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ユーチューバーが消滅する未来(読書感想)


書籍の情報

岡田斗司夫
PHP新書
2018年11月29日 第1版第1刷

目次

序章  「未来格差」に備える
第1章 未来予測の3大法則
第2章 自分を「守る」時代
第3章 AIがユーチューバーを淘汰する
第4章 アイドルは新時代の貴族になる
第5章 アマゾンが不動産へ進出
第6章 バーチャルとリアルの恋愛の境界が消える
第7章 AIロボットが家族の代わりに
第8章 人工知能が政治を変える
終章  未来の幸福論

読書感想

出版から5年が経過した2024年時点でも、本書の主張は十分通用しており、著者の未来予測は妥当であると感じた。

インターネット社会の到来により、社会の価値観は変化している。
2028年では次の3点が常識になると著者は主張する。

①第一印象至上主義
 最初に感じた第一印象や、その時に起こった感情を絶対視してしまうこと。
②考えるより探す
 自分で回答を考えるのではなく、大勢の意見から、自分に合った意見を選ぶようになったということ。
③中間は要らない
 超メジャーな人は生き残るものの、そこそこ食えていた中間のプロはいなくなった。

ネット内では、誰もが情報発信者になり得るし、同時に誰もが受ける側にもなれる。
同時に、受ける側が与える側を評価することになる。
著者はこのような社会を「評価経済社会」と名付けた。
評価経済社会では、「どれだけ有名になれる」か「どれだけ高評価を集められるか」がゲームのルールとなる。
また、人が関心を持っているのは「最新」「今」だけである。
このため、人は「自分の現実をそれぞれデコって生きる」、「自分が見たい現実を見る」ようになる。

以下、印象に残った箇所を引用

27〜31ページ
どうすれば、もっと未来を確かに予測できるでしょうか?
それは、社会の価値観の変化に着目することです。

僕が見るところ、現在進行している、価値観の変化は、次の3つにまとめられます。
①第一印象至上主義
最初に感じた第一印象や、その時に起こった感情を絶対視してしまうこと。
②考えるより探す
自分で回答を考えるのではなく、大勢の意見から、自分に合った意見を選ぶようになったということ。
③中間は要らない
超メジャーな人は生き残っています。いなくなったのは、それまでそこそこ食えていた中間のプロです。

33ページ
情報化社会の本質とは、「世界中の小さな事件の客観、情報まで入ってくる社会」ではありません。
「大きな事件の解釈や感想が、無限に溢れ出す社会」なのです。

34ページ
今までマスメディアからの影響を一方的に受け入れるだけの存在だった一般人が、初めて自分から不特定多数の人に向けて自分の意見を述べるシステムを手に入れたのです。
ネット内では、誰もが情報発信者、つまり影響を「与える側」になり得るし、同時に誰もが受ける側でもあります。
みんながそれぞれ、人に影響与えるために情報を発信する。
情報を受け取った側、「情報」だけでなく「価値観」も同時に受け取って、影響を受ける。
その結果、受けた側は与えた側を評価します。
「評価」と「影響」を互いに交換し合う社会。
これを、私は「評価経済社会」と名付けました。
新しい社会の競争、それは「どれだけ有名になれる」か「どれだけ高評価を集められるか」です。
それはかつて、マスコミにしかできない仕事でした。
しかし、今やその競争は、私たちの手に委ねられ、自由競争となりました。
そのツールが電子ネット=デジタル革命なのです。

61ページ
これだけ格差が開いた世界において、みんなが納得できる解なんてない。
それぞれの人が見たい「現実」を見て、楽しく生きた方ほうがずっといい。

鬱屈を抱えて生きるより、自分の現実をそれぞれデコって生きる。
「みんなが同じ現実に向き合う」のではなく、「それぞれが別々の現実を生きる」。
これこそ、人類の悲願なのではないでしょうか?
これから10年、20年、そうした消費者ニーズはもう止められないでしょう。

83ページ
目の前で見せられない限り、どんなに面白い作品であっても、僕たちはもうどうでもよくなっている。
僕たちが関心を持っているのは、「最新」「今」だけなんです。

次から次へと新しいコンテンツを見出し、配信できるサービスに、人が引き寄せられていくことになるはずです。

ユーチューバーが消滅する未来

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