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#48 みたび、ポメラ

先々週と先週、2回に渡ってキングジム社のポメラについて書いたが、今回も触れる。使い始めてまだ間もないが、ポメラはすっかり私にとってのノートとペンになった。ロイヒトトゥルムと万年筆は書棚にしまい込んでしまった。

簡単に言ってしまえば、ポメラはノートとペンの代替品である。パソコンがソフトウェアやアプリを受容して多機能を実現する「場」であるのに対し、ポメラはそれ自体が機能する「道具」である。単機能に徹してシンプルであり、道具として優れている。

キーピッチが17mmと狭めではあるが、ここは慣れである。コンパクトな動作でサクサク文章が打てることに快感を覚え始めたら、あなたは立派なポメラニアンだ。

これまではロイヒトトゥルムのハードカバーノートを持ち歩いていたが、それもやめた。それでまったく問題は無い。メモを取りたくなったらポメラを開いてキーボードを打つ。ノートのように最新のページを探し出す手間も掛からない。

ファイルはすべてテキスト形式で保存されるので、ストレージ容量も小さくて済む。400字詰め原稿用紙500枚分で約400KBなので、32GBのSDカードを入れれば原稿用紙4,200万枚分のテキストが保存出来る。ほぼ無限といってよい。

作成したデータをパソコンに移す際は、ケーブル接続かSDカード経由で移行する。スマホに移す時はWifiとアプリ経由で移行が出来る。デジカメのデータを移行するのと同じ要領だ。

だったら最初からパソコンを使えば良いじゃないかと思うのは、ごもっともである。しかし世の中にはパソコンではなくポメラじゃなきゃダメ、という種類の人が少なからず存在するのだ。特に書くことを専業とする人たちにポメラは支持されている。

実際、ポメラが開発された経緯も、開発会議で15人中14人の役員が商品化に反対した。しかし大学教授でもある1人の役員が、「こんなのを待っていた。お金を出してでも欲しい」と発言したのを機に、商品化にGOが出た。

キングジムにはヒットの方程式というのがあって、事務用品の世界では10人中10人が「まあまあ欲しい」と思う商品よりも、10人中9人が「要らない」と拒否するが1人は「絶対に欲しい」と熱望する商品の方が圧倒的にヒットの確率が高いのだと言う。

事務作業は道具によってアウトプットの質まで左右される場合が多い。ボールペンなども「私はジェットストリームじゃなきゃイヤ」「アクロボールの方が良い」という人は多いはずだ。同じように筆記具として、「ポメラじゃなきゃイヤ」という人もいるのだ。そうして私も、その1人になった。

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