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おばあちゃんのから揚げ

記憶は美化されるもの。

よく聞かれる言葉です。
でも、これはホントに美味しかったなあと
記憶しているのが、タイトルに書いた。

おばあちゃんのから揚げです。
以前、note EXPOの時に書いた、母方の祖母です。

終始おだやかで
やさしい人でした。

僕と違って欲も少なく、
黒いラジオと図書館から借りてきた本があれば幸せな人。

「頭と手を動かせ」

弟は祖母が言ったことをよく覚えていて、
そんなことをよく言っていたそうです。
もう40年近く前ですが、先見性のある言葉ですよね。

いま僕や弟がしていることが、まさにそれですから、
頭で考えているだけじゃ意味がなくて、
手を動かして文章を書く、弟の場合はスマホアプリのコードを書く、
そんな風にして暮らしを立てています。

料理が上手な人でした

中でも特に美味しかったのが「鶏のから揚げ」です。

東京って美味しいもの多いじゃないですか、
だから幼い頃に食べた物の『自分最高ランキング』って
上京した後、だいたい東京で塗り替えられるんですよ。

田舎のお蕎麦屋さんのカレーは
ココイチにあっさり失神KOされ、
そのココイチはオーベルジーヌにマウントを取られ
フルボッコにされる。

亀田病院(鴨川市)の食堂で食べた
なんちゃってカルボナーラは、
近所にあるダイニングバー
おーどぶるハウスのカルボナーラに完全試合を食らう。
いっそ清々しいほどの負けっぷり。

オ・・・オラが田舎でせっせと食べた
思い出の味が、次々と東京に敗れていく・・・!


サンドイッチも、トンカツも、焼肉も、寿司も、
誰一人勝てない・・・。

その中で、唯一、
今後も絶対無敵であろう食べ物が
おばあちゃんが作ってくれた『鶏のから揚げ』です。

醤油とショウガ

とにかく茶色でした。
おそらく片栗粉はさほど使ってなくて、
醤油とたっぷりのショウガを使っていたんじゃないかな?
・・・と想像しています。

衣は薄くて
サクサク食べられる。

美味しそうに食べる僕たちを
祖母はいつだって、ニコニコと笑ってみていました。

野山を歩いて山菜を取るのが好きで、
ちょっと早口なんだけど、全然嚙まなくて聞きやすい。

今も覚えているのは、
小学校低学年の頃、おばあちゃんの家に泊まったある日の夜。
いつもの昔話が終わって、寝ようとしたら、
ふと胸にこんな思いが湧き上がってきました。

「おばあちゃんもいつか死んでしまう」

そう思ったら、
涙が後から後から流れてきました。

「死なないで欲しい」

そんなことは絶対ムリなのに、
思った記憶があります。

それなのに、
ガンに冒され、余命いくばくもない おばあちゃんの
「兄弟 仲良くね」の言葉にうなずけなかった僕。

寂しい思いをさせたまま
あの世に旅立たせてしまった。

そんな後悔の針が、
今も心に刺さっています。

おばあちゃんごめんよ。

どうして、鶏のから揚げの話から
こんな話になってしまったのか。
話を元にもどそう。

大事な人の大事なレシピ

そんな、
世界に一つだけのレシピ。
みなさんはちゃんと聞いておいてくださいね。

味は記憶に “色” をつけてくれます。
その料理を噛みしめるたびに、
より鮮やかに、
大切な人との宝物のような記憶がよみがえってきます。

僕はずっと
あの日のから揚げを探しています。

不出来な孫でごめんなさい。

天国で教わろうっと。




これでまた、栄養(本やマンガ)摂れます!