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48 さらに、手帳のこと

サッカーをしたいのにグローブとバットを用意されても困ってしまう。野球をしたいのにサッカーボールとゴールを準備しても仕方がない。手帳選びに失敗してしまう原因も、目的や方法論とツールが合っていない事による場合が、ままある。
日記やログを記したいのであれば、まっさらなノートタイプのものが良いだろう。スケジュール管理を重視するならマンスリータイプや週間バーチカルなどがある。しかし、だ。ここから「そもそも」の話に入って行く。
 
趣味の記録や日記などは別として、例えばスケジュールを記す目的は何なのか。仕事や生活のタスクを漏れなく予定通りに進めて行く事だ。言い換えればつつがなく暮らして行くためである。では仮に数ヶ月間、スケジュール帳を上手に使って暮らしたとする。決められた仕事、こなすべきルーティンをスケジュールに落とし込み、つつがなく数ヶ月を過ごす。すると、ここで問題が生じるのだ。「なんかつまんない」と言う問題だ。近藤麻理恵風に言ってしまえば、ときめかないのだ。文房具店や書店で手帳を選んだ時の気分を思い出してみよう。「これさえあれば何でもうまく行きそう」「ワンランク上の仕事が出来そう」「違う自分になれそう」・・・そう、手帳選びの要素には機能だけでなく夢や希望まで含まれているのだ。つまり、手帳に記す内容には夢と希望がありながら、かつ実際に生活や仕事を変化させて行くパワーが無くてはいけない。そしてツールとしての手帳にはそれらを受け容れ得る懐の深さが求められる。
 
スケジュールを記録する事は必要だ。しかし重要なのは、そのスケジュールが何に基づいているかと言う事だ。職場の役割分担なのか、家族の予定なのか、それとも支払い期限なのか。「なんかつまんない」問題が生じる原因とは、つまりはこの「人間界の」生活を後追いするスケジュールのせいである。新しい手帳を買った時のときめきに応えるためには、生活の後追いをやめて頭の中にお花畑を持つ事が大切だ。「しなきゃならない」事よりも「こうしたい」に基づく。やりたい事、実現したい事を作業分解して、スケジュールや今のタスク、誰かへの依頼事へと落とし込む。そうする事で、毎日のタスクやスケジュールやルーティンをこなすだけで実現したい自分に1歩ずつ近づいて行く事が出来る。人生がときめくのだ。こうしたバックキャスト思考は仕事の上では当たり前の事なのだが、日常生活で意識する事は少ない。だからこそ、新しい手帳を買ったら「バックキャスト」「こうしたい」「お花畑」をキーワードに、ハッピッピーな新年を迎えて頂くことを切に願うものである。

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