【 第29回 】「授業力」に想う(2)
◆「つまらん」というつぶやきが聞こえていますか?
「わからない」「つまらない」
子どもたちは、学校の授業について、よくこんな言葉で文句を言います。
「つまらない」には、次のようなパターンがありますね。
・「わからない」から、つまらない
・「もうわかっている」から、つまらない
学級にはいろいろなレベルの子どもがいて、両方の「つまらない」が混在していると思います。
一人一人に対応していくのは、限られた授業時間の中ではとても難しいことだ、ということは想像がつきます。
しかし、たとえそうであっても、子どもたちのつぶやきを聞き逃さないで、授業を振り返るきっかけにしていただきたいと思っています。子どもたちの本音のつぶやきには、先生方の授業力アップのカギが隠されているのですから。
授業は、先生方にとっても、子どもたちにとっても、学校生活の中の大事な時間ですものね。
◆評価者は子ども
先生方は、自分の授業の「評価」について、どのように考えておられるでしょうか。
最近は、生徒や保護者が学校評価や授業評価をすることもありますが、多くの授業が先生と生徒のみで行われていて、他人に見てもらう機会はそれほどありません。そして、評価を受ける機会もあまりありません。
ですから、自分の授業が良いのか、そうでないのか、という評価を知るには、生徒のつぶやきは大切な要素になると思います。よくある形式的な授業評価アンケートよりも、つぶやきの中にこそ、授業の評価が出ているのではないでしょうか。
先生方は、「しょせん子どもの勝手なつぶやきだ」と思われるかもしれませんね。
でも、子どもというのは、実によく大人を見ています。子どものだらしない癖やしゃべり方などは、気付けば自分の癖だった、と親が愕然とするのはよくあることです。ですから、子どもの感覚はあなどれないなと感じています。
冷静に子どもの声を聞き、ときには自分の授業を「子ども目線」で見直してみることができると、新たに気付くことがあるかもしれません。
授業は先生が子どもに教えていますが、その中で「子どもが先生に教えてくれること」もたくさんあるだろうと思っています。
◆同僚と授業を学び合う
また、同僚の先生方の授業を見せてもらう、というのはどうでしょうか。
人は、自分のことは冷静に見ることが難しくても、他人のことは細かいことまで気になるものです。
それを「他山の石」として、わが身に照らしてみて、良い点は取り入れ、足りないなと思う点は自分も気を付けたらよいですよね。気付いたことをアドバイスし合えば、新しい気付きの数は2倍にも3倍にもなります。
そうやって、お互いに「授業を見合う」機会を作っていけば、きっと良い相乗効果が生まれていくだろうと思います。
校内や近隣の学校など、身近なところで、同僚同士で「授業を学び合う」効果は、とても大きいと思っています。
◆達人から学ぶ
私は、最近、たくさんの著書をお持ちで「学級づくりの達人」としてよく知られている菊池省三先生や、「授業の達人」としてたいへん有名な福山憲市先生の講演をお聞きする機会を得ました。
このお二人に共通するのは、「よく学ぶ」ということです。
偉大な先達からはもちろん、同僚からも、若手からも、他業種の方々からも、貪欲に学ばれています。そして、学んだことを積極的に発信しておられます。
達人の発信は、新たな学びや気付きがあふれています。きっとどの世代の先生が読まれても、大いに役立つことでしょう。
身近なところでの「学び合い」だけでなく、ときにはこのような優れた達人から学んでみてはいかがでしょうか。
著書を読む。映像を見る。講演会で話を聞く。勉強会に参加する。
方法は、いくらでもあります。
自ら求める学びは、きっと大きな力になってくれるはずです。
先生の「夏休みの宿題」として、さまざまな学びに取り組んでみていただけるといいなと願っています。
(2015年8月3日)
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2013年4月~2018年3月まで、5年にわたり寄稿・掲載された教育コラムの原稿集です。
保護者の視点で考えていた教育のこと、また先生方へのエールなど、自由に書かせていただきました。
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