見出し画像

恋愛コンテンツとの距離感

読み進めていた本を読了したので、また別の本を読み始めた。前回はSF小説、今回は恋愛小説だ。
まだ20ページ程しか到達していないけれど、何とも形容しがたい違和感を抱えながらページを捲っている自分が居る。比較的読みやすい文体だし途中で読むのを断念するほど嫌という訳でもないのだけれど…何だろう、この違和感。
違和感の要因を考えた時、恋愛小説を読むのが久しぶりだという事に気付いた。

本棚を見てみる。全体の6割くらいがSF、ミステリーが2割、エッセイが1割、恋愛小説は1割未満といった感じ。勿論手元にはないだけで過去に読んできたのだが、今本棚にある恋愛小説はたったの3冊だけだ。
思えば小説だけではない。漫画本も恋愛モノは全体の3割ほどしか占めていない。というのも、これにははっきりとした理由ときっかけがある。それまで少女漫画しか読んだ事のなかった私が中学へ上がると同時に少年漫画に出会ったのだ。主にジャンプ系。友達がジャンプ本誌を毎週購入していたのでそれを回し読みをしたり好きなキャラを模写しまくったりアニメをかじるように見るようになった。

私が少年漫画にのめり込んだ理由は多分、自分との共通点がなくても面白いと感じるからだと思う。
当然だが私は海賊でも忍者でも死神でもない訳で、彼等が繰り広げるバトルや出会いはたとえ生まれ変わったとしても体験出来る事は絶対にない。だから自ずと現実と完全に切り離して
夢中になれる。なので最初は興味が薄い状態でもいざ読んでみると物凄くハマってしまった、なんて事が多々ある。守備範囲外だったからスルーしてたけど賞を取った話題作だからと読んでみたら面白かったとか。

それに対して恋愛モノの場合はというと。
ストーリーやキャラクターとの共通点があれば感情移入はしやすいのだけれど、社会人になってからはあからさまに学園モノが読めなくなり、主人公の女の子や相手役の男の子が好きになれない事が増えた。ドラマはストーリーよりも俳優の演技に着目して見るようになり、面白いかもと思い始めても「こんな見た目も中身も格好いい上司なんて現実には居ないし」などと勝手に臍を曲げてしまったりして。少女漫画って大体がそういうものなのにねぇ…。
明らかに少女漫画(恋愛モノ)における自分の中のお気に入りラインまでのハードルが上がっている。上げている、という言い方が正しいか。

更に言うなら少女漫画や少年漫画などのジャンルを問わずハーレムものが苦手です。むしろ嫌いまである。
あの子もこの子もこのキャラが好きなのかと分かった瞬間、興醒めしてしまう。これは私が主人公の相手役の親友ポジションまたは友達のキャラクターを好きになる事が比較的多く、かつそのキャラクターが作中であまり陽の目を浴びない傾向が高いというのも関係している。何というか、チヤホヤされ過ぎているキャラクターは敬遠してしまうのだ。(そしてそういう感覚を変に拗らせたからか近年の私の推しはモブに近いキャラクターが増えた。ヒロアカの目良さんとか)

そういう訳で私は、何かの拍子に恋愛について考えるタイミングがあった時にしか恋愛モノを見たり読んだりする気が起きなくなっている。悲しいことに興味メーターが物凄く微弱状態。そしてかなり厄介なのが、少し前まで凄く素敵とせっかく感動したはずの作品でも時間が経過すると全然心が動かなくなるのだ。(そのせいで一体今まで何冊断捨離したんだろうか。少年漫画はそんな事ないのになぁ…。)

少年漫画や恋愛以外の題材の小説は読者に面白いと思わせたら勝ち!みたいな所があるけれど、恋愛モノはヒロインの相手役の言動にときめいたかどうかやヒロインの言動にどれほど共感出来たかどうかが作品の評価に直結する。そして何より、『オチが最初から決まっている』という点が娯楽に時間を割くかどうか判断する際に大きく影響する。必ずしもハッピーエンドという訳でもなかったりするけれど相手はともかく誰かと誰かが恋に落ちて結ばれるんだろうな、と結末パターンをそれなりに予想出来てしまうので、この先どうなるんだろうというワクワク感が足りないと感じてしまうのだ。

逆に言うと、結末が予想出来ていても登場人物達の行く末を知りたいと思った場合はその作品が気に入った証拠でもある。自己投影ではなく完全な部外者としての保護者目線になっている。これはアラサーになったからというのもあるんだろうなwもっと優しい言い方すればいいじゃん!と指示厨がでしゃばってきたり、いやいや何でそこで身を引くんだよもっと熱くなれよ!と修造が騒ぎ出したりと、自分の心の副音声がうるさくなります(笑)

逃げ恥のドラマが社会現象になるほどブームになった時(かくいう私もそのブームの真っ只中であったのだが)、これほどまでにヒットした理由を “推しを見ているような感覚で応援したいから” と分析しているネット記事があって、ああ本当にそれだわと首を縦にブンブン振りました。定期的に未婚率がどうだとかのニュースが出たりしますが、時代の変化と共に “恋愛絡みの物事に自分は関与したくないと考える人” が増えているとは思う。せめて初恋ぐらいは経験してほしいと大きなお世話な感想を持ちつつも、その気持ちもよく分かるよとも思う。
多分この考えは恋愛以外でも同様に言える事で、良くも悪くも「他人は他人、自分は自分」と考える人が多いという表れなんだろうな。

話が脱線しましたが、つまりは要約すると。
私は恋愛モノのコンテンツに触れる際、物語に関係ないはずの “自分自身がチラつく” のが嫌なのだ。純粋に物語に集中したいのです。あなた(自分)はお呼びじゃないのでお帰りください、って感じで。
でも何だかんだ少女漫画や恋愛ドラマとかは好きなんです。評価が超辛口になっているだけで。
人の恋バナを聞くのはいつでも面白いし←
なので今回の小説も意地でもちゃんと読み切ってやるぜ…!


最後に。こんな私が本気でオススメする恋愛モノを置いておきます。

『君に届け』

メインの2人は勿論、その友達たちの恋愛模様もキュンとします。
赤星栄治(最推し)が遂にメインになった番外編もあるので出来れば前作(『CRAZY FOR YOU』)も併せて読んでみてほしい。


『ハチミツとクローバー』

全員片想い。思い切り心臓をぶっ刺してくるのでしんどい気持ちになりたい時にはイチオシ←


『モブ子の恋』

メインの2人の恋模様が可愛くていつまでも見守っていたくなるくらい温かい気持ちになれます。


『わたしに運命の恋なんてありえないって思ってた』


ヒロインの奮闘ぶりに勇気を貰えます。恋愛下手でポンコツな高橋一生が可愛い(笑)


『逃げるは恥だが役に立つ』

人それぞれの考え方を学べる。恋愛要素もしっかりありますが、生き方の参考になるヒューマンドラマでもあります。