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"創造的に生きる" という言葉に惹かれて。 #学校教員 #参加者インタビュー

2021年1月から3月の3ヶ月間、「創造的に生きる」というプログラムの第一期を開催しました。本当に、素晴らしい時間でした。

すごく良かった!ことだけはしみじみ感じているのですが、結局どう良かったのか。この場は何のための場で、何が起きた場だったのか。自分自身、よく分からなかったのです。

そこで、この「創造的に生きる」プログラムの時間を振り返るため、参加して下さった方にインタビューすることにしました。お一人目は、埼玉県で学校教員を務めている大和佑子さん。現在、発達障がいを持つ子どもたちのクラスを受け持っており、シュタイナー教育なども学んでいた方でした。

「創造的に生きる」ことに興味を持って参加

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K. 自己紹介をお願いします。

埼玉県に住んでいる、大和佑子といいます。小学校の教員をしています。

大学を卒業し、そのまま学校教員として公立小学校に就職。仕事を初めて12年になります。今は、特別支援学級で、発達障がいを抱えている子のクラスを担当しており、一緒に学んだり、遊んだりしています。


K. このプログラムに参加した理由は何でしたか。

「創造的に生きる」というキーワードに惹かれました

案内文を見た時に、この言葉が輝いて見えたことを、覚えています。今見てもそう感じるし、創造的に生きる、という言葉を見て、創造的に生きたい!と思いました。


K. なぜ、「創造的に生きる」という言葉に惹かれたんでしょう?

直感でしかなかったのですが、今振り返ると…。

多分、どこかで、創造的に生きれていない自分を感じていたのだと思います。そのように生きたい、けどできていない。その壁みたいなものを、超えたい、解消したい、そんなことを考えていた気がします。

(改めて、案内文を読み返す)

「手を動かす」という部分に、ぐっときたことを思いだしました。「芸術家」という部分には、私なんかなれないよ...と引いてしまったのですが笑、その後の「手を動かす」という部分をよんで、わぁっ!て。

創造的に生きる、というと、どこか抽象的にみえるけれど、日々手を動かす、というのはとても具体的で。手を動かしていた自分を取り戻せるなら、それは救いだなって思いました


みんなが本来持っているはずの創造性は、忙しさから失われている?


K.  「手を動かしていた自分を "取り戻せる" 」ということは、昔はそうだったけれども、今はそうなれていないという意味でしょうか。

大学時代、杉並区和田中学校という学校で、ドテラ(土曜日寺子屋)の学習ボランティアのリーダーをしていました。藤原和博さんという民間出身の方が、都立公立中学校で初めて校長先生に就任し、話題となっていた学校でした。

この時代を振り返ると、思考と行動が直結していたんです。考えたことはすぐにアウトプットして、形にする。その流れがとてもスムーズでした。

でも今はそうなれていない。頭でっかちな自分になっている

社会人になり、徐々に時間がなくなっていきました。時間がなくなると、考えていることをアウトプットしなくなる。アウトプットしない期間が続くと、アウトプットすることが怖くなる。怖くなると、もっとできなくなる。

考えていることを、言葉にして書くことすらしなくなってしまう。書けない自分、つまらない自分、ダメな自分、と、自分への自信も失っていきました。

そんな、書けない → 書くことが怖い → 書けないダメな自分 → 自信を失う → もっと書けなくなる、という悪循環にどんどんはまっていきました。

朝30分を続けただけで、創造性が回復し始めたモーニングページとの出会い


K. 実際に参加してどうでしたか。

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ほんと、参加してよかったなって、しみじみ思うんですよね…笑

一番良かったのは、さきほど話した負のループを "チョキン" て、切れた気がすることです。毎朝30分ノートに向き合い、思いついたことを書き連ねる、モーニングページのワークをしていると、自分のことがよく分かるようになりました。

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※ 注: モーニングページは、脚本家の Julia Cameron(ジュリア・キャメロン)さんの著書「ずっとやりたかったことを、やりなさい。」(原題:The Artist Way)で紹介されている方法です。「創造的に生きる」のプログラムの根幹をなすワークです。
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今日頑張ったことをノートに書いていたり。あぁ、私、めっちゃ頑張っているんだなぁって思いながら書いていました。泣きながらモーニングページを書いている日もあるくらいでした…笑。

自分の手が書いていることは、自分自身が見ています。自分の頑張りをノートが教えてくれる。そうすると、「アウトプットできない価値のない自分。書くことの出来ない価値の無い自分」から、「書けなくても価値のある自分」に気付けたんです。

そうしたら、いつの間にか、"チョキン" て。悪循環を終わらせられることが出来ていました。


自然と造りたいものが頭に浮かび始めた3ヶ月間~絵と詩、初の写真集と小説~


K. 大和さん、この3ヶ月間で、もの凄い量の、詩、文章、絵を書いてましたよね。詩と写真が入った写真集も。

そうですね…笑。

3年程前から、一度写真集を創ってみたいなって思っていたんです。机の上にも自分が撮った写真を沢山飾っていて、私の部屋は、壁一面写真なんです。

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モーニングページを書いていたら、そういえば、写真と詩をまとめたような写真集を創りたかったことを思い出して。それで、思い立ち一冊創ってみました。

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絵と詩も、最初に買ったスケッチブック、3冊分、全部書ききりましたね。プログラム中にみんなで詩を書いたり、絵を描いたりもしたし。創作合宿でもたくさん。でもそれ以外の平日にも、たくさん書きました。

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K. そういえば、小説も書いていませんでしたか?急にグループメッセンジャーに、「小説を書いて、応募しました」って連絡が来て、びっくりしたこと覚えています。

小説も、昔から書いてみたいなって思っていたんです。

そういうことも、モーニングページを書いていたら出てきて。気付いたら脚本を考えていました。でも、そこで止まっていました。そんな時にテレビを見ていたら、ショート小説募集!というニュースを見て、このタイミングに作ってみよう!と思い、一気に書いて投稿しました。

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K. 3冊分の絵と詩、初めての写真集と小説。恐ろしいアウトプット量で、最初の出すことが怖い、という悪循環の話を忘れそうになります笑。

言われてみればそうですね…。

今までは、本当に出すことが怖かっです。すごく、だすぞーーー!みたいな感じで力まなければいけなかったのですが、この3ヶ月間は、とても自然な行為だったんです。

毎朝のモーニングページの時間は、自分が何を思っているかを自分自身に聞く時間でした。すると、これやってみたいと思っていたなぁとか、でもやってみていなかった、と気付くことがたくさんありました。

そうすると、自然と手を動かしていましたし、気付いたら作っていました

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作品を誰かにギフトとして受け取ってもらう体験

K. そういえば、急に、大和さんから、詩と絵が送られてきて、すごいびっくりして。同時にとっても嬉しい気持ちになったこと、覚えています。

こうすけさんから、途中でアドバイスをもらいましたよね。

大和さんは、形にすることが自然にできるようになってきてる。次は、人に受け取ってもらうという体験をするタイミング」だよって。

そうかぁと思って、一方的に、詩と絵を送りつけるという、ゲリラ行為に挑戦しました。今思い返しても、よくやったな、と思います…笑。それまでだったら、私の作ったものなんて、、、と絶対に出来なかったと思います。

でも、勇気を振り絞ってやってみたら、みんな何かを受け取ってくれて。人に手渡す、ギフトをして、受け取ってもらえるという体験を通して、私の想いは届くんだ!という実感が出来たし、そういうものを私も作れるんだ!と、とっても嬉しい気持ちになったこと、覚えています。

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早起きして始めたモーニングページの習慣は、仕事の効率まで上げてくれた


K. 学校の先生は、とても忙しい印象があります。大和さんは、フリーランスで自分で時間をコントロールできるわけではないのに、どうやってその時間を確保したのですか。

自分史上、最高に忙しい3ヶ月でした笑。でもすっごい楽しかったです。

このプログラムが始まる前に、時間をどうやって確保するかはすごく考えました。今まで通りの仕事の仕方では時間確保できないぞ、と思いましたし。

まず、30分早起きをすることを決めました。この時間に、モーニングページを書く。そして朝モーニングページを書くと、仕事のスピードがとっても早くなったんです。職場についた時には、心もスッキリしているし、完全にスイッチオンの状態でした。

子どもたちとの時間も、心がぼやっとした状態でいると疲れるんです。でも、ちゃんと心が起きて、頭が冴えた状態でいると疲れない。結果的に放課後もエネルギーが残るようになりました。

しかも、仕事の効率もあがるから、これまで週末にやっていた仕事も全部平日に終わるようになりました。だらだらと無意識に消えていた時間が消えたんです。そういえば、スマホを見る時間も減りましたね。


K. 嘘みたいな話ですね…笑。30分朝早起きして、ノートに向き合い、書きたいことを書くだけで、やりたいことが実現していく。時間もむしろ効率が良くなり、自由な時間が増える。だから、よりやりたいことができる。

完全に、"好循環" ですね。

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ほんとですよね。

こうすけさんがプログラムの初めに、「毎朝、モーニングページだけやればいい。勝手に良くなっていくから。」といっていたけど、本当にそうでした

平日毎日モーニングページを書いていると、あれをやりたい、これをやりたい、が出てくるので、それを週末にやりたい。だからより時間を作りたいと思うようになりました。

漠然としていた日々に、目的が生まれたような感覚でした。


K. 毎朝のモーニングノート、大和さんの創作の話を伺ってきましたが、毎週1回の、みんなで集まってのセッションはいかがでしたか。

人間ってダレるんですよね…。だから始めのうちは、毎週の集まる場があるからと、毎日のモーニングページを頑張れていました。習慣化を助けてくれる場でしたね。

でも段々、仲間に会いにいく感覚になっていました。安心するんですよね、なぜか。ぜんぜん違うところにいる、違う人たちなのに、みんな、それぞれ何かを感じ、考え、でも同じことに取り組んでいる。

今日生き抜いてきた私、を共有する時間だったとも言えるかもしれません。慰めてもらうとかではないのですが、寄り添ってもらえている感のある場でした。

あと、孤独じゃない、ひとりじゃないなって感じることのできる時間でもありました。ひとりで絵を書いたり、モーニングページを書いているとむなしくなる瞬間がある気がします。そういうことがなかったです。


まさに「ずっとやりたかったこと」が一つずつカタチになっていくという体験 ~仲間に寄り添ってもらいながら~


K. このプログラムを経て、日常の生活で変わったことはありますか。習慣が変わったですとか。

モーニングノートは続いています。これからも、ずっとそばにいてほしい存在です。

あと、全然関係ないですが、健康に気を付けるようになりました。お医者さんからずっと、「水を取らなすぎ。」と言われていました…。自分を大切にしたいと思うようになり、やっと、できるようになりました。

自然に優しく暮らしたいとも思っていたのですが、これも出来ていなかったことに気が付いて、洗剤使うのを止めたり。プログラムの内容とは全然関係ないようなところで、暮らしが変わっていますね

自分の感性に寄り添う趣味も増えました。絵を描く、詩を書くはもちろん、花を生けること、植物の世界に浸ることもはじめました。

あと、凹んでから起き上がる時間もすごい早くなりました。今までだったらもっと凹んでいたはずなのに、すっと立ち直れたり。

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仕事まで楽しいものと感じられるようになったその経緯とは?


K. 話を聞いていると、何かまったく新しいことを始めた、というよりも、ずっとやりたかったけれどできていなかったことを、ひとつずつ実現しているように見えますね。

暮らし、創作面を中心に伺ってきたのですが、仕事面はいかがですか。

とにかく、毎日楽しく仕事にいっています。

これまでは、仕事行くの辛いな、大変だ、今日行きたくない、でも行かなきゃいけないいけないし、、、と思っていたのですが、こういうことが限りなく減りました

毎朝モーニングページを書いていると、自分の中にやりたいことがドンドン出てきます。しかも、ドンドン明確になっていく。すると、職場がやりたいことをやる場に変わっていきます。もちろんそれ以外のこともあるけれど、「これをやりたいから職場に行く」に変わったんです。

だから、仕事がすごく楽しくなりました


K. これまでの話を全部伺い、今までの感想を一言でいうと、モーニングページ、凄まじや、です…笑。

ちなみに、毎日の時間の使い方は変わりましたか。

脳内反省会の時間が、断然減りました。

先程の仕事の話に繋がるのですが、これまでは、毎日、あれがだめだった、これがだめだったと、そういう反省ばかりでしたが、これがめちゃくちゃ減りました。

その代わりに、明日学校で何をしよう、子どもたちと何をしよう、と考える時間が増えました。仕事以外でも、日々に目的意識が生まれて、効率が上がるから、時間が増えて。

だから、健康に関する動画を見たり、友人に連絡をしたり、本を読んだり学んだりする時間や、ストレッチする時間もとれるようになりました。コロナに関する授業をしたいと思って、コロナの授業も生まれたり。

今も新しいスタイルの授業をやりたいなぁとワクワクしながら計画中です笑。


自分の意図が明確になると、周囲の人にまでご機嫌になれる~子ども時代に戻った感覚とは~


K. 周りの人たち、大和さん、なにか変わったなぁと感じているのでしょうか。例えば、子どもたちはどうでしょう。

私がご機嫌になった、と思っている気がします笑

朝からご機嫌だから、子どもたちへの声がけも優しくなっているかもしれません。先生ご機嫌じゃなかった?って子どもたちに聞いたら、「先生、ルンルンしてた!」と答えてくれるかもしれないですね笑。

教室が中庭に面していたのですが、以前は気付けなかった季節の変化にも気付けるようになって。私がルンルンしながら、「クレマチスのお花咲いたよ!!」とか、「あそこの梅のつぼみ、大きくなってる!」と叫ぶと、子どもたちが、「うんうん、そうだね。」と頷いてくれていました笑。

もしかすると、私が子供らしくなったのかもしれないですね。


私にとって、創造的に生きるとは、自分らしく生きること。


K. 僕はこれまでの話で、もう満足しています…笑。
改めてこれまでの体験を振り返り、今、「大和さんにとって、創造的に生きる、とはどういうことでしょうか?」と問われたら、なんと答えますか。

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(少し、考えて)

自分らしく生きる、ということなんじゃないかしら。

言いたいことをいう。やりたいことをやる。日々の営みに自分の想いを込めていく。その繰り返しが、創造的に生きる、自分らしく生きるってことなんじゃないかって思いました

今、私が、仕事で子どもたちに対して行っていることには、日々自分の想いを込めています。この子達にどう育ってほしいかなぁとか、この子達が大きくなったらどんな未来になってほしいのかなぁと考えて、ひとつずつ、やりたいことをやっていく。

周りの目線を考えてしまうこともあるけれど、でもとりあえず、やってみようって思ったことをやっていく。そんな感じでしょうか。


K. やりたいことをやっていく、自分らしく生きる、創造的に生きる、そう生きていった先に、大和さんが創りたい未来というか、夢を伺いたいです。

創りたい未来、めっちゃあります。

まず、壁がない世界になってほしいです。その人がその人のままで、輝いていてくれたら本当にいいなって思います。支援学級に所属してるとかしてないとかの区別も早くなくなってほしいです。

区別とか差別とかいらないんです。その人そのままでまるごと受け止めて、受け入れて…。そんな世界が広がるといいなぁと思います。そういう意味で、概念をぶっ壊して、統合させていきたいなって思っています。

同時に、自分らしく生きられる人が増えたらいいな、ひとりひとりが自分らしく生きれる世界が拡大していったらいいなと思います。


自分に自信を失ってしまった人へ。


K. 最後にご自身の体験を振り返り、この記事を読んで欲しい方がいたら、その方にメッセージをお願いしたいです。

自分に自信のない人は、ぜひモーニングページをやってみてほしいです。

特に私は、同じ職業(教員)の人に勧めたいです。みんな本当に忙しい。忙しいと、考えることを止めてしまう。思考停止になりやすい。絶対あなたたち、もっと魅力的なのに!と思うことがあります。

魅力的な大人が増えると、学校は楽しくなります

わたしがそうだったように、時間がない、自信がない。諦めてしまっている。頭の中で自分で自分を否定し、前に進めなくなってしまっている。

そういう人たちに、自分たちの人生、捨てたもんじゃないよって。自分のことくらい自分のことを励ましていいじゃないって言いたいです。まずは、周りの職場の人に、実際にモーニングページを勧める場を持つところから、私も始めたいと思っています。


K. 素晴らしい時間を有難うございました。そういった方にこの記事届けられるように、頑張って記事を書きますね。

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※ インタビュー編集後記。

私自身、本当に学びと発見に満ちたインタビューでした。その内容は、大和さんが今感じる「創造的に生きるとは」の回答にすべて現れていた気がします。

自分らしく生きる、ということなんじゃないかしら。

言いたいことをいう。やりたいことをやる。日々の営みに自分の想いを込めていく。その繰り返しが、創造的に生きる、自分らしく生きるってことなんじゃないかって思いました。

「創造」というと、どこか高尚なものに聞こえてしまいます。

でも本当なすごくシンプルで、ただ自分がやりたいこと、創りたい現実、それをただやることを意味するのかもしれません。

ただ、それを難しくさせているのは、始めに出ていた悪循環なのかもしれません。

社会人になり、徐々に時間がなくなっていきました。時間がなくなると、考えていることをアウトプットしなくなる。アウトプットしない期間が続くて、アウトプットすることが怖くなる。怖くなると、もっとできなくなる。

考えていることを、言葉にして書くことすらなくなると、書けない自分、つまらない自分、ダメな自分だ、と、自分への自信も失っていきました。

そんな、書けない → 書くことが怖い → 書けないダメな自分 → 自信を失う → もっと書けなくなる、という悪循環にどんどんはまっていきました。

これは大和さんのみならず、沢山の人が共感するのではないでしょうか。私たちは、人からの目線や、社会的常識といったもので、自分の衝動のようなものを抑圧しがちですが、その衝動こそが、創造の源泉なのかもしれません。

「創りたい現実を、ただ創っていく」。

そんな人が1人でも増えていく世界を作るために、これからもこの営みを続けていきたい、そう感じました。

第二期を開講することも決めました。大和さんのように、創造的に生きることに、少しでも興味を持った方は、ぜひお気軽にご連絡ください。1時間の初回無料セッションも行っています。


Edited by 渡辺優



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