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愛護映画「猿の惑星:創世記」 ネタバレ 考察 旧作ネタ 解説

流行に敏感

男は意外と流行を気にする、モテたいから。でも一周遅れで知るからダサくなる。
映画でも流行はある。今だと人種差別の話。
有名な「猿の惑星」は僕が知る限り全作品がその時はやってる話題を下敷きに話を作ってる。

動物愛護

映画は野生のチンパンジーを捕まえるシーンから始まる。捕獲されたチンパンジーは新薬開発の実験体となり殺されてしまう。
新薬はお金になるので活動が過激になりがち。
現実では、2013年にアメリカ国立衛生研究所がチンパンジーの動物実験を中止する方針を決定するまで行われていた。今もゼロになったわけじゃなさそう。
2000年代からテロ起こす動物愛護団体も増えてきて社会問題になっていく。
映画内でも問題起ったAZL112より他の研究を優先するため、「なるべく安くを処分しろ」と血も涙もないアフリカ系の資本家ジェイコブスが言う。
そのALZ112が遺伝し高い知性を持つシーザーは手話でコミュニケーションをとる。手話をするチンパンジーも元ネタがある。これも冷血な動物実験と言っていい。

二ム・プロジェクト

1970年代の「チンパンジーは言語を習得するか」という実験。
人間だけが言語を持つ説を否定するためにされた実験。
類人猿(エイプ)は唇がないから発音できないものがあるから手話を教えた。
二ムと名付けられたチンパンジーは子供のころから人間と一緒に暮らしたが、実験の成果が出る前に繁殖期を迎え凶暴化し実験は中止。
言語は獲得できないと結論づけられ、霊長類研究所に送られる。
生まれてから10年間、人間として育ったのに急にエイプ扱いされ、他のチンパンジーとなじめず食事もエサに変わった。
その後、ニューヨークにある大学の薬品研究所に動物実験用の検体として売られてしまう。愛護団体に買い取られるまで実験は続いた。
保護された後も傷ついた心のせいで暴力的になり落ち着くまでに被害が出た。最終的には落ち着き26歳で病に倒れた。

ほとんどシーザーの人生そのものだ。
人間の子供の様な部屋に住み手話を教わるが、成長し自分の存在に疑問を持ち始め「ペットじゃないなら僕は何?」とウィルに尋ね、生い立ちを知る。
高い木に登り遠くに見えるサンフランシスコは人の住む別世界の様に映されそこでの生活に自由がないことをシーザーは身をもって知っていく。

希望の窓

シーザーの部屋にある特徴的な窓は彼にとって希望と束縛のシンボルと言える。窓の内側は愛と平和に満ちているが自由はない。窓から外を眺めるしかできない。
降りに描いたマークを消し、劇中で何度も割られる窓は動物の解放を意味してるのかもしれない。
このマークは解放のシンボルとして続編に出てくる。
でも、なんで動物を解放しなきゃならないのかって疑問がわく。
キリスト教圏において薬、つまり科学で大きな力を得るのは神に背く行為になるからだ。

汝の隣人を愛せよ

「自分を愛するようにあなたの隣り人を愛せよ」
隣人とは他人であり敵ですらある。神があらゆる者を赦し愛するように、人間もそうしなさいって話。
人種、性別、種族を越えて愛せるかってこと。
これは旧シリーズの「エイプはエイプを殺さない」につながる。
人は隣人を愛せない、だから滅びていく。

父のチャールズも投薬による治療を拒み死を受け入れる。
彼女のキャロラインもシーザーの薬による知性の獲得や人間のように育てることを「自然の在り方を壊す」と忠告する。
結果として神に背き作った薬で人は死んでいく。
だけど破滅の種はエイプの中にも存在する。
シーザーはジェイコブスを助けず、ボノボのコバはジェイコブスを殺す。
温厚で有名なボノボですら怒りによって赦すことができなかった。
愛って軽々しく使うけど、実はかなり高尚なもので僕らには持つことなんてできないのかもしれない。

備忘録

施設の息子がドラコ・マルフォイの人。
彼が言う「そのくせぇ前足をどけろ。薄汚いサルが!」は
旧シリーズの主人公テイラーがエイプに話す最初の言葉。
"take your stinking paw off me,you damn dirty ape!"
これに対してシーザー最初の話す言葉が"No."
これにちょっとしびれた。

いけ好かない隣人が飛行機のパイロットでエンディングでサルウイルスをまき散らすのがニューヨークなのは二ムが投薬実験された大学がニューヨークにあるからかもしれない。
復讐がこれ以降の作品で重要な位置を占める。

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