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デジハラの真実_即レス上司の苦悩

※一身上の都合で名前が変わりました 
~以下本文~


「君のメールをまとめたらそのうち本になるね」

「このプロジェクトが終わったら本にまとめて出版する予定です」


そんなメールのやり取りを支店の幹部としている。プロジェクトの現状がひっ迫していて、優秀なスタッフの追加の補充をお願いする懇願メールの返信だ。

これは文章をほめられているのではなく「メールが長すぎる」と暗に言われているのだ。ビジネスメール失格の長文メールをばらまき続ける迷惑なプロジェクトリーダー。

先週末も直属の管理職の部下たち(若手メンバーをマネジメントする課長クラスの中間管理職)と話していたら、私のメールの返信が早すぎる上に長すぎて対応しきれませんと苦言を言われた。

グループウェアやメールで部下に矢継ぎ早に指示や指摘をすることを「デジハラ:デジタルハラスメント」というとその部下から教えてもらった。夜や休日にやるのはハラスメントだろうけれど、いつもは判断を早くしてほしい、明確に方針を出してほしいと言われながら、急いで返信するとメールが早すぎると言われるとさすがに戸惑う。

私も別にPCの前でメールを待ち構えているわけではないのだけれど、メールが来たらすぐに返信するのが習慣になっている。よくビジネススキルでメールやタスクは優先度をつけて進めるのがよいと言われるけれど、私は部下にはそんな風に言いながら、自分は仕事の優先順位をあまり考えない。基本は「来た順」に処理していく。途中で仕事が挟まれた場合はどうするのか。私は新しく来たメールや仕事を先に進める。仕事が上書きされたらそれを処理して、それが終わったら、さっきまでやっていた一つ前の最新の仕事を処理する。

結局全部処理しなければいけないのだから、それが一番手っ取り早いというのが私が20年仕事をしてきた結論だ。優先順位を考えているうちに仕事が溜まっていく。それなら優先順位なんて考えずに来た順に片っ端から仕事を処理してい行くのが結果として一番成果が上がるのだ。

先週の金曜日の一日で何件メールが来ていたかなと数えてみたら108件だった。煩悩の数だけ届くメール。
その多くが報告、CCメールだけれど、部署間のやり取りや困ったことや判断が必要な内容があると私のアドレスがメールの中に加えられる。私が問題だと認識すれば即座に反応して方針を決めたりその場で処理していく事が分かっていて、仕事に関係する誰もが困ったらとりあえず私をメールに巻き込んでくる。そして私はまんまのその困りごとを処理し続けることになる。

メールは発信すればするほど、返信すればするほど増えていく。メールを減らしたければ自分から発信も返信もしなければばいい。あっという間にメールは半分くらいになると思う。

それは仕事も同じ。職場の困っていることに反応しなければ仕事は増えない。困りごとに対して誰かが反応してくれるのを待つあの雰囲気。私はあれが大嫌いだ。だからすぐに自分で処理しようとする。メールも同じ。何か困っていることが持ち上がっていたらすぐに返信してしまう。様子見なんてしないし空気も読まない。いつも即座に、過剰に反応する。


部下にデジハラと言われようとメールの返信が早すぎて、その上メールの内容が長すぎると苦言を言われようと、私はそんな風に働いている。

そのうち、そんな風に仕事を片っ端から片づける姿勢を部下に見せることがハラスメントだと言われそうな気がしてきた。

働くというのはなかなか難しい。


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