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[Part2]大学で起業し、走ってきた8年 〜TOYOTA等から10億円資金調達し、「Forbes 30 Under 30 Asia」に選出された20代・シード期〜

こんにちは、オプティマインド代表の松下健です。

30歳という節目を前に、オプティマインドを起業してから今まで、どんなことが起き、その都度、自分がどんな気持ちだったのかを振り返っています。前半は、大学時代に起業してから日本郵便様のアクセラの最優秀賞受賞までの約3年間を書きました。

後半は、他社から出資いただき、株式会社になったオプティマインドの「第二創業期」を綴っていきたいと思います。オプティマインドが創業メンバーだけのものから、ステージアップした大切な時期です。

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2018年2月に日本郵便様のアクセラで、最優秀賞を受賞したことで、オプティマインドの事業を評価していただくことができました。日本郵便様から認めていただけたことが本当に嬉しかったですし、世界が一変した瞬間です。そしてありがたいことに、最優秀賞受賞後、複数社から出資のお話をいただくようになりました。

当時は、自己資金で会社を経営しており、今後急成長していくためには「このままではダメだ。さらにステージアップしなくては。」という気持ちを持つようになります。

創業当時から抱く「技術と現場の架け橋になる」という思いを実現したい。世の中により大きなインパクトを与えていきたい。そのためには資金調達をしながら会社を成長させていくことが、ミッション達成や自分たちのやりたいことへの近道になると感じ、元々ご縁のあった寺田倉庫株式会社様、株式会社ティアフォー様よりそれぞれ5千万円ずつの出資を受けることになりました。

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どうしてこの2社からの出資を受けることになったのかというと、やはり受賞前からオプティマインドを応援してくださっていたことが大きくあります。

日本郵便様のアクセラのアドバイザーだった寺田倉庫株式会社執行役員の月森さんは、プログラム側としていらっしゃっていたにも関わらず、私たちスタートアップ側を常に主語にし、親身になって支えてくださいました。スタートアップを応援してくださる月森さんに私自身、信頼を置くようになり、寺田倉庫様からの出資を受けることになります。

また、株式会社ティアフォー様には、オプティマインドが物流で勝負すると決める前の2017年ごろからお世話になっていた背景があります。当時、名古屋大学の客員教授であった株式会社ティアフォー代表取締役の出川さん(元インテルキャピタル日本代表)に相談したところ、オプティマインドの事業に対し、「技術も意義もあり、このまま進んでいくべきだ」と背中を押してくれました。日本郵便様のアクセラの受賞よりもずっと前からオプティマインドを信じてくださっていたのです。

当時は、合同会社でスタートアップの資金調達について知らないことも多くありました。それに日本郵便様のアクセラで受賞したとはいえ、当時はまだプロダクトもサービスも実績も何もなく、技術も確立したとは言えません。
そのような状態のオプティマインドに寺田倉庫株式会社様、株式会社ティアフォー様から合計1億円の出資をいただいたことは改めて、オプティマインドの社会的意義を信じていただけたことであり、創業メンバーへの期待の気持ちがあったのではないかと感じております。

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プレシリーズAの資金調達を経て、オプティマインドは「第二創業期」に入ったと思っています。

資金調達を行う以前は、自己資金でしたので、正直自分たちが辞めようと思えばフェードアウトできる状態でした。しかし株式会社化することで、株を分配し、創業メンバーにも、社外の方にも株式を持ってもらうことで、自分だけの会社ではなくなります。退路を断ち、決意をした瞬間でした。

株式会社となり、資金調達を行いましたが当時はまだ売上がありませんでした。しかしさらに成長するために人材採用を行うことを決めます。創業メンバー以外の初めての正社員採用です。

これまでは創業メンバーの4人だけでしたので、給料が5万円でも、福利厚生がなくても、生活のためにアルバイトをしなければならなくても構いませんでした。しかし正社員を迎えるならば、決めた分の給料は支払わなくては当然なりませんし、正社員にも家族がいます。自分たちの好き勝手でなんとかなる話ではなく、社員に対する責任が生まれます。

株式会社化し資金調達を行うことと、正社員を迎え入れること、この2つはオプティマインド第二創業期が始まり、「自分だけの会社ではなくなる」という非常に覚悟のいる出来事でした。

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資金調達に成功したものの、まだスタートアップ界隈や世間に対する認知度が低かったため、2018年9月、ICCサミットKYOTO2018に出ることを決めました。

ICCサミットは、日本最大級のスタートアップカンファレンスであり、メインである「スタートアップ・カタパルト(事業モデルコンテスト)」での勝負です。オプティマインドは、配送ルート最適化クラウドサービス「Loogia(ルージア)」についてプレゼンテーションを行います。そして結果はなんと、優勝でした。

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動画はこちらです:https://www.youtube.com/watch?v=uBO3lfGzbVI&t=3s

ありがたいことに、この頃からピッチの機会を多くいただくことになります。その中の一つとして、2018年10月「EY アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー 2018 ジャパン」の「EOY Japan Startup Award 2018 東海・北陸地区代表」として表彰していただきました。

そしてその時に、ある方のスピーチが心に響きました。同じ場で女性起業部門で表彰されていた株式会社ヴィノスやまざき 社長の種本祐子さんです。

種本さんはスピーチの中で「経営とは続けること」と仰っていて、私はこの言葉にとても惹かれました。種本さんからアドバイスをいただけないだろうか。第二創業期を迎えたばかりの私はそう思うようになりました。

同じタイミングで種本さんも、「物流という大事なドメインに対し社会貢献をする起業家を応援したい」と思ってくださってたようです。種本さんからの連絡があり、私もお会いしたい気持ちを伝え、東京で対面することになりました。これを機に意気投合し、交流が生まれ、現在はオプティマインドの経営顧問になっていただいています。


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一億円の資金調達。
正社員の採用。
そして2019年1月に自動配車クラウドLoogia(ルージア)の正式リリース。

一見順調のように思えますが、実際は課題だらけの日々でした。

まず、私自身が経営に慣れておらず、メンバーに大変な思いをさせてしまったことがありました。ミッション・ビジョン・バリューを浸透させるために何をすればいいのか四苦八苦…。私が心配性で細かいことが気になる性格なあまり、マネジメントスタイルがマイクロマネジメントになりがち…など、当時のメンバーに苦労をかけてしまいました。

リリースしたばかりのLoogiaに関しても、「どのお客様にフォーカスし、どのような機能が求められるのか?」を試行錯誤する日々で、機能面では常に不足していました。お客様には期待を込めて契約していただいておりましたが、本格的な運用にはまだまだな状態です。

「物流」というディープな業界で、「アルゴリズム」というディープな方法を扱うこと。
これは、社会課題を解決すると信じ、大学時代から自分の武器にしたいと思っていた「アルゴリズム」が物流の現場で求められていると感じ、オプティマインドのミッションと合致していたためにスタートしたことでした。けれども物流業界にアルゴリズムを取り入れることと向き合えば向き合うほど、実情を知れば知るほど、難しさを痛感していていきます。

しかし、だからこそ諦めることはしませんでした。より資金を投下し、より組織を強くする。サービス開発と現場での検証を加速するために、再び資金調達をしていくことを決めます。

「世界のラストワンマイルを最適化する」というビジョンの元、まずは国内。そしてゆくゆくは世界で活躍する会社になるためには、やはり世界的な企業に支援していただくことが大事です。

技術面、ビジネス面共にサポートいただきたいという思いから、2019年10月にトヨタ自動車様、三菱商事様、KOIF(KDDI&Grobal Brain)様、株式会社MTG Ventures様から総額約10憶1300万円のシリーズAの資金調達を行いました。

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特にトヨタ自動車様、三菱商事様という日本を代表する2社から出資を受けることは異例なことであり、トヨタ自動車様から直接出資していただくことは、滅多にないことだと。異例中の異例だと聞きました。

トヨタ自動車様からの出資の背景をお話すると、名古屋でお世話になってた経営者の方からトヨタコネクティッドの常務を繋いでいただき、常務の方からトヨタ自動車副社長の友山さんを紹介していただいて、副社長に直接プレゼンをしました。

トヨタ自動車様は中長期的に自動車の会社からモビリティプラットフォームを構築していくときに、人流でも物流でも必ずルート最適化が必要になっていきます。その際、必要機能の一つとしてオプティマインドと未来に向けて共同開発をしていこう、ということでタッグを組むことを決めました。

三菱商事様からの出資は、名古屋で知り合った当時の中部支社長が本部にかけあってくださったことがきっかけです。三菱商事様は日本国内に様々な産業を持っています。オプティマインドのビジョンである「世界のラストワンマイルを最適化する」ことを達成するには、宅配だけなど特定のドメインだけではなく、総合的に多産業に展開していかなければなりません。様々な産業に関わる三菱商事様にビジネスとしての支えをいただきたいという思いから出資いただきました。


トヨタ自動車様、三菱商事様、KOIF(KDDI&Grobal Brain)様、株式会社MTG Ventures様、そしてプレシリーズAで出資していただいた寺田倉庫株式会社様、株式会社ティアフォー様の合計6社の強いバックアップがあり、オプティマインドは次のステージとして成長していくことになります。

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話は変わりますが、起業した中で、成長を実感したことの一つに「オフィス」の存在がありました。少し、これまでのオフィスの移り変わりを振り返ろうと思います。

創業当時はメンバーが2名で、登記先は私の実家。活動場所は名古屋大学の研究室でした。メンバーが5名を超えたあたりから、研究室から名古屋大学のシェアオフィスに移動します。

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上:最初の活動場所の柳浦研究室で創業メンバーの呉さんとのお別れの写真
下2つ:名駅にある名古屋大学のベンチャー支援のシェアオフィスの退去日

そして2019年10月に今の自社オフィスに移転します。

1階のビルの案内板には「株式会社オプティマインド」の文字があり、ビルの9階に着くと、目に入るのは受付の電話と「OPTIMIND」のロゴ。

見た瞬間、ちょっとしみじみとした気持ちになりました。
というのも、創業当時、様々な会社を訪問する中で「自分のオフィスを持ち、入口には受付の電話があり、その上には会社のロゴがある」というようなオフィスを自分もいつか持ちたいと憧れを抱いていたのです。いよいよ、自分たちがこの段階まで来たと、感慨深い気持ちになった瞬間でした。

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上:会社のロゴと電話がある憧れだったエントランス
下:新オフィスへの引越し日、みんなで箱を開封中

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また、以前からの夢が一つ、叶った出来事がありました。アジアで活躍する30歳未満の人材を輩出する「Forbes 30 Under 30 Asia」に、2020年4月に選出いただいたことです。同じ年の10月に 「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2020」にも選出いただきました。

 「Forbes 30 Under 30 Asia」は、大学一年生のときに知り「いつか選ばれたいな」と憧れがれていたこともあり、願いが実現した時でした。

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選出いただいたことが非常に嬉しかった反面、正直まだ自分自身が受賞できる段階ではないのではないか?という気持ちの方が強かったのを覚えています。

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ここまで起業前と、オプティマインド創業後の約6年間を振り返ってきました。現在、起業してから8年目に突入します。

今年で30歳を迎えるという節目にあたり、学生時代からたくさんの方の支えがあり、ここまで歩んで来れたと改めて思いました。本当に感謝しています。
未来を見て進んでいくことは大事ですが、これまでの多くの方とのご縁・ご支援でオプティマインドが成り立っていることを、オプティマインドに関わるメンバー、これから関わってくれるメンバー、そしてその他起業する人々にも共有したいと思い、改めて書き残しました。


起業をした2015年。
活動していた研究室から深夜0時ごろに帰っていたとき、「いずれは社員数50名に。売上も数億円で…」という妄想をよくしていました。

オプティマインドは現在社員数40名を超え、事業としても前期と比べ200%と、組織も事業も急成長中です。起業した当時に目指していた状態を達成できたと思います。

ですが起業当時に思い描いていたオフィスに通う今の私が思うことは、

「まだまだ足りていない」

今はまだ富士山の一合目にいるような気持ちです。
これからもっとオプティマインドという会社が存在することで、Loogiaというプロダクトが存在することで喜んでもらえる人たちを、日本国内、世界中で何千人、何万人と増やしていきたい。

オプティマインドのメンバーが家族と旅行をしているときに、ふと道路を見ると「パパの会社のお客さんだね」と家族が言ってくれるような、全国、世界で「Loogia」が在る状態。パソコンで言うところの「インテル入ってる」のような、「Loogia入っている」という世界を実現する日を目指しています。

その未来が訪れて、また改めてこれまでを振り返ったときに、ご縁のある方々とさらに出会えているように。オプティマインドのミッション達成のために、メンバーと共に歩み続けていきます。


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