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20230227 祭と子どもと子ども会 ~よさこいの事例より~

 今日見つけた論文の「子どもたちの夏」というタイトルをみてふと「なんで“子どもたちの〇”に季節を入れるなら夏が一番しっくりくるのだろう?」思いました。
 まず,そう思うのが私だけではないことを確認するためにYahoo!検索で調べてみると…
 
子どもたちの春の検索結果:約775000件
子どもたちの夏の検索結果:約11300000件
子どもたちの秋の検索結果:約817000件
子どもたちの冬の検索結果:約672000件
 
 やはり夏がとびぬけておりますね。おそらく子どもには「夏休み」という一番長い休みがあって,そこで「子どもならでは」のさまざまな活動をすることが期待されているからかなあと。
 そして夏休みは学校がなくて「学校主体の活動」も減少しますが,そうした中で子どもたちに集団で何かをする場合は「子ども会」という組織が有効に働くことが多く,以下の論文では高知のよさこいに関する一連の研究の中から特に子ども会の役割について検討がなされていました。
 
岩井正浩 2017 「子どもたちの夏(2) : 高知市子ども会連合会のよさこい祭り」. 愛知淑徳大学論集(教育学研究科篇), 7, 1 – 16.

 私が特に面白いなと思ったのが,高知市子ども会連合会に所属する子ども会の会員資格で,小学生だけでなく中学生も含まれるのですね。論文中で異年齢集団の重要性が指摘されていましたが,小中9年間の異年齢集団の活動というのはその年齢幅の広さで意義があると思いますし,近年の「小中一貫校」の増加を考えると今後小中一貫の子ども会も全国的に増えてくるのかなあと思いました。
 
 以下,論文の全体的な紹介ではなく自分の興味に沿って引用させていただきます。

 会員:子ども会の会員は、同じ町内(校区)に住む小学生と中学生を対象にします。しかし、小学校の低学年と中学生では興味、関心、能力的に著しく差があり、活動の内容や中学生にはジュニアリーダーとしての役割をさせるなど、工夫が必要です。 

 やはり小中を一緒にすると中学生はリーダーとしてふるまった方が「自然でやりやすい。」と思うので,同年齢集団ではなかなか育てにくい「リーダーシップ」を育てるためにはこの子ども会は良いのだろうなあと思いました。 

 参加費は弁当代の1,000円、子どもたちは今年は法被で踊りたいという気持ちが大きくなってきている。各団体に入れない子どもたちも赤帽・靑帽をかぶって「高知市子ども会連合会」チームで正調よさこいを踊っている。ただ連合会と各子ども会に同時に入って踊れるようになるのが本来の形だと関係者の希望が紹介されていた。

 時代の流れで「子ども会に入らない家庭の子ども」は増えてくると思うので,そのような子どもが学校以外の単位で以下に地域とつながるのかというのは今後考えないといけない問題だろうなと思いました。 

高知放送実況中継映像では、高知市内にある130の子ども会の連合。オレンジ色の帽子、法被。よさこい鳴子踊りの旋律に、振付はラジオ体操、サッカー、バレーボールを取り入れている。連合会のため地域が広い。地区がバラバラなので合同練習はわずか3回。そのため「子ども会の」卒業生である中・高校生が指導している様子がうかがえる。

 ある意味「地域が狭く顔見知りである」からこそ先輩後輩での指導ができると思っていたのですが,むしろ地域が広く匿名性があり,「祭の時だけの関係」であるからこそ先輩が後輩を指導できるという関係性もあるかもしれないと思いました。このあたり,どうしても地域のつながりが重視される「子ども会」と,「祭の時だけの関係」をつくれる祭集団の相違と関係性などはいろいろとみていけそうだなあと思いました。

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