かったです。

さらにバルサは4141で守備を行うためビジャレアルの攻撃をうまく守れていませんでした。

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上図を詳しく説明します。

まずビジャレアルCBにはメンフィスのみの対応になるためCBの片方は必ずフリーになります。パスの配給がうまいパウがフリーになってオープンな状態やドライブできる状況ができてしまうとかなりいいボールがライン間や背後に走ったペドロサなどに通されていました。

またバルサのIHはビジャレアルCHに対して前から捕まえるようにして対応していました。そのためブスケツ1人が中盤に残る形となりライン間にスペースができていました。これが、パウにライン間のパスを通されていた原因です。

しかし後半からはメンフィスがCB2人に対応するのではなくパウを意識して守備を行っていました。GKからのリスタート時はパウの方にマークしてアルビオルをフリーにしたり、パウがボールを持てばすぐにプレスに行くなど前半の反省を活かして後半修正していました。

ビジャレアルとしては前半から意図的にパウからのライン間への配給やアブデの背後を狙う攻撃ができたら試合を攻勢に進められていたかもしれません。

まとめ

今節では何とか勝ち点3をとりチャビが就任してからリーグ戦で連勝をかざることができました。しかし、攻守両面ではまだまだ問題があります。

とくにプレスを受けた際のビルドアップの修正には問題がありました。これがただの私の誤解で次節以降には解決されるのか、それとも解決されずに再び自陣からロングボールを多用する攻撃に陥ってしまうのか気になるところです。

個人的な願望ですがチャビにはしっかり修正していってほしいです。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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