見出し画像

訪問看護と営業

 まつながです。
 訪問看護という分野?に足を踏み入れてから神奈川で数カ所、そして現在は東京でステーションの立ち上げに携わっています。

 そんな中、最近、訪問看護ステーションの営業について各 SNSの記事を見て違和感を感じたので、自分が感じたことと考えていること今まで学んできたことを記録しようと思いました。

営業なのか挨拶回りなのか

 場所によってはいろいろな呼び方をして営業に回っていると思います。正直、呼び方とか何でもいいと思います。ただ、挨拶回りと呼ぶことによって利用者が増えるとは思いません。自由に名付けたらいいのでは、と思います。

 重要なのは、それぞれが今、自分たちが何のために何をしているのかを
把握しておくことだと思います。営業は何のためにするのでしょうか。
「会社組織にとって顧客を増やすため」
かと思います。ここがブレてること抜けてること結構あるのではと思ったりします。

営業は個人の力か組織の力か

 ”KGI”とか”KPI”、”KDI”という言葉に聞き馴染みのある方もいるかと思います。難しい言葉はさておき、看護師的な言葉を使うとニュアンスはそれぞれ看護過程における”長期目標”、”短期目標”、”ケアの計画”に近いでしょうか。
 まさに言葉通りですが、決めた最終ゴールを達成できるように中間目標を据えて、日々の動きを組み立てていきます。

誰が営業に行くべきか

 僕たちのステーションでは、営業はスタッフ全員が取り組む業務のひとつになっています。もちろん、本業である訪問業務(記録やその他関係機関との連絡相談なども含む)を最も優先していますが、訪問のスケジュールがあき始めた時、新しくスタッフが増えて顧客を獲得したいとき、特に開業当初などは全員で分担・協力しながら営業に行きます。

管理や主任などマネジメント層が行くべきでは?

 一部賛成です。訪問看護という制度やステーションとしての空き状況などを踏まえ、相談があったときにスムーズに受け応えができるので、関係機関からすると頼もしかったり連携が取りやすかったりするのではと思います。
 一方で、マネジメント層だけが営業すれば良いとは思いません。
 詳しくは後述しますが、営業は量をこなすことも大事と考えています。そのため、マネジメント層1人で営業に回るよりもスタッフ複数人でまわった方が量を回れるので割ける時間があるならみんなでやったらいいじゃんと思います。
 人対人のコミュニケーションになるので、もちろん相性というものも出てきたりします。同じ相手に挨拶するときに、まつながが言っても全く相手にされないけど、別なスタッフが挨拶したら別人のように色々と依頼をいただけたり…のような。

会社の社長が行くべきでは?

 社長が医療関係者あがりで現場業務もこなしているのなら現場の一スタッフとしての顔が見える関係を築くこともできるのでありと考えてます。マネジメント層の営業と同じように制度やチームが対応できるキャパなどを把握している場合もありと思います。
 一方で、訪問看護の法制度をよく理解していない、そもそも訪問看護の役割とかもあまりわからない、現場に出ていないという社長が営業だけ回るのはあまりメリットがないと考えています。
 スタッフが挨拶に行き依頼や相談を受けたとき、回答に困る・分からなければ「確認して後ほど管理者から連絡させてください」と回答すれば良いですが、管理者や会社の代表がそんな場面に遭遇したら同じ回答はできないかと思います。間違ったことを回答するより確認してから折り返す方が良いですが、チームを引っ張っていく立場がそんなだと「このステーションにお願いして大丈夫かな?」と思われても仕方がないよなと思います。制度の理解がままならないのに、顧客欲しさにどんな人でも依頼通りに受けたけど、後から制度の都合上、訪問できないことがわかったなんてことが起きると、迷惑を被るのはサービスの利用者でありサービスを調整している関係機関です。せっかく築いてきた信用も一瞬で崩れてしまうこともあるでしょう。
 また、病院の地域連携室、ケアマネージャー、保健師などなど連携をとっていく関係機関はたくさんありますが、実際に現場で活躍していくスタッフが各機関と顔の見える関係を作っていくことを僕たちは大切にしています。どんなスタッフがいるのか、どんな人なのかを知ってもらうきっかけを作るためにも社長の顔よりもスタッフの顔が地域に認知されていくように組み立てています。

継続と量がものを言う

 営業に行くとその場で利用者の相談をいただくことがあります。この人に相談したい・このステーションに相談したいと感じてもらえたからこその依頼だと思うので、とても嬉しくありがたいことです。スタッフが新規の相談をいただいたときはそのスタッフの人間性やコミュニケーション力を素直にすごいなと思うし尊敬します。一緒に働けていることに感謝もします。しかし、組織として冷静に振り返るときには、タイミングが良かった、ラッキーだったと心にとめるようにしています。
 関係機関にとって訪問看護を必要とするケースが出てきたとき、僕たちのステーションを思い出す・頭に浮かべてくれて依頼の電話をもらえる。この段階がひとまず到達したい状態かなと思います。そのためには僕たちのことを知ってもらうこと、思い出してもらうこと、覚えてもらうこと、選択肢のひとつとして考えてもらうことを経る必要があります。知ってもらうことを意識するのは割と簡単ですが、思い出す、覚えてもらうという段階を経るためには圧倒的に量をこなすことが最短だと思っています。どんなことにも通じますが量をこなすって大事ですよね。

 注意したいのは、量をこなしてウハウハするだけでなく、当初の営業目的を思い出し、設定したゴールを達成できるのかを考えることだとも考えています。量こなしているけど、実際の顧客は増えないとかあるかるかと思います。

最後に

 ここまで偉そうに書き綴ってきましたが、経験則に基づいた主観でしかありません。エビデンスとか根拠はとか言われると知らないし、調べる予定も今は特にありません。結果が出れば方法は何でもいいと思います。
 そもそもステーションの置かれている環境、人、時期などさまざまな要因があるので営業に正解はないと思うし、強いていうなら結果が出ているところのやり方が正解だろうなと思います。

 あと、こういうこと考えるのはマネジメント層や会社がやれば良いと思っています。時間は有限なので、看護師は看護師にしかできない業務に時間や労力を割いた方がいいのではと思っています。日々のケアや連携を責任持って行っていくことが何よりも僕たち看護師のできる営業になるのではと思います。僕たちは国家資格を持った看護師です。看護師と名乗ったその瞬間から近所のお兄ちゃんお姉ちゃんではないことを忘れてはならないと思います。地域への医療の進出でこの線引きを意図的に取り払う場所も増えてきました。とても素敵な取り組みをしている団体がたくさんある一方で、線引きの取り払い方を間違えてはならんよなと感じるものに出くわすことも多いです。

 やりたい看護もいいですけど、必要とされる看護を必要としている場所に過不足なく提供していきたいものです。

 僕たちも精進します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?