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#42 秋つれづれ

10月の奄美大島は穏やかだ。日中こそ陽射しが肌を刺すが、湿度も下がり吹く風は心地よい。少し陽が傾けば肌寒さすら感じる。22日には奄美市の市議会議員選挙が告示され、セミの声に混じって選挙カーの声が聞こえてくる。
 
今朝、ゴミを出しに行ったら近所の人に「あんたが選挙に出たらよかったんじゃない?」と声を掛けられた。妻の父がこの集落から立って市議を3期ほど務めたため、私も妻もそのような目で見られることが多い。多くの人が、地元から議員が出てくれる事を望んでいるのだ。町内会長から副会長をやってくれと頼まれた時も「今回市議会に出たりしないよね?」との確認があった。んなアホな、というのが私の気持ちである。私の関心事はもっぱら地域の場づくりであって、行政を動かして云々というものとは対極のところにある。
 
新しい読書用メガネが出来上がって来た。以前作った中近両用メガネの度数が合わなくなって紙の書籍を読むのがおっくうで文字を拡大できる電子書籍ばかり読んでいたのだが、久々に紙の書籍の重さを確かめながら読むのが楽しくなった。仕事のパソコン作業も楽になった。
 
長年防衛の「空白地帯」とされてきた南西諸島に防衛拠点の整備が進んでいる。2016年には与那国島、2019年には宮古島と奄美大島、そして今年2023年には石垣島に陸自の駐屯地が開設された。2019年の奄美駐屯地開設に合わせて私が暮らす小湊集落に越して来た陸自幹部が、石垣島の駐屯地開設に合わせてこの春引っ越して行った。来た当時1歳だった娘さんは幼稚園の年長さんになっていた。
9月には奄美大島で、最大規模の日米共同訓練「オリエント・シールド」がおこなわれた。それに先立って港にはアメリカ陸軍の揚陸艇が碇泊し、一市民としてそれを眺めた。その後数日にわたって米軍の高機動ロケット砲システム「ハイマース」と陸自の多連装ロケットシステム「MLRS」の展開訓練がおこなわれた。
 
某国の「有事」には一瞬で巻き込まれる島で暮らしている。こんなふうに軍事に関する話題を平気でするようになったのもここ数年のことで、いつしかそれが当たり前になっている。諸外国の争いのニュースを見るにつけ、あしたは当たり前には来ないのだと思う。
 
外ではまた誰かの遊説が聞こえて来た。豊かで暮らしやすい街にするのだそうだ。豊かで暮らしやすい街であって欲しいと、心からそう思う。

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