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2023年の予想


尊敬する株主の木村さん(Gunosyの会長)のブログでもやっていた年間の予想を真似て自分でも書いてみようと思う。

木村さんのブログを見て衝撃を受け(その瞬間お会いしてきたテクノロジー産業の誰よりも解像度が高いと感じた)IVSなどを通じて投資をしていただいた。

それからもことあるごとに何度も読み直しているが、いつ読んでも学びがある。

そんな解像度はこれっぽっちもないが「いつかはゆかし」ということで2023年の予想を。


2023年雑感

2023年、テクノロジー産業は大規模レイオフやSaaSの株価崩壊に伴うレイターステージの縮小などのっけから暗雲が立ち込めている。ただChatGPTなど実用性が高いイノベーションの芽も芽吹き始めている。

シードスタートアップを始める人材の質の向上×骨太なイノベーションの実装フェーズ ということで今年投資をしているシード向けファンドはとても良いビンテージになるのではないかと感じる。

本邦においては、岸田政権の「たくさん金を注ぎ込んでたくさんのユニコーンを排出しようという」、原理的には正しいが、うまく機能しなさそうな匂いもするスタートアップ向けの政策が矢継ぎ早に出てきそうで、特にアーリステージのスタートアップは追い風が大きくなるだろう。

実際に支援がされるか、であったり、実のある支援になるかではなく、場が盛り上がっていることが重要で、それを機会に変えられない人物は到底ユニコーンを作れるとは思えない。

なのでこれで良い。場が整えばあとは自分でなんとかするべきなんだ。

そういった意味では日本は、2023年、人材、種、場3つが揃う稀有なタイミングとなるだろう。

当社の事業領域においては

当社が展開する不動産テックや民泊、トラベルテックの領域もコロナからの回復ということで多くのスタートアップが創業されることが想定される。

回復の状況を考えるに2023は回復期、2025くらいには競争が激化し、バーティカルではあるが、SaaSの合従連衡(freee/MF)、古くはITドメインでの横展開(楽天/Z/サイバー/GMO)のような旅行ドメイン不動産ドメインをベースとしたITコングロマリット群が出てくると予想する。

ITコングロマリットを形成するには、ECや決済などレッドオーシャンになりやすいが、CAGRが高い産業構造が必要で、そういった分野で得た成長率、資金で経営の多角化を行う必要がある。

バーティカルの分野ではリアル産業の影響力が強かった本邦ではあるが、DXが進むにつれ逆にソフトウェアとリアル産業の狭間が緩くなる。この間隙をつけるプレイヤーは一時的に、コングロマリットを形成する伸び代を得られるだろう。

このようなことが旅行、不動産以外でも人材(例えばSES)、エンタメ等でも起こる可能性が高い。
どちらにしろ①よく成長する本業②本業に近いドメインの買収③飛地のDNAが近い成長領域の買収
と3段階をクリアしないとそうならないのでハードルは高いが、様々な切り口で試練を乗り越えるプレイヤーがなんとなく見えてくるのが2025あたりで2023はその思考の発露が少しづつかいま見える、といったところなのではないかと思量する。

もちろんITコングロマリットではなく海外を志向するスタートアップ(CaddiやZeals)も増え、2025には数社グローバルな成長を遂げる会社も出てくるだろう。

ただし2021のような調達環境ではないためスタートアップでも最初からGo Globalの会社もあれば、多くの会社は国内での市場を固めて2段階での発射を余儀なくされるのではないか。

こう考えると、レイターの投資家が「いくらでも待つから500-1000億円で上場して!」と言っていた2020-2021はすごい時期だったんだろう。

スタートアップ界隈に関して


とはいえ、余っている、そして国の命運をかけて投下されるドライパウダーは膨大で、足りないのは資金ではなく、優秀な人材の量である。

転職が当たり前の時代となり、スキルベースでの採用も少しづつ一般的になってきている現状を見ると、大企業でも先進的な企業は変わり始めている。そういった意味で既得権の中でも対応し始めているプレイヤーが存在し、一枚岩ではないことを鑑みると状況によっては解雇規制等にもメスが入る可能性はある。
規制が変わったとしても、なかの人材は変わらないので、2025くらいまででは大きな影響はないと思うが、2030までを考えると、人材の流動性、仕事に日本人がどう向き合うかが変わることは、産業構造の転換において一番大きな要因になるだろう。

この人材の流動性、新産業への人材の供給が完成することを念頭におくと、優秀な経営者、起業家の数が足りなくなる。

政府のドライパウダーは短期のリターンではなく、最優秀層が起業を選び、何度かの失敗を壊滅的な状態にならない補助ができるのであれば、結果的に産業構造の転換と長期の国益を生むと感じる。

もちろん優秀な人は10年前に比べれば圧倒的に界隈に増えたが…

端から見ると、スタートアップエコシステムは熱狂から洗練に移り変わってきたように見えるが、本当に日本の産業を作り替えるのであれば
もう一度熱狂を取り戻さなければならないのではないか。

洗練された人がスタートアップに来ることは増えたが、読みやすいPL、安定したMRRで、レイターからこんにちは(ユニコーン目線ならシリーズAくらいからか)一本足打法はそろそろ限界なのではないか。


2013年よりスタートアップエコシステムに育てられ(学生企業だったので本当に手取り足取り)良いところも悪いところも理解しているつもりだが、お世話になるのも10年なのでそろそろ恩返しができるよう頑張りたい。

さはさりとて、きちんと会社を大きくし、日本の産業構造の転換に資する役割を果たせるよう今年もも粛々とやっていこうと思う。









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