見出し画像

20240824 地蔵盆の京都・大阪・神戸の違い

 8月23日、24日に地蔵盆をするところが多いらしいことについては昨日書きました。
 なので、久しぶりにCiNiiで「地蔵盆」について検索してみると…なんといっても京都の地蔵盆について研究したものが多いなあと。
 ならば…と思ってでてきた147件の研究のタイトルから地名がわかるもの93件の都道府県を数えてみると…京都が61件で圧倒的に多かったです。

 京都在住の研究者がいっぱい論文書いていたらそれで件数に偏りが出る可能性がありますが2位の兵庫を5倍以上も引き離しての独走なのでやはり地蔵盆は京都のものだといってもよいのだろうなあと。
 そして2位が兵庫県なのは京都の影響を受けているからわかりますし、昨日長田区の地蔵盆について書きましたが、長田区以外でも須磨区と兵庫区で実施されているのを見てきましたし、他の区でも多く実施されていると思います。
 しかしそれで不思議に思ったのが、大阪が2件と少ないということでしょうか。当たり前ですが大阪と兵庫では大阪の方が京都に近いので、文化の影響が同心円的に広がることが多いとすると大阪の方が研究数も多くなりそうですがそうではないと…。

 その理由をいろいろと考えてみたのですが、今のところぱっと思いつくのは「大阪には地蔵盆以外の伝統的な祭が結構あるので祭やコミュニティに関心のある研究者はそちらをもとに研究を書く」のに対し、「神戸(兵庫)には伝統的な祭があまりないため、祭やコミュニティに関心のある研究者が地蔵盆を取り上げることが多い」ということなのかなあと。

 こう考えたのは、兵庫県でも地蔵盆の研究があったのは神戸と豊岡の周辺くらいであり、播州の秋祭りで有名な播磨地方などでの研究はみあたらなかったからなのですよね。神戸でも、だんじりの盛んな東灘区や灘区ではなく、長田区が取り上げられるのは、神戸で一番地蔵盆が盛んなのが長田区だからという神戸市のHPでも取り上げられている事実に加えて、長田区のコミュニティの分布を一番反映しているのが地蔵盆であり、そのため研究の対象になりやすいのではないかなあと。
 そんなことを考えたら、全国のお地蔵さん自体の存在をマッピングしたうえで、そのお地蔵さんに基づく地蔵盆的なお祭の開催の有無を収集してマッピングしてその重なり合いをみることで何かしらのコミュニティの性格などを推し量ることができるのでは…などと妄想したりしますが…全国のお地蔵様MAPとかって存在するのかなあ…神社のデータベースはあった気がしますがお地蔵様のデータベースはより件数が多そうで把握しきれなさそうですね。
 まあでもまずは一番身近な長田区の地蔵盆について勉強するのがよさそう…すごい興味深い科研費の研究課題があったのでこれを拝見してみたいなあと。

【書誌情報】
森栗茂一 2003~2005 子育てコミュニティとしての地蔵盆の現代民俗学的研究. 基盤研究(C)

 って研究概要をみると神戸の地蔵盆は四国遍路の影響も大きいみたいです…なんだかさらに面白さが増してきました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?