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孤独の音が聴こえる_レイキャビク移住計画

昨日は妻の知り合いのお店で久しぶりのディナー。普段よく行く近所の中華料理屋とか居酒屋より静かでゆっくり話ができる。


「今の仕事が終わったらレイキャビクに移住しようと思ってるんだけど」と私。

「そう、あなたの人生だから止めないけれど気を付けてね」と妻。一緒に来るつもりは全くないようだ。

「アイスランドに行くなら火山に注意したほうがいいよ。それからヨーロッパプレートとユーラシアプレートの境界があって、日本とは逆でプレートが開いていて地上に裂け目ができているから落ちないようにね」

妻のほうがずっと詳しい。私はただ、せっかくだから今(札幌)より北のほうがいいなという思い付きで話をしただけなので、どんな場所か全然わかっていない。今より暑いところで暮らす元気も気力も私にはないので、寒い国で寒い部屋をストーブで暖かくして、その前で本を読んで暮らしたい。

ディナーの食事が運ばれてくるまでの間、そんな話をしていたのだけれど、話しているうちに気になってレイキャビクについて調べてみた。


レイキャビクはアイスランドの首都で、世界最北の首都。人口12万人だから札幌の1/10以下のコンパクトな街だ。鉄道も地下鉄もなく、高層ビルも一切ない。電気はすべて地熱発電でまかなっていて、犯罪率は世界で一番低い。そして人口1人あたりの書店の数が世界で一番多いとのこと。やはりみんなストーブの前で本を読んで暮らしているのだろう。

アイスランドに住んでいる日本人は60人くらいしかいないそうで、そのほとんどがアイスランド人と結婚した配偶者とのこと。つまり、夫婦で移住とか、単身で移住するというのは現実的な選択肢としてはほとんど不可能ということだろう。思い付きで移住できるほど世界は甘くない。

「なんでレイキャビクなんかに移住したいの?」と妻。

特に理由はないのだけれど(私には、ほとんどのことに理由がない)、なんとなく静かで寒いところで人生の後半を暮らすのも悪くないなと思ったのだ。今暮らしている札幌も十分すぎるほど寒いけれど、やっぱり日本は騒がしい。くだらない情報やうんざりするニュースがたくさん耳に入ってくる。そんなものから離れて静かに暮らしたい、そんな風に思う。妻は札幌にいてもくだらないニュースや情報を一切遮断して生きているので、ただ自分もそういう情報を遮断すればいいだけなのはわかっているのだけれど、そう簡単ではないのが人間というものだ。

アイスランドの陸地の11%は氷河で覆われており、人間は沿岸部だけに住んでいる。、内陸部はハイランドと呼ばれ、道路すらなく、だれも住んでいない。そんな場所に一人でしばらくいたら、私はどうなってしまうのだろうか。見渡す限り誰もいない、道すらない大地で生きるということは、何を意味するのだろうか。


孤独に音があるとすれば、そこに行けばきっと孤独の音が聴こえるだろう。私はそんな世界に、どうしようもなく惹かれている。


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