見出し画像

常人には絶対マネできないことをやる人間臭い人たち_ツールドフランス2022

週末はいつも通りロードバイク。朝は雨が降っていたのでZWIFTでインスブルックの町を走る。午後からはぎりぎり晴れている隙をついていつも通り近くの手稲山に登ってきた。今日はようやく33分台。今年一番早いタイムだったけれど去年のベストよりは3分以上遅い。まだまだ。


いま世界陸上をやっていて、トップアスリートたちが飛んだり跳ねたり投げたりしているけれど、一番きつそうなマラソンでも42.195km。そのマラソンも東京マラソンで毎年何万人も一般ランナーが参加するということは、陸上競技は記録を無視すれば自分でもやれないことはなさそうだ。

一方で絶対にマネできない競技もある。
今、全世界で中継されていて、世界陸上の比ではないくらい注目されているスポーツイベントはツールドフランスだ。オリンピック、サッカーワールドカップと並ぶ世界3大スポーツイベントの一つ。世界約190カ国で放送され 視聴者数は35億人、総観客数は1,500万人であらゆるスポーツイベントの中で最多を誇る。

日本ではロードバイク人気が高まりつつあるけれど、注目度はまだまだ。日本人選手がなかなか参加しないというのも理由だと思う。今年は日本人選手は一人も参加していない。

今年のツールドフランスは第109回。21日間で3,350kmを走る。そのうち6日間は一日で3,000m~4,000mを登る山岳ステージだ(富士山の標高は3,776m)。常人には絶対に出来ないことをやる人達を見ているだけで、私は素朴に心を動かされる。

レースの累計タイムが一番少ない選手が総合トップとなり、マイヨジョーヌ(イエロージャージ)を着用し、最終日のパリのステージでマイヨジョーヌを着ていた選手が総合優勝者となる。


2022年大会の実質的な決着は第18ステージ。超級山岳オタカムでツールドフランス3連覇を目指したタデイ・ポガチャルに1分差をつけて優勝したヨナス・ヴィンゲゴーがマイヨジョーヌをほぼ手中にした。

第18レースはリードされていたポガチャルが何度もヴィンゲゴーを振り切るためのアタックを繰り返し、それについていくヴィンゲゴーという構図。2人で山を下る勝負どころで逆転を目指すポガチャルが砂利に滑って落車してしまった。

ふつうの競技であればそこで勝負あり、一気にヴィンゲゴーが逃げていくのだろうけれど、100年以上の歴史のある自転車競技はそうならない。不運で転倒したポガチャルが追い付くのをヴィンゲゴーが待ってまた二人で走りだす。最終的にはポガチャルを待ったヴィンゲゴーが最後のオタカムの登りでポガチャルを引き離してこの日の勝利とともに総合優勝をほぼ手中にした。

3,000km以上を3週間かけて走り続ける選手たちはライバルでもあるが、同じ旅をする仲間でもある。相手の不運に乗じて勝利することを良しとしないヨーロッパの伝統と誇りをもつスポーツなのだ。

ヴィンゲゴーは25歳、ポガチャルはまだ23歳。ツールドフランスはチームスポーツでもあり、集団のコントロールも含めた統率力さえも求めらると言われるスポーツで、30代中盤まで第一線で活躍する選手が多い。

あと10年近く二人の戦いが見られると思うと非常に楽しみだ。もちろん二人以外にも数多くの名選手がいる。日本人はほとんど知られていないけれど、世界的にはオリンピックのメダリストクラス、サッカーワールドカップのヨーロッパ、ブラジルの代表クラスの知名度を持つスーパースターぞろいだ。

youtubeで全ステージのハイライトを見られるので興味が湧いた方は是非見ていただきたいと思う。さらに興味が湧いてロードバイクに乗ってみたいという方は是非乗ることをお勧めする。私の経験では、どんどん健康になって、2年以内に体重が15kg以上落ちる可能性が十分ある。

ツールドフランス。
とても不思議で人間臭くて、ほとんど誰にもまねできないことをやる超人たちの旅行。見る価値は十分だ。



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?