また入院しました——腎癌転移の経緯+喘息で引きこもってわかったこと

微細な転移のため抗がん剤治療で入院

さきほど入院し、病室で書き始めています。
5月5日のノート記事と、5月18日のノート記事でご報告しましたとおり、4月下旬に癌のため精巣の摘出手術をしています。病理検査の結果、8年前に右腎臓を摘出したときの腎癌の転移だということになりました。
非常にめずらしいケースらしく、カンファレンスを開くと言われました。

その後、造影剤やペットのCTで精査した結果、右鼠蹊部に転移があるということになり、微細すぎて手術は無理なので、抗がん剤治療をすることになりました。

それで、抗がん剤治療開始後、最初一週間は副作用を管理するために入院することになったのです。
微細ですので、抗がん剤を服用し続ければ患部自体は治るのは間違いないと思います。

しかし、しばらく服用し続けることになると思うのですが、免疫が落ちるかもしれないので、コロナ流行が止まらない中に退院することになるのが怖いところです。
今京都市内に単身赴任していますので、どうしても食事を買いに日に一度は外に出なければなりませんので…。
そこで妻と話して、退院後は九州の家に帰って、しばらくは引きこもることにしようということになりました。

コロナ禍になって喘息になりました

ちょっとおおげさに思われるかもしれませんが、基本的に喘息持ちなので、呼吸器系基礎疾患ということで、コロナが重症化したときに具合が悪くなるリスクがあると認識しています。

実は小さい子どものころ小児喘息だったのですが、その後長いこと治ったものと思っていました。
それが、コロナショックの起こった2020年3月末、熱を出して倒れたことがありました。
胸も痛いし息苦しいので、気が気でなく、コロナなんとかセンターに電話するのですけど全然つながらず、つながっても様子を見ろということで相手にされません。夜中眠れないで苦しんでいるときは、すっかりコロナにかかった気になって、マジこのまま死ぬかもと覚悟しました。

やがて熱は下がったのですが、あいかわらず胸の痛みや息苦しさや痰がからむ状態は続くので、やっぱり生きた心地がしません。なのに、あいかわらずコロナなんとかセンターは電話がつながりませんし、つながっても、熱が引いたと言ったら、ますます相手にされません。
病院に行っていいかと言ったら、行っていいと言うので、それを錦の御旗にして行きつけの病院に行ったら、CTを見て喘息と言われました。

それ以来、喘息用の吸引の薬を毎日使っていて、だいたいはコントロールできています。最初は喘息とは言われても、やっぱりコロナじゃないかと疑う気持ちは晴れませんでしたが、その後さすがに延々持続するのでコロナじゃありえないと。「安心」というのも変ですが安心しました。

夜中に息苦しくなるのは喘息だけでなく睡眠時無呼吸?

コントロールはできていますが、気温が急に下がると、息苦しくなったり胸が痛くなったりします。小さい子どもの頃は、寒冷前線が通過すると発作を起こしていたそうです。
調子が悪いと夜中ヒューヒュー言って、寝ているあいだに酸欠になって、目が覚めると水から上がったようにハァハァ息したりします。そんなときは、指で血中酸素濃度を測るパルスオキシメーターをつけたら、どうかすると80台から始まることがあって、肝を潰しますが、激しく息をするうちに98ぐらいまでいくのでホッとするという経験を繰り返しています。
夜中目覚めなかったら、それはそれで翌朝、酸欠で午前中ずっと頭が痛かったりします。

そんなとき、ある晩夜中自分の音でふと目が覚めたとき、あれ、今のは「ぜい鳴」ではなくて、ひょっとして「いびき」ではないのかと。
それで、酸欠になるのは、「睡眠時無呼吸症候群」も重なっているのではないかと思って、ウィキペディアを見てみたら、慢性的に眠いのも、筋肉が痛くなりやすいのも、どれも身に覚えのある症状ばかりです。
何より、腎臓に負担がかかるらしいので、腎臓が一つしかない身としては怖くてしかたない。

それで、いきつけの診療所で相談してみたら、ほんとうにいびきをかいているかどうか確認したいという文脈ですけど、スタッフのみなさん私が単身赴任中であることは周知のところで、看護師さんもお医者さんもそろって、
「隣で寝てる人はいないんですか」
と聞いてくる。決してそんなことはありませんので…。だんじて…。

そのあと、去年の年末ですが、コロナがほとんど収まっていた時期、妻が温泉に行くぞということで、久々に息子も含めて一家顔を合わせたのですが、一泊した翌朝、妻が「たしかにいびきかいていた」と言います。
ふつうはいびきが止まったらスースーという静かな寝息に変わるはずなのだが、私の場合はいびきが止まったらしばらく音がしなくなるとのこと。
「ふつうは」って、先方は「サンプル数」が多いから、統計的に有意な話です。私の方は「n=1」ですので、何によらず統計になりませんが。

そういう証言もあったもので、検査キットをもって帰って検査した(これも一回目うまくいかず、二回目の診察は手術と重なって延びた)ところ、たしかにたびたび息が止まっていると。
でも、「睡眠時無呼吸症候群」という病名がつくためには、息が止まる回数や長さに基準があるらしく、私のケースはその基準に満たないから「睡眠時無呼吸症候群」とは認められないそうです。だから保険が適用されない。
そんなわけでこっちの治療は断念しました。

そのうえ鼻詰まりもあると夜中酸欠に

でもそうは言っても、私の場合、しょっちゅう鼻詰まりにもなるので、喘息の調子が悪いときと、睡眠時無呼吸症候群もどきと、鼻詰まりが三つ重なると確実に酸欠になってつらいです。

そしたらお医者さんが、「鼻詰まり」に反応して、「副鼻腔炎」かもしれないから、頭部のCTを撮りましょうということになって、頭部のCTを診てもらいました。
結果的に副鼻腔炎ではなかったからよかったのですけどね。

診察のとき、座るやいなや、頭部CTの画像が写っているのを診て、
「頭スカスカじゃないですか?」
と聞いたら、
「いえ、しっかり詰まってますよ。ご安心ください。」
と秒で返されてしまった。
それ聞いて、ああ、これまでこのシチュエーションでこの冗談を百回ぐらい聞かされたんだなと…。定番の冗談を言ってしまった〜。イタいことをした〜。とガックリでした。
でもこんなシチュエーションじゃ、つい言っちゃうよね。日々、頭スカスカになってきている気がするし。

ネットにはまったら自分の悪口があふれていた

そんな感じで、喘息になってコロナ感染にビビったために、特に喘息になった当初しばらくは、オンライン授業になったことをいいことに、日に一回スーパーなどに食事を買いにいくほかは、完全に家の中に閉じこもってしまう日々を過ごしました。
そうすると、人と会う用事もないし、ついついネットにはまってしまいます。

そしたらやっとわかりました。世の中にはいかに私の悪口があふれているのかということが!

悪口は溢れかえっている一方で、私の考えをちゃんと理解して説明している文はほぼ皆無です。いやほんと、ほぼ皆無。
「こんなこと私は言っとらん」というような松尾匡像を立てて藁人形攻撃する文章ばかり。
そのころは、ほとんど外出せずに、人と話をしない日々が続くし、そんなのばかり毎日目にするし、どんどんメンタル悪くなっていきましたね。

ネット反緊縮は圧倒的に右派ばかり

さらにわかって驚愕したこと。
私の個人ホームページのエッセーコーナーの、今のところ最後の記事で披露した、拙著『左翼の逆襲』冒頭に用意して編集者からボツにされた文章で書いたことですが、

私は山本太郎さんから経済政策についてご下問があったときにはお答えする関係ですが、そのほかのことには口を出していないし、意見を求められたりすることもないです。でも、世の中には、私のことを、なんでもかんでも裏から操る黒幕みたいに言って叩く人たちがいて、頭にきているという話です。
私の周囲では、これを、私をからかう格好のネタにしてくるし。まったく。

ところが、ネットにはまってわかったのは、私のことを山本太郎やれいわ新選組の「黒幕」扱いするような認識自体が、実はごく少数派なのだということです。
じゃあ、正しく認識しているのかというとそうではなくて、ネット界の圧倒的認識は、山本太郎やれいわ新選組のブレーンは、右派の三橋貴明さんや藤井聡さんだというものです。なんとまあ!
それでどうやら、山本太郎の動画を見て感動した若者が反緊縮に興味を持ったら、三橋さんのユーチューブ動画などを見て勉強して、そのまま右派になっていくという流れができているようなのです。ガタブル恐ろしい!

どうもネット界での「反緊縮」のイメージは、圧倒的に保守側の主張ということになっているらしいです。
実際、ユーチューブなどでの反緊縮左派のプレゼンスは本当に足りない。最近になって大石あきこの発信なども目立ってきましたけど。
そう考えると、左派内のアンチの側からの批判に往々にして、こっちを保守派の大規模開発論と同一視して、人権を語らないとか、社会保障に関心がないだとか、何を見てるんだというような的外れなものがありますけど、そういうネットの状況を前提にしていたらなるほどと合点がいきます。
関西の地べたの運動の中で見える光景と、全く見え方が違う光景をみているのだなと。

自分ではとても動画発信とか無理です

このまま太郎ががんばればがんばるほど右翼が増えていくということになったらとんでもないので、なんとかしなければならないのですが、自分がユーチューブを定期的に発信するなどとても考えられないです。
以前、総選挙のれい新の決起集会に15分のレクチャー動画を送れと言われて、ズームで録音した動画を、初めて編集ソフトで編集してみたのですが、まあはてしなく時間がかかって、何度も失敗して大変でした。

もう二度とこんなことは無理と思いましたね。
もったいないから、自分のチャンネル公開して載せましたが、苦労したわりに全然再生数伸びないし。自分の技能ではどうせこんなもんです。

コロナ禍でひきこもって、はじめてユーチューブというものがどんなものか知って、はまっていったのですが、最初の頃は、「ゆっくり自動音声」ってあるじゃないですか。「霊夢」とか「魔理沙」とかいうやつ。
あれ、よくネトウヨの動画で使われていたのをもともと見かけていたので、全部どこか一つのネトウヨの団体が出している動画だと思っていました。
そしたら、ユーチューブ見るようになったら、自然科学とか、中国史とか、いろんなテーマのが出てるじゃないですか。さすがネトウヨの団体はすごいなあと思って。
おもしろそうで見たくてたまらない動画があるのですが、ネトウヨをもうけさせるのに加担するのは嫌なので、しばらく我慢していました。
そのうち我慢できなくてちょっとずつ見るようになったら、だんだん、いろんな人がそれぞれ勝手に使っていいキャラなんだということがわかった次第。
これぐらいの認識なのだから、全然だめですよ。

危機感にかられて、20年度は学会に全然いけなかったので、個人研究費があまったから、動画カメラと三脚を買ったのですが、買ったはいいが、全然使い方がわからなくて、まる一年半ほど放置されています。
ほんと何とかしなければならないのですが、自分のまわりにこんなことできる人がいない。せめて、以前京大の学生に作ってもらった数理マルクス経済学のレクチャー動画の続きを作りたいのですが、誰か私のこのテーマの授業受けてた学生などで撮影・編集のアルバイトしてくれる人はいないですかね。しばらくは身動きがとれないので何もできませんが。

反緊縮左派のネット力はまだまだですね

左派・リベラルでも、反緊縮が嫌いな財政危機論・円高志向派の方が、まだ少しはネット上のプレゼンスはありますね。
反緊縮左派はほんとさっぱりだめです。
私も、あちこちと、左派・リベラル系の団体に呼ばれて講演してきまして、どこでもあまり反発の声は聞かれず、総じて好意的に受け止めていただいてばかりだったと認識しています。ところがそんなことがネット上では全く痕跡も何もなく、あるのは勘違いな悪口ばかり。
まあ、講演終わってからの懇親会でもSNSというものに反発する声もときどき聞かれたりして、ことさらにそういうのに疎い人たちに支持されているような気もしますけど。

ご支持いただいて常々心強いと思っている関生労組さんとかも、この点に関してはだめですよねえ。ユーチューブの発信などほぼ皆無で、一方的にやられっぱなしですやん。
これじゃあネット上でしか情報集めていない層からは最初から誤解しか受けないのも当然です。
ひとのこと言える立場では全然ないですが。

冷房がダメです

さて、気温が下がると喘息の調子が悪くなるともうしましたが、真夏は冷房が脅威です。急に気温が下がる典型ですので。
外食すると冷房でキツくなるし、万一咳の発作がおこったりしたらほかのお客さんがコロナと思って怖がるでしょう。お店の人にも迷惑がかかります。
なので、コロナ流行が落ち着いていても、真夏は外食はしづらかったです。

今回入院では個室がいっぱいで相部屋になったら、空調が自分の都合で管理できないのが心配でしたが、幸い個室が空いていてよかったです。
でもやっぱり、冷房を切っていても、廊下から冷気が漏れてきます。Tシャツの上に長袖のスウェットを着ているのですが、でも寒い。
今日は入院してから、ずっと一日かけてこれを書いてきましたが、そろそろ就寝時間が近づいてきました。だんだん冷気で胸の調子がよくなくなってきたのでそろそろやめて寝ることにします。