【当方見聞録】猛獣と無機質@シンガポール
先日、シンガポールに行ってきた。
5年前に弾丸出張で訪れた時以来2度目のシンガポール。
シンガポールは、タクシーでぼったくられることもなければ、街中にゴミも落ちていない。歩いていてやばい場所もまずない。飲食店はアジアの雰囲気を纏いつつ、治安よく清潔で安心感がある。
どこも快適なんだけど。
なんだけど、なんか、無機質でつまらないのよねぇ。。というのが私のシンガポールのイメージだった。
そして、割と良く聞くシンガポールのイメージ。
マーライオンと、宇宙船のように浮くマリーナベイサンズ。、、なんて、2秒あれば鑑賞終了だし。
わざわざもう一度来なくてもいいなーと思っていたが、トランジットついでに寄ることになったので、前回行けなかったナイトサファリへ行くことに。
ナイトサファリ、ご想像の通り夜の動物園。
夜行性の動物のナチュラルな様子がみれると評判のシンガポールが誇る動物園。日本のサファリパークと違って、車じゃなくて歩き(か、トリム)で回る。
私はスケジュールの関係で、同行者と別行動で、一人で歩き回ることになった。
カップルや家族連れしかいない園内。一人の客なんて皆無だが、これを逃すと来るチャンスはないので、寂しい気持ちを抱えつつ足早に巡る。
夜の茂みに佇むキリンとか。ガラス一枚隔ててすぐ横をうろうろ歩き回るライオンとかヒョウとか。
楽しい。けど想定の範囲内。
衝撃だったのは、ハイエナだ。
ハイエナコーナーは柵やガラスはなく、私が通ったとき、ちょうど他のお客さんはいなかった。
大人がすれ違えるくらいの細い道の左右に、ジャングルを切り開いたような自然が広がるその場所。
ハイエナコーナー真ん中あたりまで歩みを進め、横に広がる背の低い繁みの向こう側を見たその時。
私を凝視している2匹のハイエナと目が合った。
ぶっちぎりに上がる心拍数。
暗闇に肉食獣ハイエナ二匹の目が浮かび上がっているのだ。
二匹とも、完全に視線は私にロックオンしている。
…あれ、ハイエナって肉食だっけ?
…あれ、なんでガラスないんだっけ?
と頭の中ぐるぐる。
私の知ってるハイエナの知識って、ライオンキングに出てくるハイエナだけな訳で、肉食だし獰猛だし、シンバにとって敵だし嫌な奴だし。
柵も何もない場所で、そんなハイエナと向き合う…
これ…目を逸らしたら喰われる?
一人だから、喰われても誰にも分かんないんじゃ…
もしかしたら、一人では入るなって入り口に書いてあったりして…
「いやいやいや」とハイエナ相手に呟いてみる。
語りかけた方が敵と見做されないかなぁとなんとなく、うっすら独り言を言ってしまう。
殺意みたいなの出しちゃうと襲われるかもだから、心を落ち着けなくちゃと、
ちょっとハイエナ相手に微笑んでもみる。
ニコリとも微笑み返さないハイエナ2匹。
ダッシュで去りたい。ここから。
でも、走ったら襲われそうな気がしてできない。
こういう時に限って、カップルも家族連れも通らない。ほかのコーナーにはたくさんいるのに。
やっぱここは、危険コーナーなのか?!
動けない。
でも出るしかない。
自分の足で外界に戻らないと。
ハイエナ2匹に微笑みかけつつ、一歩一歩、歩みを進める。
スマホがLINE受信してウンウン鳴りだすが、
見てる余裕なんかなし。
バイブの音がハイエナを刺激するから、今はやめて、と誰だか分からぬLINEの送り主に心の中で懇願する。
一歩一歩じりじり進む。2匹は依然こっちを見てる。。。あとちょっとで2匹から死角になる繁みがある。。。あとちょっと。。。
繁みの陰に入った瞬間、
超ダッシュ。
とりあえず人のいるとこまで、超ダッシュ。
この時ほどスニーカー履いててよかったと思ったことはない。
ニューバランス神。
外に出て飲んだタイガービールのうまいことと言ったら。。
大都会のど真ん中で弱肉強食と向き合える場所、シンガポールにあります。
ちょっと、癖になるあの感じ。また行きたい。一人で。
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