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3 モヤモヤ解消法概説(1)

何をどのようにいつ誰が、なぜしなければいけないのかと言うモヤモヤを解消するには特効薬があると先週書いた。そしてそれは継続することで絶大な効果を発揮する、と。その特効薬の名前をひと言で言うと、「更新と質的向上のスキーム」だ。あーあ、難しい。つまりそれは、新しいデザインのスケジュール帳を買えば良いとかそんなことではなく、「暮らし方を変える」ということだ。

話が前に進まないのは話を前に進めるための「何か」が生活の中に欠けているからだ。その欠けているモノが「更新と質的向上のスキーム」であり、それを生活に組み込む。
私が勝手に「更新と質的向上のスキーム」と呼んでいるものを、青山学院大学教授で生物学者の福岡伸一氏は「動的平衡」と言っている。
「それは生命を、絶えず自らを壊しつつ、常に作り替えて、あやうい一回性のバランスの上にたつ動的なシステムである、と定義する見方」(朝日新聞デジタル2020年4月6日「コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線---『ウイルスは撲滅できない』福岡伸一さんが語る動的平衡」より引用)

「動的平衡」は昨今よく聞くSDGs(持続可能な開発目標)の達成にも有効であると福岡教授は言う。世界的なモヤモヤ解消に役立つと言うのだ。

さらには100年も前に宮沢賢治が詩集『春と修羅』の序文で「動的平衡」と同じ内容のことを書いている。
『春と修羅』「序」(宮沢賢治 1922年)
「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)/風景やみんなといつしよに/せはしくせはしく明滅しながら/いかにもたしかにともりつづける/因果交流電燈の/ひとつの青い照明です」
 
賢治は熱心な法華経の信者で、この着想は仏教の『九識論』が元になっていると私は勝手に考えている。なぜなら私自身が『九識論』をよくよく研究したことがあるからで、多分これは間違いない。仏教では現代科学にも通ずる現実認識を元に、今一瞬の人の在り方を説いている。あるいは福岡教授も『九識論』を知っていたのかも知れない。
生活の中で「動的平衡」≒「更新と質的向上のスキーム」を実践することが、日常のモヤモヤを解消する特効薬なのだ。私は4年前からこれを元に仕事と生活の上で成果を上げている。東洋哲学から生物学、国連の開発目標までを視野に入れながら、私たちのモヤモヤ解消の旅は続く。
 
*今週の参考図書
・『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』福岡 伸一  2009年/木楽舎
・『新編 宮沢賢治詩集』宮沢賢治 1991年/新潮文庫
*参考サイト
・朝日新聞デジタル2020年4月6日「コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線---『ウイルスは撲滅できない』福岡伸一さんが語る動的平衡
https://bit.ly/30XvwWn

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