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年を重ね、分からないことばかりが増えていく。

「一を持って十を知る。」

という言葉がある。一つのことを教えてもらうだけで、自然とそれ以上のことを感じとり、学び取ってしまうという意味。一方で、最近思うことがある。

「一を知ると、十の未知に出会う。」

ということ。

小さい頃は、年を重ねると、賢くなり、世界のことが分かるようになると思っていた。しかし、今はむしろ逆で、分からないことばかりが増えていく。制作をすればするほど、創るとは何かが分からなくなるし、場を作ればつくるほど、場とは何かが分からなくなる。

僕の周りには、「世界の真理はこうだ。」「社会をこうなるべきだ。」という主張をされる方が多い。いいなぁと思う。何かを端的に主張できなくなっている。その瞬間言葉にすることはあっても、言葉にした瞬間、それが終わっていくような感覚もある。

でも先日、尊敬するプロダクトデザイナーの友人に、「デザインは答えを出すことが仕事だけど、アートは答えが出ちゃいけないんだと思うんです。人生を通じて探求し続ける営みだから。」と言われて、あぁ、そうか、と思った。

言葉にし、メッセージを明確にし、人に届けていく営みが必要とされる中で、まったくもって、その真逆の方向に自分が向かっていることに気がつく。

答えを知りたい。でも分からないことに出会え続けることで、この世界の奥深さに出会い、世界に対して、畏怖ともいえる感覚が養われていく。生きやすくはならないけれど、でも幸せなことだとも思う。

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芸術のげの字も知らなかった素人が、芸術家として生きることを決めてから過ごす日々。詩を書いたり、創作プロセスについての気付きを書いたり、生々…

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