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菅波先生の「がんばれ」に心の声を補ってみた『おかえりモネ』第21週

登米の地域医療と向き合う中で身に付けた最強のスキルは“傾聴”かもしれない。医療は決して万能ではない、根本的な解決は望めないこともあるからこそ、患者さんの痛みにただ寄り添うことの大切さを知れたのは大きな財産だ。その上、病院内の特に女性スタッフの声を、ただキチンと聞く、必ずしも解決の力にはなれなくてもいい。ただそれだけで、これほど病院内であからさまに仕事がし易くなるなんて。

むしろ、問題解決を無闇に急がないことが大切だという、やっとたどり着いたこの呼吸が、何より百音さんとの会話で凄まじい威力を発揮するんだよなぁ。傾聴モードと、問題解決モードと、その配分が難しいけれど、今日は永浦家の牡蠣養殖業を縮小していくという具体的な話だから、問題解決モードに傾ける感じかな?

龍己たつみさん、家業を整理しようとしているんですね。」

「それで家族が悩んでて。でも、うちの仕事のことは私が簡単に口出しできることじゃないから。」

ああ、この言い方は、また妹の未知さんに何か言われちゃったんだろうなぁ。百音さんは優しいし、いろいろと妹さんに押しつけて故郷から逃げたと後ろめたく思っている部分もあって、未知さんの言葉の刃をそのまま素直に受け止めすぎるところがある。だから、客観的に見ると未知さんけっこうヒドいこと言ってるって気付かせてあげることも大切だよなぁ。よし、未知さんっぽく…(【深層心理】サメっぽくパートナーを噛みたい気持ちもちょっとあって)

「離れていた人間にとやかく言われたくはないでしょうしね。」

「先生、言葉がキツいです。」

ちょっと言い過ぎたかな?(【深層心理】ちょっと快感)でも、その自分の心の痛みにやっと気付けて良かった。未知さんに刺されると、百音さんは血が出ているのにただ立ち尽くしてしまう傾向があるから。何より、百音さんがずっと抱えているのは、“役に立てなかった”ではなく“疎外感”という痛みだったのだと、今は僕も認識しているし。問題解決のためには、何が問題なのかは常に認識しておく必要があるし。

「あっ、でも、(この“疎外感”の痛みから目を逸らしてはいけない、これをどうにかするために気仙沼に帰ったのだと)あなたが一番感じていることでしょう?」

「はい。でも、一度離れたから。それで、戻ったから、感じていることもあって。」

ああ、僕が大学病院をしばらく離れて登米で地域医療に専念してから戻ったからこそ気付けたことがあったのと一緒だなぁ。百音さんとはいろんな思いを分かち合えて楽しいなぁ。

「うん。」

「みんな、ここでずっっっとふんばって、なんとかやってきた人たちだから。逆に、言えないこととか、まだたくさん抱えてる。
痛みは、きっと何年経っても消えなくて…。」

痛みが消えていないのは百音さんもだよっていうのは、自分でも分かっているだろうし、ここは傾聴モードですね。

「うん。」

「『言って欲しい』って言っても、『分かるわけない』って。そうだと思う。でも、痛みを抱えたまんま平気な顔でい続けるのはツラいでしょ。」

“あなたの痛みは僕には分かりません。でも、分かりたいと思っています。”っていう僕の言葉を、百音さんはすっかり自分の中に取り入れてくれて本当に嬉しいなぁ。ずっとずっと考え過ぎてしまう性格なのは自覚していて、そうやってずっとずっと考えてたどり着いた自分なりの大切な考えを、大切な人に伝えるのは、僕にとっては大変な喜びで、それを大切な人が大切にしてくれるって、ああ、なんて嬉しいんだ!最高だ!百音さんが今悩んでいることについては、もちろん、僕もずっとずっと考えてきたことだよ!傾聴モード解除しても良いよね!?問題解決モードいっても良いよね!?

「まずは、『ここが痛い』って言わせてあげるだけでいいんじゃないんですか?
『ここが痛い』『まだ痛む』って口に出させてあげることは、本人も、心を軽くします。解決が無理でも、それで糸口が見つかるということもある。
ん?」

「先生の言葉は時々キツいけど、あたしには無いと困る。」

僕がサメみたいに愛情表現でちょっと噛むのが好きって、百音さん気付いてる!?時々噛むのOKサイン!?百音さん最高だよ!やっぱり僕には百音さんしかいないよ!じゃあ、もう一回噛んじゃうよ。
百音さんは、地域共同体というアメーバにもう一度完全に溶けてしまうことで疎外感という傷を癒すつもりで帰ったのかも知れないし、それが一番楽な道かもしれない。だけど、今日の会話の感じだと、一度よそ者になってしまったからこその視点を大切にする方向性に切り替えたみたいだね。それでこそ、僕が好きになった百音さんだよ。それは茨の道かもしれないけれど、百音さんは百音さんという輪郭を保ったままで、“疎外感”という傷を癒す道をどうにか探って欲しい。だから、これはエールだけど、茨の道に向かって背中を押すという意味では噛むことだ。(【深層心理】抑えきれない興奮)

「これも、重荷になる言葉かもしれないけど…」

「ん?」

「頑張れ」

「はい」

菅波先生不足が深刻なので、わずかな供給をしゃぶり尽くすことにしました。「がんばれ」が飛び出した木曜日放送104話の菅波先生とモネの通話に、菅波先生の心の声を補ってみた次第です。

ドラマ全体としての流れは、先週書いたとおり、傷を抱えたそれぞれの人たちが、捨てられない今の選択肢と、諦めていた選択肢とを融合させた第三の道を見出す流れだなぁと。てっきりみーちゃんが第三の道を見出す週だと思っていたら、まさかの亜哉子おかあさんがネオ亜哉子に目覚める週でした。

塾という第三の道を見出した耕治お父さんはさすがだなと思います。ファンタスティック!

そして、『おかえりモネ』が最近提示しているメッセージが、この10年ほど自分のベースにしてきた考えと親和性が高すぎて、ここまでハマるのは必然だったなぁと感じております。

そんなこんなで毎日楽しませてもらってはいるのですが、菅波先生の供給が少なすぎるのは不満です。もっと俺たちの菅波を!

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