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図書館の魔女に導かれ

note始めました。
一本目の投稿に、高田大介さんの『図書館の魔女』の感想を選びました。なぜなら、この本を読んだことをきっかけに、ブログの開設を思いたったからです。

『図書館の魔女』は、「高い塔」と呼ばれる史上最古の図書館を舞台に、鍛冶の里から来た炭焼きの少年と図書館の魔女と恐れられる少女の出会いの物語であり、政争あり権謀術数ありの世界を、領土を奪い合う国盗りではなく政治と外交で切り開いていくファンタジー小説です。

と言っても、図書館の魔女と呼ばれる少女は、ファンタジーの王道の主人公のように魔法が使えるわけではありません。他の主要な登場人物も同様です。魔術師は出てきますが、どんな魔術を使っているのか私にははっきりわかりません。しかしこの世界の魔法は理を貫く存在であるようで、たしかに物語の奥底にその気配が流れています。

読み始めての率直な感想は、言葉が難しい…初めて出会う言葉や読み方、漢字がたくさん出てきて、自分の語彙の少なさにびっくりです。振ってあるルビも、様々なヨーロッパの言語、ラテン語などもあるようです。辞書を片手に読まなければと頭を抱えつつも、この言葉の使い方が、独特の世界を作り出し、読者をグイグイと惹きつける秘訣なのかなあと思いました。さらに、書き言葉ではあらわせない手話という言語を豊かに描くことで、人と人との間で交わされているものは何かと、深く考えさせられます。

2013年に発売され、第45回メフィスト賞を受賞、多くの読者を獲得しているこの本の存在を知ったのは、お恥ずかしながらつい最近のことでした。一週間ほど検査入院しなければならず、時間を潰せる読みごたえのある本はないかなあと探していて、出会ったのです。

作者の高田大介さんは、印欧語比較文法・対照言語学を専門分野とする研究者であり、この小説は学問の世界を垣間見せてくれる小説でもあります。
私には、学ぶとはどういうことかと突きつけてくるように感じられました。何か一つのことを研究し続けてきたわけではありませんが、この社会について知り、よりよい社会をつくりたいと願うひとりの人間として、あまりに勉強不足と思い知りました。そしてこのことが、ブログを開設し『図書館の魔女』を1冊目に選んだ理由でもあります。

そんな私の決意表明は横に置くとして…
純粋に、第3作目となる『図書館の魔女  はたたける塔』の発売を待つファンの列の後ろに加わっています。

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