見出し画像

【嘘のようなホントの話】7人の人間を殺した稀代のモンスター

今回は、ちょっと怖い本の話をご紹介します。
タイトルは「消された一家 北九州・連続監禁殺人事件」

本の概要はこうです。
7人もの人間が次々に殺されながら、一人の少女が警察に保護されるまで、
その事件は闇に沈んでいた。
明るい人柄と巧みな弁舌で他人の家庭に入りこみ、
一家全員を監禁虐待によって
奴隷同然にし、さらに恐怖感から家族同士を殺し合わせる。
まさに鬼畜の所業をなした天才殺人鬼・松永太。
人を食らい続けた男の半生と戦慄すべき凶行(きょうこう)の全貌を
徹底取材。渾身の犯罪ノンフィクション。

最後の言葉…。そうノンフィクションなんです。
2002年、今から19年前に、日本で実際に起こった事件なんです。

松永太が家族に対して行った虐待の一部は、
闇金ウシジマくんにも登場するので
ウシジマくん経由で、ご存知の方もいるかもしれませんね。

なぜこの一家が悲惨な目にあったのか?

それは僕たち、誰しもが持っている、ある感情がきっかけでした。
最後までひっぱるつもりもないので、先に答えを書きます。

それは「プライド」「世間体」です。
どうです? 皆さんも少しは持っているでしょう?

事件の経過を説明します。
この犯罪の主犯は2人います。松永太と、その妻の緒方純子。
2人は、福岡県久留米市内の高校の同窓生でした。
卒業後に付き合いを始めて内縁の夫婦となり、
詐欺事件を起こして指名手配されます。

松永の風貌は一見すると優しそうで人畜無害なんですが、
とにかく口がうまくて呼吸するように嘘をつく。
巧みな弁舌で人を騙し、そこに暴力もブレンドして人を縛り付け、
自分の意のままに操ってしまう。

純子を意のままに操った松永が、
次にターゲットに選んだのが彼女の実家でした。

松永は純子を使って、緒方家に入り込みます。
緒方家の家長、純子の父が、
「プライドが高く」「世間体を気にする」タイプでした。

当時、純子の父は、農協関連団体の副理事というポストにいて、
それでも満足せず理事長の座を虎視眈々と狙っていたそうです。
3人の副理事によるポスト争いは激しかったそうですが、
中でも一番の有力候補でした。

社会的立場もあってお金も持っている。
それでいて、人一倍プライドが高く、世間体を気にする、
さらに、理事長のポスト争いをする上でも、
自分の弱みや身内の恥は絶対に周りにばれたくない。
そういう人間であることを、松永にかぎつけられてしまったんですね。

松永は純子をダシに、緒方家の家長である奈緒子の父を操るんです。
「娘さんは僕と一緒に犯罪にかかわっている、ばれてもいいんですか?」
時に酒を浴びるほど飲ませ、時に通電と呼ばれる電極を使った虐待法で
純子の父をどんどん追い詰めていきます。

家族を殺し合わせる

一家の大黒柱がそんな状況に追い込まれていくもんだから、
他の家族も、怖くて松永には頭が上がらない。
そんな家族たちの心理を読んで、全員を奴隷のように操り、
その中で順位をつけて、
密告させあい、疑心暗鬼に追い込み、ついには殺し合いをさせる。

殺し合いをさせる手口も巧妙です。
奴隷カーストの一番下にいる人間は、心身ともにボロボロになり
使い物にならなくなっていきます。
すると松永はこう言い捨てます。
「あいつもうダメだな。俺が帰ってくるまでに何とかしとけよ」

なんとかしとけよ、とはつまり「殺しておけよ」ということなんです。
松永の言うことをきかなければ、今度は自分が同じ目にあわされる、
そんな恐怖から、自分の家族の手をかけてしまう。
異常な状況です。

松永はいたって普通の男

松永はプロレスラーのような大男ではなく、いたって普通の体形、
その辺にいる普通の男なんです。
家族全員で一斉にかかれば、取り押さえて警察に駆け込むことは
十分に可能でした。
しかしそれができないくらい、心の底まで松永に支配されていたんです。

結局この事件で7人もの人間が命を落としました。
恐ろしいことに、松永は一切手を汚さず、全て家族同士で殺し合わせて
遺体の処理までさせました。

松永太はサイコパス、まさに稀代の殺人鬼です。
こんな人間めったにいないでしょう。

しかし全くいないという訳じゃありません。

あなたが、人一倍プライドが高く、
世間体を気にするという自覚があるなら、改めるべきです。

こんな悪魔のような人間に、それをかぎつけられ、
そうした性格を利用されるような状況になってしまったら…
次に命を落とすのは、冗談抜きであなたかもしれません。

この事件はたまたま発覚しましたが、
僕はこんな事件は、いまこの瞬間も、日本のどこかの田舎町でひそかに
起こってる気がするんです。

…ということで、怖い話を書いちゃってごめんなさい。

見栄やプライド、世間体は人生において足かせにしかならないんです。
自覚がある人は、早めに捨てる努力をしましょう。

最後に一つ…
2021年1月時点、松永太の死刑はまだ執行されていません。





これでまた、栄養(本やマンガ)摂れます!