原始の宗教トーテミスムの解説【宗教生活の基本形態と合気道④】
世の中には違うように見えて似ている。
トーテミスムと合気道もけっこう似ていると思う。
というわけで今回はトーテミスムとは何か?を解説するフリをして合気道のことを書きます。
トーテムってなあに?
まずなによりも重要になってくるのは「トーテム」という単語。
よくトーテムポールというインディアンとかのポールがあるけれど、トーテムポールは「トーテムをいっぱい積んでポールにしたよ」という意味だ。
トーテムとは「家紋」や「紋章」といった意味で、マーク自体を「トーテム」という。落書きみたいなマークだったりするけれど、それらが動物や植物を意味して、500以上あったらしい。
トーテミスムとは?
デュルケームによればトーテミスムとはいわばマークへの信仰であり、組織管理みたいなものでもある。
ひとつの部族は分割されてふたつの胞族に別れ、胞族トーテムが設定されていく。
それは基本的には陰陽、対立関係が成り立つ。
例えば白オウムと黒オウムだ。そしてさらにその下に5つくらい氏族というグループがあり、それぞれに胞族に関連したトーテムが設定される。
ふたつの胞族の中の氏族も陰陽の関係にあったりなかったりするらしい。
宇宙のすべてが1つの部族であり、それを2つの正反対の胞族で分割し、さらに10以上の氏族グループに分類されているという壮大なイメージからなっている。
部族は世界の中心であり、それを胞族と氏族でわけていく分類がトーテミスムの基本だ。
合気道的分類思考
これは合気道の開祖が持っている宗教観とも近くて、神道的な宇宙観である「一元」の考え方とほぼ一致している。
最初にたった1つの根元があり、そこから陰陽2つの異なるものが生まれ、その陰陽から陰の陰、陰の陽、陽の陰、陽の陽みたいな感じで4、16、256、、、という感じで倍に増えていって宇宙のすべてが1つのものから生まれたという考えだ。
アボリジニの宇宙観と繋がるということやっぱ人類普遍の分類方法が合気道にもあるということなんだろうなと思う。
トーテムのルール
トーテミスムは部族ごとにシンボルとなる動物と同一視され、本人たちも同一だと言い張る。
ネコ部族の黒ネコ胞族のキャットフード氏族は自分たちはキャットフードだと言い張り、自撮りをしてもキャットフードが写っていると言う。
そういうとなんだかアホみたいではあるけれど、これがなかなかどうしてバカにできないのは後のレヴィ=ストロースの研究によって明らかになる。
まとめ
トーテムは神話や宇宙とつながった称号システムだ。
これによって宇宙全体とゆるく繋がった関係にあるというのはなかなか面白い。
基本的にすべてが敵ではなく仲間。
人類は本能的なのか昔からこうした分類と階層化をしているというわけだ。
ちなみに合気道開祖は「精神や肉体、あるいは宇宙とは魂の緒で繋がっている」といった語っていて意味不明だったのだが、
トーテムはあらゆるものと繋がる内的な紐帯(二つのものを結束させる帯)があるといったような記述があって、魂の緒というのも紐帯的な意味合いなんだろうなと。
そんなわけで合気道もトーテミスムも同じようなもんだなと感じる今日このごろ。
ちなみにこの考えはレヴィ=ストロースによってさらに確固たるものになった。
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