母にプレゼントしたエプロンのことをふと思い出しました
8年前に他界した母は、
ぼくと違ってホントに物欲のない人でした。
実家は千葉県外房の小さな港町、
べつに着飾る必要もないし、
高価なアクセサリーなんてつけてても、
干物をさばるにはジャマです。
あ、うちは干物屋さんでした。
毎日、毎日、くる日もくる日も、父と母はアジをさばいていました。
ボロボロのエプロン
あれは小学校時代だったでしょうか。
買い物帰り、母と一緒に海岸沿いを歩いていました。
その時、物持ちがいい母のボロボロのエプロンを指さし
「エプロン ボロボロだね」と言いました。
すると母は少し笑って
「ボロは着てても、心は錦よ」と笑って言いました。
心は錦。
当時はよく意味がわかりませんでしたが、
あとになって、
母の生きざまをみるにつけ、よく分かるようになりました。
いつも笑顔で怒ったところをほとんど見せず、
実家の商売が傾く中で、父を責めたりせず、
正月に帰省し、自分の部屋を開けると
灯油ストーブがちゃんと置いてあり、
寝る時には湯たんぽを作ってくれました。
気づかいの人でした。
ある時、子供の頃に見たボロボロのエプロンを思い出し、
無印良品で黒いエプロンを買い、母にプレゼントしました。
せいぜい2000~3000円のものだったと思いますが、
母はとても喜んでくれました。
その後、帰省するたびに洗濯されたエプロンを見ました。
こいつもボロボロになるまで使う気なんだろうな。
そう思いました。
物持ちの良さは、死ぬまで変わりませんでした。
今でも無印良品に立ち寄り、
エプロンを見ると、母のことを思い出します。
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