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常識映画「ザ・ロブスター」のネタバレ考察 THE LOBSTER

林家ペーパー夫妻は理想の夫婦か?

僕は祖父母に育てられた。婆ちゃんの68歳の誕生日にトレーナーか何かをプレゼントした。気に入ったのか婆ちゃんは爺ちゃん用に同じのを買ってきた。……同じ色のを。
爺ちゃんも気に入り連日着て、僕は連日気味が悪がった。
「なんで一緒の色を買うんだ」と聞くと「一緒がいいやん」と返された。僕に遅れた反抗期がやって来た。
とにかく人はやたら共通点を持ちたがる。
「趣味が合う、好みが似てる」は好きになった理由の常套句。
離婚理由は「性格の不一致」が常套句。
実際どうかはさておき、そう言っておくと納得してもらえるからそう言う。
パートナーとは合う合わないが重要。そう決まってる。常識です。
で、その常識って誰が決めたんですかね?

男が奢るのが常識。

この映画で相手と共通点を持とうとするのは全て男。
鼻血を出すために鼻潰すのは男。
冷酷にふるまうのも男。
成立しないと動物にされちゃうので必死です。
だけど女はしない。綺麗な髪を持つ女は妥協することも、他の共通点を探すこともせず馬になる。
同じく綺麗な長髪だったリバーフェニックスの映画を観ながら。
まぁスタンドバイミーの彼は短髪なんだけど。
端的に言えば、共通点を見つける、作る行為は求愛行動だ。
カップルになれなかった人間は動物になる。
"別の"動物になる。人間だって動物だもの。

メスのクジャクは羽を広げない。

求愛行動はオスがする。メスがする種は少ない。タガメとかタマシギって鳥がそうらしい。とにかく少ない。
いわば常識。そう決まってます。メスは大変。卵子は精子よりも複雑でかい、ロブスターのメスは交尾の後脱皮するから無防備だ。色々あるんだよ。察しろ。
たしかに子孫を残すのは並大抵のことじゃない。だからカマキリやアンコウのオスは交尾後食われたりして栄養にされる。しゃあなし。大変だし……
がしかし、この世界の人間はカップルが成立するといきなり子供が出てくる。しかも歩くし話す。ラクチンパック。
現実的に考えれば別の誰かの子供だけど、現実では人を別の動物にはできない。これはファンタジーの世界。コウノトリがもってきてんじゃない?しらんけど。
だったらオスが求愛しなくてもいいはずだ。鼻潰してまで、兄を殺されてまで。
僕も中学生の時、モテたくて好きでもない歌やマンガを読んで
「~っていいよね。へへっ」
とか媚びへつらったことがある。あれなかったことにしてよ。
なぜあの世界の人間はオスが求愛するのか?
そう決まってるから。常識。
そうを決めたのは強者。メス。ホテルも森もメスが仕切る。
オスは黙ってろ。

過剰な秩序と自由の中でアイを叫ぶ。

秩序と平等、自由と独立、一見反する思想を持ってる二つのグループは強権的なリーダーがいるって共通点がある。
シコって一人だけ気持ちよくなるのはダメ。
自力で気持ちよくなれないセックスはダメ。
強者による理不尽なルール。やつらの強力な『領域展開』でこのルールは絶対必中。誰も何も言わない。納得できなくても弱者は従う。
抑圧されたカップルはリーダーの親が演奏するアノニマスの「ロマンス」で愛が爆発する。
その罪で女は視力を奪われ弱者にされる。視力を失った女はもう共通点を確認することはできない。つまり愛があるかを確認できない。
長寿のロブスターは珍しい交尾をする。お互いの尿を掛け合い交尾を許可し、ダンスの様な正常位で受精する。無防備になったメスをオスが守る。
そんな永遠の愛にも似たロブスターを選んだ男はそれでも共通点を持とうとする。
目をつぶしてもそれを証明することはできない。
共通点を持つことが愛の証であることも証明できない。
それでも従いたい。常識に囚われてるとしても、お互いに愛かもしれないから。

備忘録

BDのジャケットが物語ってる愛のカタチ。軽く震えた。
なぜ冒頭で女はロバを撃ったのか?
元旦那?独占欲?去勢者?多分ロバはつがい。

ホテルのオーナー夫婦は妻が主役。夫は脇役。妻のために死んでもいいとは思ってない。
オーナーの女は同じ監督作品の「女王陛下のお気に入り」で女王役してる。
このホテルでも女王。他の俳優も続投多い。

自由の森の過激派に事実をさらされる。殺すよりも有効だから。疑念を与えるみたいな。

森にはいるはずのない動物は元人間。クジャク、フラミンゴ。ラクダ?


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