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39 関西系の妻と場づくりの技術

私の妻は関西人だ。妻の両親は奄美大島生まれなのだが、義父が転勤族だったため、妻は大阪で生まれ中学に入学するまでを大阪で過ごした。なので人としての成り立ちはすっかり大阪人で、話言葉ももちろん大阪言葉である。なので結婚以来20数年、道産子の私は日常の中で妻からノリとツッコミの訓練を受けて来た。
 
「ナスもう少し食べる?」と聞かれた時、普通に「食べるよ」と答えてはいけない。「わしゃコオロギか!って言わな」とダメ出しが入る。それがキュウリの場合はキリギリスで返す。スイカであればカブトムシ。方程式がある。
 
この夏、北海道へ帰省した際には台風で飛行機が飛ばなくなり、その旨を妻に電話で伝えたところ、「『泳いで帰る』って言わな」とダメ出しされた。飛行機では、わが集落の上空を通過して奄美空港に着陸する。「『ここで降ろして!』って言わなアカンやろ?」とダメ出しが入る。

現在住んでいる奄美大島からは喜界島を遠望する事が出来る。出張で出かけた喜界島から電話をした際には、「手、振ろか?」「あ、おったおった」「見えるかい!」と言うやりとりをスムーズに出来て合格点を貰う事が出来た。
 
なぜ大阪人はこうなのだろう。思うに商人の街では、お金の話ばかりで気持ちがギスギスしてしまう。心にも体にも良くない。なので生命体としての防衛本能から生まれた叡智がボケ・ノリ・ツッコミのお笑いなのではないだろうか。場の空気づくりの技術と言っても良いかも知れない。場の空気は自分がつくると言う気分が大阪人には満ちている。それゆえに、かどうかはわからないが、北海道のわが親戚の間で妻はすこぶる評判が良い。そうそう、場の空気は自分でつくるもの、と言う話が今回はしたかったのだった。

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