【実話】 生まれて来なかった姉の話
兄と私との間には姉が生まれているはずだった。しかし体の弱かった母は、医者から自身の命に関わるからと説得され出産をあきらめた。にも関わらず母は、兄弟がいなくては兄が寂しがるだろうとの理由で、翌年大変な思いをして男児を出産した。それが私だ。
昭和40年代始めの話であり、生まれてくる子供が男か女かなんて、出て来たものを観察するまでは誰もわからなかった時代である。なのにどうして私の前に生まれてくるはずだった人が姉であると言えるのか。
私が小学校5〜6年の頃、母が階段で転んで腰を打