見出し画像

不惑の韓流女優シリーズ⑭イ・ミンジョン~「男と女」は韓流ドラマの「恋愛観」では割り切れない?~

わたしの独断と偏見で、「不惑」の年代の韓国女優をシリーズ化してますが、今まで取り上げた女優さんと比べると、出演作もB級ドラマが多く、いわゆる俳優の格付けからいったら、ちょっとどうなのかなってところもありますが、知名度は抜群だと思います。なんていったって、あのイ・ビョンホンの妻ですから。イ・ミンジョン、1982年生まれ。

しかし、イ・ミンジョンは、元祖韓流四天王のうち、今となっては、一番活躍していて、韓国トップ俳優となったイ・ビョンホンと結婚したにもかかわらず、ファンの嫉妬も買わず、アンチもいない、いや、むしろ、「なんで離婚しないのか」と、ネット上では同情の声さえ聞かれます。

画像1

その理由は、韓流ファンなら知ってのとおり、まだ二人が新婚の頃に起こった「イ・ビョンホン脅迫事件」が原因だと思います。
これにより、イ・ミンジョンは、浮気性な夫を持つ「かわいそうな妻」となり、それでも別れなかった「耐え忍ぶ妻」となりましたが、イ・ビョンホンは、彼のファンにさえ、「奥さんを大事にしなきゃだめよ」と言われるようになりました、..わたしの独断と偏見ですが、これって、芸能界でなくても、女としては、結構キツイ状況だと思います。

あのロマンチックな韓流の恋愛観を体現したような結婚式の後に、こんなまるで向田邦子のドラマのような世界に突き落とされることになるなんて、「現実はドラマよりも奇なり」です。

イ・ミンジョンの実家は裕福で、名家の出身といわれ、あっさり人気女優になれるほどの美貌と才能にも恵まれ、大スターのイ・ビョンホンとも結婚してと、順風満帆だったわけですが、「禍福はあざなえる縄のごとし」なわけで、先のことは、誰にもわからないものです。

イ・ミンジョンは美人ですが、でもその美貌は、なんかどこかで見たことあるような、よくある美人顔なので、他の女優と差別化ができないところがありました。没個性というほどではないにせよ、彼女じゃなきゃできない役というのはないような…一言で言えば、あまり特徴がない気がしたのです。

また、女優魂というか、演技にたいして貪欲なところもそんなに感じられず、このまま「お嬢さん女優」から「奥様女優」に変わっていくのかなと思っていました。

しかし、イ・ミンジョンは、この結婚後の苦労❓により、演技に深みが出てきたというか、なかなか存在感のある女優になってきました。
それがはっきりと認められたのがこのドラマ「一度、行ってきました」です。これは、KBSの連続ドラマで、全100話という、日本で言えば、NHKの朝ドラを大河ドラマの規模で制作しているようなドラマです。

このドラマでは、韓国版「渡る世間は鬼ばかり」とでもいうような、登場人物が歯に衣着せぬ本音をマシンガントークのように炸裂させながらストーリーを展開していきます。市場で人気のチキン店を営む夫婦と4人の子どもたちの離婚の問題をめぐる話を中心に、今そこにいる現実の家族について考えさせられるホームドラマとなっていますが、本音は言っても家庭の崩壊までは描かない、安心してみていられる人情ドラマです。そのへんも橋田ドラマに通じるものがあります。現在、wowowで放送中です。

このような長編ホームドラマでは、視聴者を共感させる本音ののぞかせ方を安定した演技力で表現する必要がありますが、イ・ミンジョンは、次女役の、離婚に直面するメインカップルの妻役として、振り切った演技を見せ、KBS演技大賞で最優秀女優賞を受賞しました。
やっぱり、ここからが、イ・ミンジョンの女優としての意地の見せどころなのではないでしょうか。

イ・ミンジョンはあるTV番組で、イ・ビョンホンについて聞かれた時、「結婚したばかりの頃、何品か料理を作って出そうとすると、お皿が全部そろう前に、一皿は平らげている夫がいた。ああ、この人は、今まで、撮影に追われていて、目で楽しんでからゆっくり食事をするという習慣がないのだなと思って、かわいそうになった」と言って、涙を流していました。

また、ドッキリ番組で、実母について聞かれ、「母は人が良すぎて、損ばっかりしている。おかあさんは怒ることがないのか?」と語った後に、彼女の母親のインタビューが映し出され、母が「あなたは、小さいころから、とてもしっかりしていたし、お父さんに似て何でもできたから、何も心配はしていないけど、それでも家を出たいと言われた時は寂しかった」という映像が流れると、思わず涙していました。

イ・ビョンホンの女性問題には、沈黙を守っているイ・ミンジョンですが、このような番組での姿を見ると、その心中は、きっと、向田邦子のドラマの世界のような、そんな複雑な感情が渦巻いている気がしてしまいます。
あくまで、わたし個人の見解ですが。

「男と女の世界」を描くとき、いわゆる「韓流恋愛観」では割り切れないし、それだけでは限界があるわけで、そろそろ向田邦子のドラマにでてくるような「男と女の世界」を描いたドラマも見てみたい気がします。
もっとも、そんなドラマは、Netflixのどこをひっくり返して探したって見つからないような気がしますが。



最期まで読んでくださってありがとうございます。誰かに読んでもらえるなんて、それだけで嬉しいです。もし、気に入っていただけたら、スキしていただければもちろんもっと嬉しいです。よろしくお願いします。