私の働き方改革
ブラック企業に勤めていた時、有給休暇なるものは「体調不良の時に取得するもの」だった。勿論、休みは欲しかった。残業をしていない日が滅多になく、毎日、長時間労働でへとへとだったが、休めばタスクが積み上がり、休み明けの自分の首を絞めるのが解っていたから、休めなかった。
ホワイト企業に転職してからも、なかなか休みを取れなかった。休む習慣がなかったからだ。夏期休暇と冬期休暇はまとめてしっかり取ったが、なんとなくただの平日に休む事に罪悪感があった。残業にしても、社内では多い方だった。前職の習慣で、今日できることは今日やって帰りたいと思っていた。とはいえ、決められた範囲内での残業であったし、周りからは、丁寧な仕事ぶりだと評価してもらえた。前職より残業時間は短くなったし、悪くない働き方をしていると思った。
ある上司のもとで働くまでは。
ひょんなことから部門異動することになった。新しい上司は、時短で働くママさん。ある日、上司がお子さんの都合でお休みを取った。普段は上司と2人行う業務を、私1人で行った。
「茉莉さん、そこそこに帰って下さいね」
「ありがとうございます。あと少しなので」
先に帰っていく同僚たちを見送って、私は今日の業務をやり切って帰宅した。
翌日、上司が私に詰め寄った。
「昨日遅くまで残業していたんだって?」
「遅く・・・まぁ、1時間半・・・2時間はやっていないですが」
「どうして!」
「○○が終わらなくて・・・すみません、まだ不慣れで」
「いや、そんなの良いのよ明日やれば。業務時間内で出来ることをやれば良いんだから。あなたが頑張っているのは知っているから、定時で帰れないような業務量の方が問題なの。あと、前の部署は知らないけど、うちは休みもしっかり取ってもらうから。計画的に有休消化してね。でないと家庭が回らないわよ。家族第一」
目からうろこだった。以来、定時内でベストを尽くして、どうしても今日やらなければならない業務でない場合は、明日へ先送りして帰宅することにしている。
そして、有給休暇は・・・今年度も前の上司の言いつけを守るべく、年度末まで残り17営業日中、4日の消化のノルマに向けてひいひいスケジュール調整をしているところであった。
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