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従業員のお困りごと㉚

知的障害がある佐藤さん(仮名)は、入社10か月になります。語彙が少なく、お仕事をしていく中で、「困りごとがあった際に、状況をうまく説明できない」ということが日々起きていました。安心して働く環境を築いていけるよう、企業として下記のような取り組みを行いました。なお、業務内容は「社内便の配達・管理」「文房具などの補充」「請求書の発送準備」などですが、他にも各部門から依頼されたさまざまな業務を行っています。

■他社事例を学ぶ
障害者雇用の知識もなく手探り状態だったので、他社の取り組みを学びたいと思い、講習会に参加しました。障害者雇用の基礎知識を習得し、参加者とのディスカッションを通じて、多くのことを学び、障害者雇用の奥深さを感じました。他社も試行錯誤しながら支援を行っていることを知りました。

■臨床心理士に来ていただく
月1回、佐藤さんを含めて、臨床心理士を招いてソーシャルスキルトレーニングを実施しました。職場でよくあるケースを想定したり、ロールプレイングを行い、それを何度も繰り返すことで理解を深めていきました。しかし、佐藤さんはみんなのテンポについていくのが精いっぱいで、スキルを身に着けるまでには至りませんでした。どうしたらいいのだろう、そんな感情でいっぱいになったことを覚えています。

■OJTに力を入れてみる
日々のOJTが一番合った方法なのではと思い「どのような言葉のかけ方であれば、佐藤さんの気持ちを引き出すことができるか」と考えました。シンプルな質問形式にして「はい・いいえ」で答えられるように変えてみました。
はい・いいえで答えられるようになったことで、徐々に自分の気持ちを伝えられるようになりました。この方法はよいのだなぁと、社内に共有しました。

■業務指示書を導入しました
今まで口頭による指示をしていましたが、担当業務を一覧にまとめた「業務指示書」を導入しました。その日の役割分担や注意事項、必要なポイントを視覚的に確認できるようにしました。視覚優位性が高い佐藤さんにとって、口頭だけではなくて、書面にして明確にしたことが効果的だったようで、今までよりスムーズに行うことができるようになりました。

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業務の切り出しが進むことで”社内の生産性向上”にもつながっていると感じています。新しい労働力として社内に認知され、現在は各部門に出向いて業務にあたることもあります。みんな温かく見守りサポートしてくれています。障害者雇用をきっかけに根付いた「人を想うこと」という温かい組織風土を大切に、より広げていきたいです。

障害者雇用は、”長期的”にみて組織がつよくなることを感じています。

私たちYORISOUが障害者雇用で相談をいただいたとき、ご相談の1つに「業務の切り出しの方法」が多いです。私はいつもこんなアドバイスをさせていただいております。最後にシェアして・・今日はこのへんで~。

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①緊急性はないけれど、重要度の高いものを洗い出す
②私たちにとって負荷がかかる業務を洗い出す
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YORISOU社会保険労務士法人の松山です。わたしたちは、企業が抱える従業員のお困りごとに対して、積極的にサポートしていきます。また、育児・介護・病気と仕事の両立支援についても、企業を支えていけるよう職員全員でがんばっています!
*本文の内容は、行政機関で紹介している障害者雇用の事例集などを参考に  作成しています。





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