ガスライティングとは?~嘘で相手を追い込む虐待~
モラハラやいじめについて調べていると、一度は目にするであろう言葉に『ガスライティング』があります。
モラハラなどの言葉と比べると馴染みの薄いこの言葉。私も、当事者になるまではこの言葉を知りませんでした。
ですが、この概念を理解することで、相手の目的や手口を知り、より的確に対処できるようになるため、なるべく多くの人に知ってほしいと思いました。
今回はこの言葉について書いていきます。
ガスライティングとは
ガスライティングの定義
ガスライティングの定義は、以下のようなものです。
つまりガスライティングは、心理的・精神的虐待の手法を指す言葉です。
この言葉は、夫の言動に妻が狂わされてゆくさまを描いた『ガス燈』というサスペンス映画に由来しています。
(※原題『Gaslight』(1944))
加害者は、やったことをやってないと言ったり、相手の感じ方や受け取り方がおかしいと「事実ではないこと」を伝えたり、本人にしか嫌がらせとわからない嫌がらせをしたりします。これにより被害者は、自分の記憶や感覚、考え方がおかしいのではないか?と思わされてしまい、追い詰められ、孤立されられてしまいます。
ガスライティングは、「モラハラ」の一種とされることもありますが、その手口の巧妙さから、さらに第三者から被害が見えにくいとされています。
ガスライティングの手口
ガスライティングに当てはまる行為には、主に以下のようなものがあります。
①嘘や不自然な言動
・事実と異なる嘘をつく
・過去の発言や(嫌がらせなどの)事実を否定する
・その時によって矛盾するちぐはぐな言動をする
・身に覚えのない指摘をする
・正しいことをしていても「間違っている」と言う
・被害者の言動を否定する
②迷惑行為
・ものを勝手に動かしたり、中身を入れ替えたりする
・上記のことをしたうえで知らないふりをする
・指摘されると、相手の勘違いだと主張する
・勘違いだったと思うようなことを頻発させる
・本人にしかわからない嫌がらせをする
・周囲に悪いうわさを流し孤立させる
・言っていない悪口を言ったと、周囲に広める
このような言動や行動を繰り返されると、被害者は自分の記憶や認識が間違っていると思い込むようになってしまいます。そして徐々に判断力や集中力が落ち、精神的に追い詰められてしまいます。
私が受けたモラハラも、一部はこのガスライティング行為に当てはまると思いました。
加害者が堂々と『被害者は自分だ』と主張する(事実と異なる嘘をつく)。私が受けた被害自体を無かったことにされる(事実の歪曲)。
私が被害を訴えても「そんなことはしていない(と言っている)」と言われる、(事実の否定)。
相手の機嫌を損ねれば、「あれ?今のわざと?偶然?」と思うような、単発的な無視やサボタージュをされる(勘違いの誘発)。
隠しているわけではないけれど周囲にあまり知られたくないことを、わざと周囲に広めたりする(本人にしかわからない嫌がらせ)。
私が加害者から受けた『無視』も、「本人にしかわからない嫌がらせ」の特徴がありました。私がほかの人と会話していたりすると、話に入ってきたり、相槌を打ったりするのです。それで「無視をやめてくれたのかな?」と思っても、一対一ならやはり無視をする。無視をしていることは、無視をされている本人にしかわからないという、非常に悪質なやりかたでした。
このようなことを繰り返され、加害者のあまりにも堂々としたさまに「悪いことをしたのは本当は私だったのか?」と、思ってしまった時期がありました。(正気を取り戻し、自分のされたことを振り返った経緯はこちらにまとめています)
モラハラによって罪悪感を植え付けられたというだけではなく、ガスライティングによって認識を歪められていた可能性もあると、ガスライティングという言葉について知ることで気づけたのです。
ガスライティングをする目的
ガスライティングをする目的は、モラハラをする目的と似ていますが、自分が精神的快楽を得るためというよりは、自分の立場や権力を守り、相手を追い詰めることが主な目的になります。
・加害者が被害者をコントロール・支配する
・自主的な服従に追い込む
・コミュニティから追い出したり、犯罪を行わせたり、自死させたりする
ここでは、「上下関係をつくり、相手を自分の下に置いておこうとすること」「相手を破滅に追い込むこと」が主な動機になります。
また、基本的にガスライティングをする人は相手にそれがガスライティングだと気づかれないように行います。気づかれて対処されてしまうと、それまでの支配が無に帰すからです。だからこそ、ガスライティングについて理解することが重要なのです。
ガスライティングに遭ったら
自他境界を引き、反応せず、離れる
ガスライティングの対処で最も大切なことは、これまで何度も述べているように、自他境界を引くことです。
「自分と他者は別のものである」と意識し、対等で支配されない関係である、と認識することです。
これにより、相手から押し付けられた認識のおかしさに気づくことができます。
ガスライティングを受けていることに気づいたら、「相手の間違った認識を受け取らない」と決め、相手の行為を無視したり、その場から離れたり、そのコミュニティから距離を取ったりし、できる限り相手の行為に反応しない、相手と距離を置くことが重要です。
相手は自分の行為によって相手の心理や行動が変わること、コントロールされることを期待しているからです。
記録し、見直す
可能であれば、相手から受けたガスライティング行為を、メモするなどして記録してみましょう。自分が間違っていたと思いこんでいても、後から見直すと、自分のせいではない、相手が間違っている、相手が自分をコントロールしていた、と冷静に判断できることがあります。
また、第三者や専門機関にかかったり、訴えを起こしたりするときも、これらの記録が有効な証拠となることもあります。証拠として使用したいときは、日時や内容を具体的に記録しておくとよいでしょう。
ガスライティングは心理的虐待
ガスライティングはハラスメントやいじめの手法のひとつであり、卑劣で許されない心理的虐待です。
そしてこれまでも何度も何度も述べてきたように、絶対にしてはいけないことであり、被害者がこのようなことをされる理由はありません。
一人でも多くの人が「ガスライティング」の存在に気づき、自分や周囲の人の心を守れるようになることを願っています。
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