見出し画像

ずっと書きたかった小説。「いつか1本くらい書けるだろう」は誤算だった

夢は小説家

私の夢は、中学生くらいの頃から小説家になることだった。山田詠美や村上龍の小説やエッセイを読み「私もやがてこの人たちのように午後4時から酒を飲み、山之上ホテルに籠城して小説を書きあげるような生活をするのだ」と決めた。

彼らのライフスタイルを自らの者にすべく、これまで何度も何度も小説を書きかけては途中でやめてしまった。書き始める瞬間は「これは大作になる!絶対に面白い」と思うのだが、翌日原稿を読むと全く面白くないのだ。このくだりをいったい何度繰り返しただろう。2度くらいは最後まで書き上げたものがあったが、数日たつと「あんなの何が面白いのか」という気になって原稿を開こうとも思わなくなる。

こんな状態であったが、いつか小説家になるのだという気持ちは一度も薄れたことがなかった。経験を積めば、きっと小説が書ける。そう思った私はまずライターになることにした。

用意されたトピックについて文章を書くのは得意

女性向けセクシーライターとしての仕事を始めて気が付いたのは、私は文章を書くのが好きで、この仕事に当てる時間はどれだけ長くなろうと全く苦にならないということだった。そういう意味では才能があると思う。書くことさえ決まっていれば、楽しく文章を紡ぐことができるのだ。だからもうこの仕事を10年くらい続けられている。今では経済からスポーツまで様々なジャンルの執筆を依頼してもらえるようになった。

でも、私が書けるのは「事実」についてだけであり、人の心を動かすようなリアルなファンタジーを創造することができないということもわかった。それもそのはず。私はここ10年くらい、それこそライターの仕事を始めたころから小説をほとんど読んでいない。この世の中の事実について知ることで精いっぱいで、フィクションに費やすリソースが残っていないのだ。もっと言うなら、フィクション読みたくない。それでも小説が書きたいか?イエス、書きたい!なぜなら印税で山田詠美みたいに生活したいからだ。その小説が映画になったらもっと楽しそうだ。レッドカーペットだって歩けるかもしれないではないか。

やりたいことの周辺をなぞってもその中には入れない

ライターとしての仕事を得ることはできても、私はいまだに用意された企画に基づき調べ、文字にすることに徹している。午後4時から堂々とジントニックのグラスを傾け、編集部のお金で山之上ホテルに滞在できるほどこの仕事で成功していない。

私が欲しかったライフスタイルを実現するにはそろそろ本気にならなければいけない。本気は出す方法を練習しておかなければ出し方すら忘れてしまう。周辺をなぞるのではなく、本当に欲しいもののために行動できる時間はそう長くなさそうだ。一度きりの人生。自分が思いつく最高レベルのライフスタイルを実現したい。誰か絶対に売れる面白いトピックを教えてくれたら話は早いんだけど。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?