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合気道のためのマニアックこじつけ古事記講座:武産合気の個人的解釈

合気道開祖は「合気道とは古事記の実行である」と言ったとか。

そのせいなのか開祖は古事記に関連した話をなんの説明も脈絡もなく放りこむので、聞いたり読んだりする側はただただ混乱させられる。

かといってそのために古事記をよんでみてもよーわからん。

そんな人のために勝手な解釈で合気道的な古事記をぶちあげてみよう。

忙しい人は各章の「ワンポイントまとめ」とその「まとめ」だけ読むと良いよ。

造化三神

古事記の冒頭でさっそく登場するのが造化三神こと天之御中主アメノミナカヌシ高御産巣日タカムムスビ神産巣日カムムスビだ。

合気道では陰陽や呼吸という言葉と絡めて出てくる。

産巣日は文字通り神界の祖で御産巣日は別名・高木神とも呼ばれ、神々を天から地へ降ろす仲介役とも言われている。

要するにが神産巣日でが高御産巣日という陰陽であり、その中心がやっぱり文字通り天之御中主ということができてしまう。

これで天と地と中心というわけで、これは陰と陽とその根源だ。

陰と陽を振り分けるには基準となる中心が必要になる。

古事記の序文でも漢文では、

乾坤初分(天地がはじめてわかれて)
參神 作造化之 首(三神がすべてを作り出す最初の神となり)
陰陽斯開。(陰と陽がここに開けて)
二靈爲群品之祖。(イザナギとイザナミが万物の祖となった)

参考『古事記原文』webサイト

とある。

陰陽、万物の区別をはじめて開いたのが造化三神という解釈でいいわけだ。

あと、これに加えてさらに宇摩志阿斯訶備比古遲神ウマシアシカビヒコヂノカミ天之常立アメノトコタチノカミの五柱の神々はまとめて別天神コトアマツカミと呼ばれている。

参考『国学院大学古事記センター』webサイト

ワンポイントまとめ

造化の三神とは陰陽のこと

イザナギ・イザナミ

お次は万物の祖となったイザナギ・イザナミだ。

これはナギナミ 二尊みたいな感じで言われていたりする。

文字通り読めばナギナミという陰陽であり、また「イザナう」という言葉遊びとしても成り立つ。

凪とは風のない波の立たない海の状態であり、波とは当然ながら打ち寄せ引いていく通常の海のこと。

この二柱の神が天之浮橋アメノウキハシと呼ばれる天地の中間に立って、天沼矛アメノヌボコと呼ばれる槍で「塩許々袁々呂々コヲロコヲロ」と地上をかき混ぜると「淤能碁呂オノゴロ島」が生まれた。

これ

オノゴロ島というのは己から凝る(固まる)島みたいな意味もあるらしい。

これらは古事記のホンの序盤なんだけど、ここらへんまででも開祖の口述では重要ワードとなる名称がゴロゴロと出てくるよ。

ワンポイントまとめ

イザナギ・イザナミとは陰陽のこと

クニタチ・トヨクモ

ちなみに最初の造化三神・別天神からイザナギ・イザナミが現れるまでに途中にもなんかよくわからん神々が現れている。

このなんかよくわからん神々についても開祖は言及してくるので説明しておこう。

まず先ほどの別天神コトアマツカミと呼ばれる五柱の後に出てくるのが國之常立神クニトコタチノカミ豐雲野神トヨクモノカミだ。

これについて開祖は國之常立神が右豐雲野神が左みたいな説明をしてくるのだが、これがどういうことかというと要するに陰陽のことだと解釈できる。

この神は左右のように対(陰陽)になっているというわけだ。

開祖のわけわからん発言を一部抜粋してみよう。

物と心は、一切万物が持つものであります。これが生活の道であります。自己が御中主神となって、次に国之常立神(女神)を造ることになります。天降りの第一歩豊雲野神が男神であります。

は発し、はこれを受ける、物と心を受けて生むのは女であって、これ、魂のモチロの中心であります。

右足をもう一度、国之常立神の観念にて踏む
(中略)
左足は豊雲野神でありますから、これが千変万化の無量無限、神変、神秘を現わすことになります。この意義をもととしてすべてに活用するのであります。
(中略)
左は正勝―豊雲野神(男神)
右は吾勝―国之常立神(女神)

魄(肉体)を脱してに入れば勝速日の基、左右一つに業の実を生みだします。
(中略)
左で活殺を握り、右手で止めをさす。これが左の神業の意義であります。技が生か滅か、端的な活殺が武産合気であります。手足の四つは四天、八方、陰陽表裏を知って動くところに気締りがあります。

『武産合気』より抜粋(一部補足有り)

わかった上で読んでみるとずーーっと同じこと物心・男女・左右・正勝吾勝・活殺・表裏・陰陽のことを語っているのがわかる。

ワンポイントまとめ

クニタチ・トヨクモとは陰陽のこと

その他の神々

こっから出てくる神々はとにかく詳細はよくわからない。

なんかしら意味はあるのだろうけれど、とにかくぼこぼこ出てくる。

わらわら

宇比地邇ウヒヂニ妹須比智邇スヒヂニ
角杙ツノグヒ妹活杙イモグヒ
意富斗能地オホトノヂ妹大斗乃辨イモオホトノベ
於母陀琉オモダル阿夜訶志古泥アヤカシコネ

要するにこれらの神々はなにかしらの陰陽の概念を象徴した対になった神々だ。

名前もなんとなく対になってるっぽくない?(最後の方はめっちゃ強引だけど……) まぁ所説あるらしい。

バランスの取れた二人ってコト

迷惑なことにこの神々の名前を開祖は脈絡もなくポンポン言っていたわけで、こんなのいきなり言われてもわかるわけがないのだ。

要するにこれらが何かというと以下のようになる。

ワンポイントまとめ

その他の対になってる神々はぜんぶ陰陽のこと

まとめのまとめ

おわかりいただけただろうか?

合気道開祖が脈絡もなく言ってくる神々というのはすべて陰陽のことなのだ。

というわけで今日はこれだけは覚えて帰ってください。

「合気道で神々の名前」はすべて陰陽です

ちなみに神様が三柱だろうが、五柱だろうが、奇数だったとしてもすべて陰陽です。

なぜなら対になるものには必ずその中心があるから。

左右や天地、上下といったものを決めるためには中心が要る。

だから奇数であっても、どんなに数が多くても、どうあがいても陰陽。

天照大神と月読命だって太陽と月であるように古事記は様々な陰陽の誕生を神として現しているのかも知れない。

そういった説を採用して合気道開祖は神々の名を口にしていたのかも。

という解釈もある、ということで。


おわり


マツリの合気道はワシが育てたって言いたくない?