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評判よりずっと面白い『アスダル年代記』

超大作としてさんざん宣伝されてた割には、韓国では、視聴率が振るわず、Netflixで配信されていても、あまり話題にならないドラマである。
当初はシーズン3まで行くはずが、シーズン1で結果を出せなかったせいなのか、シーズン2の制作予定もまだ決まっていないそうである。
しかし、これが見始めてみると、意外に面白かった。さすが予算をかけただけのことがあるという出来栄えのドラマだった。もし、シーズン2が始まったら、わたしなら絶対に見るけどなと思った。

同じく主演のソン・ジュンギの「ヴィンチェンツォ」があんなにヒットしているのに、なぜこちらが振るわなかったのか?
それだけに、あらかしめ、ここを知っていたら、面白く見れたかもしれない、ヒットしたかもしれないのにと惜しい点もある。

そこで、ここでは、こうやって見れば面白くなるのにということを、ネタバレなしで書くことにする。

1 古代史はファンタジーの面白さに浸ろう

このドラマは、古代史を背景にしたファンタジーであり、そこが魅力なのだから、その世界観を理解するまでは頑張ってみることをオススメする。
なにせ、馴染みのない、まさにフィクションの世界なのだから、ちゃんと説明しないといけないのだが、それが上手くできなかったのが、放映時は、視聴率が序盤から失速してしまうことになり、途中からでは、ますます話についていけなくなるという悪循環をもたらしたのかもしれない。
そこが一挙配信なので、続けて視聴すれば面白さがわかる

このドラマの世界観は、ビジュアル的には古代ファンタジーだが、それぞれの関係性はゲームの世界さながらの複雑さで、権力闘争の様相は近現代あるいは、近未来を思わせるのである。
そして、ストーリーのエピソードは、あちこちの地域の神話からとってきて、ミックスしたようなところがある。
こういうゴチャゴチャしたドラマを面白いと思うかどうかだが、わたしは面白かった。こんな架空の世界を、力業で大真面目に作れるのは、韓国ドラマならではだと思った。

しかし、これだけの予算があったのなら、いっそ、映画にした方が良かったかもしれないとも思う。

2 ソン・ジュンギの一人二役はビジュアルを楽しもう

何かと話題になったソン・ジュンギが主演だが、なかなかの熱演であった。これからも、演技派俳優としてまだまだ伸びしろがあるだろうと思われるが、このドラマでは一人二役に挑戦している。
主人公が生き別れた双子の兄弟という設定である。性格も見た目も全然違う2人というのは、それだけでドラマ性を高めるが、小説ならいざ知らず、実写版となると返って裏目に出ることもある。
見た目が同じだから、お互いに入れ替われるという、双子ならではの面白さを描くまで、まだストーリーが進んでいないのが惜しかった。

俳優なら一人二役を演じてみたいと思うだろうが、ストーリーと演出が上手くないと、成功するのは、なかなか難しいと思わされたドラマであった。
ドラマの面白さは、虚実ないまぜなところだと言われるけれど、ファンタジーは、初めから虚の世界なので、いかにも芝居に見えてしまっては、視聴者も、しらけてしまうのだが、ここは、女性よりも美しいと言われるだけあるソン・ジュンギの中性的なビジュアルを楽しむと割り切ってみた方がいい。

3 誰(の悲しみ)に焦点をあててみるか。

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写真は、ドラマのポスターだが、これを見ると、4人のうち誰が主人公なのかよくわからない。それぞれの登場時間も、あまり差がない気がする。
4人ともそれぞれ悲しみと葛藤を抱えているので、思い切ってごひいき(感情の移入先)を決めるのがいい。

ここで注目するのは、チャン・ドンゴンとキム・オクビンである。二人ともビジュアルは完璧で、重厚なセットの中で、まるでギリシア悲劇のように演じてみせる。韓国ドラマでは、あまり馴染みのないキム・オクビンであるが、その美しさは圧巻である。単なるサイドストーリーには、おさまるはずもない。

また、なかなか主人公のソン・ジュンギとヒロインのキム・ジウォンが、目立たなくて、焦点が当たりづらいのであるが、ヒロインは、いままでのドラマにはない役割を持ついい役だと思う。
このドラマのキム・ジウォンは、「太陽の末裔」のときのキャラとは、全然違うので、ソン・ジュンギとも、ソン・ヘギョより、ケミがいいのではないかと思わせる熱演であった。この人もいい女優になるだろうな。

やっぱり、配役はメリハリを考えないと、豪華スター共演というのも裏目にでてしまうこともあるのだなと思うが、それはそれなりの楽しみ方もあるだろう。

以上、惜しくもヒットにつながらなかった理由とこれを知っていたら面白く見れるポイントを書いてみたが、なんだか、かえって面白くないドラマみたいになってしまった。が、間違いなく評判よりはずっと面白い。
話題の唐田えりかも出演していて、こういう役だと、日本人俳優も違和感なく出演できるという可能性も見せてくれた。その意味で、見ないのは本当に惜しいドラマだと思う。

こんなことやあんなことがなければと、いろいろと、運の悪かったドラマなのかなとも思うが、「ヴィンチェンツォ」でソン・ジュンギにハマった皆さんには、ぜひ見ていただきたいドラマなのであった。

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