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旅するティッシュボックス

ティッシュを二箱開けてしまった。

ティッシュがなかったので新しい箱を開けたら、元の箱が「ヨゥ」と顔を出したのだ。

何かこう、贅沢をしているような気持ちになる。
別に減るペースは変わらないし、いつかは使う物なのでなんの損得も生まれていないのに。

そもそもティッシュ箱というやつは、
我々の意識の外にでて、部屋中を動き回りすぎだ。

所定の位置に置いているつもりが、
気づいたら棚の上、机の上、テレビ台の上、机の下だ。
意識を持って歩いているのかと思うぐらい。

きっと持ち運べるからだろう。
醤油をこぼしてしまった時、
デカいほこりの塊を見つけた時、
所定の位置から箱を持って現場へ向かい、
必要な枚数をとって対象を処理したのち、
箱を現場に置き去りにしてしまうからだ。

これを解決するのは簡単だ。
ティッシュを動かせなくすればいい。
箱に釘でも打つか、
現実的なのはテープだろうな。
そうやって固定さえしてしまえば、
オロオロとティッシュを探す手間を省けるだろう。

だが、ティッシュはどうだろう。
ティッシュ側からしたら、窮屈だろうか。

所定の位置に定められ、
がっちりと固定され、
そうして残り枚数が尽きるのを待つだけの
余生・紙生は、あまりにも退屈ではなかろうか。

それに比べたら、
今の我々に寄り添っていれば、
部屋の中を縦横無尽に飛び回れるってもんだ。
時にはリビングをでて、キッチンに寝室に、
脱衣所まで行くことはできる。
居住区域限定で、遊び放題だ。

そう思ってしまうと、
彼らを固定することは憚られる。
なんでかかわいそうに思えてきたからだ。

そうして2つ並んでしまったティッシュBOXを所定の位置に戻し、固定しようとして、やめた。

どこまで行っても、部屋を出ることはない。
部屋の中ぐらい、旅をさせてやろうではないか。

そんなことを考えている間に日が暮れていく。
なんという呆けた時間の使い方をしているのかと我に帰り、デスクに向かう。

そんな時、コップの水をこぼす。
やはり人間、ミスは付き物だなと思いつつ、
2つのうち1つを持ってきて、現場を処理。

そのまま箱をデスクに置き、作業続行。

あれ?

デスクに一つ置いておいて、
食卓に一つ置いておく。

こうすればどちらでも対応ができて、
ティッシュを探す必要がない。
どちらのティッシュも動かない。

これはベストアンサー?
ミスの結果生まれたティッシュ二刀流が
功を奏しているのではないか。

ティッシュ。
お前らの旅も今日で終わるかもしれない。
テープこそ貼らないけれど、お前らはもう
そこから動けないのかもしれない。
ごめんな、俺、最適解を見つけたようだ。
お前らも変わった景色が見たいだろうけど、
その食卓とデスクの上からの景色しか、
見せてやれないかもしれない。


たまには散歩に連れていくよ。
一緒に外食でも行こうか。
レストランの紙ナプキンを使っても、
嫉妬をするんじゃあないぞ。
トイレットペーパーとは、
役割が違うからな。
でもたまにはお前らに、
違う景色を見せてやるから、
だから部屋の中では、
そこで俺を見守っていてくれないか。
何をこぼしても、お前がいれば、
安心して処理することができるから。
よろしく頼むよ。

そう思って、
デスクにティッシュ置き場を作った。
デスクの上のティッシュは、
なんだか頼もしくて、2枚目に見えた。
顔を出しているのは1枚目だけど。

そうして一週間後、
彼らはどうなっただろうか。

そのまま食卓とデスクに佇んで、
我々の生活をサポートし、
枚数が減っていく可視化された寿命を、
刻々と減らしていった。

わけがなかった。
考えればわかる。

キッチンでも色々こぼすし、
洗濯機周りだって洗剤をこぼすのだ。

ティッシュは二刀流じゃ足りない。
ロロノアもびっくりの7本刀ほどで生活しなければならない。

しかしうちには開いたのが2つ、
残りが一つ。

彼らの旅はまだまだ続きそうだ。

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9:30起床。
マットレス睡眠1日目。
起きても疲れてない。
でもなんか、伸びをしたくなるような、
溜まったような感覚がある。
まだ慣れてないからかな。
でも確実にリラックスして寝られた事は間違いない。腰が痛くないし。

歯磨き。準備。
前回ゼミに遅れて叱られてしまったので、早く行かなければ。

余裕で間に合った。
よかった。一安心。

ゼミではアメリカの大学との交流授業で発表するコンテンツの試写会を行った。
どうやら僕らはまだまだコンテンツを作るのに視点が足りないようだ。
教授のパンチをいくつも食らってしまった。
というか、すべての話題に対してパンチを放てる教授凄すぎる。俺らなんて鬼滅の発表したのに。全部パンチ返してくる。引き出しどんだけあるんや。

昼ごはん。学食。
唐揚げはうまい。鶏肉がマジで好き。
鶏肉たくさん食べたい。

眉村ちあきの曲を聴いて先生との面談の時間を待つ。いいな。やっぱり音楽も芸術も何をやってもいいし、好きにやっていいんだ。受けるとか受けないとかはいいんだ。自分がいいと思ったものをやるだけ。そういう意味で言ったら、このnoteも、「俺は今これが面白いと思ってるんです」っていう発表になったらいいな。


20201109

〈食事〉
朝:なし
昼:Cランチ 唐揚げ定食
夜:忘れた

〈エンタメ〉
眉村ちあき 曲

頂いたサポートで、ちょっといい生活を送ります。 ハーゲンダッツ買ったりとか、鶏肉を国産にしたりとか。