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andymoriと無常観

  andymoriは僕の一番好きなバンドの一つだ。ずっと聴いてきて、小山田壮平の書く歌詞には無常観が漂っていると感じる。 

  無常とは、仏教用語で、一切のものは生じたり変化したりして、一定のままではないことを表す。つまり、人間は年取って外見も心も変わるし、いつか死ぬということである。そして、現世の役目を終えたら、また別の姿でこの世に輪廻転生する。 

 歌詞に無常がよく表れている曲が、ファーストアルバムから『Life Is Party』である。まずは、歌詞を見てみる。

昔インドの偉い人 サフラン色の風の中
Life Is Maya 呟いた
勘違いの連続が僕らの人生なら
Life Is Party 奈多の海岸
パラグライダー飛んでいった

10年たったらおもちゃもマンガも捨ててしまうよ
Life Is Party 気にしないでいいから
楽園なんてないよ 楽園なんてあるわけない
友達も繰り返してる Life Is Party

あの日の空は言うさ
あの日の空は言うさ
いつの日か悲しみは消えるよって

10年たったら旅にでよう南の国がいいな
みんなきっと驚くって 絶対ね
Life Is Party 胸の中
そっと燃えるランプについて
友達も知らないよ 分かってないよ

あの日の空は言うさ
あの日の空は言うさの
Life Is Party 明日もずっと続くよって

 このアルバムには、インドというワードが何度か出てくる。このアルバムを作る前、小山田はインドを旅している。そこで見たガンジス川の光景に衝撃を受けたらしい。調べてみたところ、ガンジス川では、死んだ人が川辺で焼かれて、そのまま流されるのだそうだ。つまり、お墓がないのだ。これはヒンドゥー教の考えに基づいている。彼らにとって、体を残しておく重要性はない。輪廻転生でまた、何度でも現世に戻ってくるからだ。一見、それは幸せなことに思えるが、彼らはそれを苦と考える。生と死の繰り返しから抜け出すことを目標にしている。

10年たったらおもちゃもマンガも捨ててしまうよ
Life Is Party 気にしないでいいから
楽園なんてないよ 楽園なんてあるわけない
友達も繰り返してる Life Is Party 

 10年で人は変わってしまう。昔はすべてが新鮮で、何をするにも楽しかった。でも、今は知識が増え、初めてのドキドキ感はもうほとんど体験できない。そんな人生。極楽浄土なんてない。ずっと、死んでは生まれを繰り返している。友達だって。、ずっと繰り返すんだから何も気にしないで気楽にいこうぜ。人生はパーティーだ。 そう言っているように思える。 

10年たったら旅にでよう南の国がいいな

 このアルバムが出たのが、2009年。そこから2014年に解散して、2020年に小山田は、自身の旅をモチーフにした『THE TRAVELING LIFE』というアルバムをソロ名義で発表した。実際に、この曲をつっくてから10年で旅に出たのかな。そんなつながりを探してみるのも面白い。

 この曲は、いやandymoriの曲は、「結局また来世もずっと繰り返すんだから、楽しく行こうぜ」と言っているように自分は感じる。だから、彼らの曲を聴くと、悩んでいたのが噓のように体の負担が軽くなる。

 何度も、助けられてきたandymoriこれからもつらいとき聴くだろう。

 

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