見出し画像

人語の一口話(118) サッカー 2対1の勝利にて

 高校時代にサッカー部に所属していた人と二人で飲みに行く機会がありました。

 どうやら彼はガンバ大阪のファンである様子。
 どちらかと言えばセレッソ大阪を好んでいる私との間で“大阪ダービー”の論戦が展開されないようにと、留意しなければなりませんでした。

 二人が共通する応援チームである日本代表について、いろいろと話が及んで行きました。

 私は彼に尋ねてみました。

 「フランス相手に2対1で日本が勝つとしたら、どんな試合展開が理想的なんだろう。」

 彼はしばらく考えてから、一気に語り始めました。

 「フランスが1点リードして前半が終わる。日本が0-1で後半に入ってから20分過ぎくらいで追いついて、40分過ぎに逆転する。そんな感じですかね・・。」
 「えらい現実的な展開ですね。」
 「うーん。本当のことを言うと、日本が1-0で前半を終えてから後半早々に追加点を挙げて2点リードする。どこかで失点するものの、そのまま逃げ切っての勝利。これですかねぇ・・。」
 「えっ。いったいどっちが理想的なの?」
 「ああ。そうですね。悩ましいですね。(笑) 」

 私は違う角度から聞いてみました。

 「“日本先制!”と“日本逆転!”。どっちの実況を聞きたい?」

 ここは間髪をいれずに、「日本先制です。」と答えてくれました。

 話は、フレンドリーマッチではなくワールドカップの真剣勝負の舞台で、日本とフランスチームとの試合が見たいという方向へと進み、日本が5-0で快勝する姿を世界のサッカーファンに見せつけてほしいということになりました。

 『先んずれば人を制す』

 先制して逃げ切る。
 逆転してそのままで終える。

 “本気の勝負には勝たねばならない。”

 勝ち方にいろいろあれど、このこと自体の価値は不変のようであります。


   

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?