小説:「金・金・愛」#3

第1話:金で女と付き合える?

ずっとお金には困らない人生だった。

祖父がかなりのお金持ちで、その地域で少し有名な家だった。

小・中・高と勉強でも運動でも、人間関係でも苦労することなく過ごしてきた。

大学生くらいになるとお金持ちという噂を聞きつけて、近づいてくる友達もいた。
噂というのはどこから広がるのか。
嫌になるくらいだった。


あまりモテる方ではなかった『the・普通』の僕がモテ始めた。

それはあまりにも露骨だったが、今まで付き合った事もない女の子と付き合えた。
(僕はお金が目当てだと解りながら付き合い始めた。)

期待に応えながら、付き合った。

彼女の誕生日には有名なブランドバッグをプレゼントして、記念日には夜景の見えるところで食事をして、まめにLINEも電話もした。

付き合い続けるにはこれを続け、期待に応え続けることが必要だった。

夜の営みもすることはあったが、彼女のキスはいつも口を開けることはなかった。
(本当に好きな人とじゃないとキスをしたくない女の子がいるということを知ることになるのは、就職してから2年目のことだった。)

それから卒業と同時に彼女とは別れた。3年間の付き合いだった。


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