見出し画像

ワーケーションのリスタートに向けて

緊急事態宣言が解除され緊張や不安も持ちつつも徐々に人や街が動き始めました。企業も以前のようにオフィスへ社員を集めることは慎重で、テレワーク、リモートワークを継続させているところも多いかと思いますし、出社したとしてもこれまでのオフィスとは異なる使い方が必要になってきます。

また働いている人たちもテレワーク、リモートワークで仕事ができることは実感しつつもずっと在宅ではしんどいということも感じたり、移動への欲求も高まっているのではないでしょうか。そういった意味で、Go Toキャンペーンの評価はさておき?6月以降は徐々に地域での観光もリスタートしていくでしょう。

都市部ではソーシャル・ディスタンスを保ちつつ、(現状では国内移動に頼らざるを得ない)地域への観光を振興していきたいという中で改めてワーケーションも注目されると思います。

改めて日本でのワーケーションを考える中でワーカー、企業、地域の関係は↓このようにまとめられると思います。

スクリーンショット 2020-05-27 7.28.00

※参考:天野宏(2018)「ワーケーション:和歌山県から 提案する新しい働き方と 地方創生の形」ESTRELA 2018年6月(No.291)

企業は社員に対して休暇や研修のための制度としてワーケーションを設定しますが、企業が地域に期待するのはオフィスから離れたことで可能になる組織開発や人材開発、また新規事業などの価値創造、地域での社会貢献やCSRやSDGs活動などでCSV(Creating Shared Value)と位置付けることもできると思います。

それではワーケーションを行う地域の魅力はどのように構成されるのでしょう。ワーケーションを行う地域の魅力を構成する要素には、ホテルやコワーキング・スペース、インターネット環境や交通手段などを含む「施設・設備」、および名所やアクティビティのための「観光資源」、そして、自治体や団体などそれらの開発や広報など「促進主体」の3つの要素があって、これらの要素が相互作用することでワーケーションを実施する地域の魅力となります。そして、このような地域の魅力を提示することで、企業に対しては観光やコラボレーションなど地域創生における経済的な面の、またワーカーに対しては関係人口として期待します。

(多くの場合、社員である)ワーカーは多くの場合、会社における制度を活用しつつワーケーションを行い、家族との時間を持ったり、温泉で身体を休めるなどリトリートとして、あるいは自分のスキルを高めたり、サーフィンや登山などアクティビティ、ボランティアなどを集中的に行うなど没頭体験(flow experience)を期待します。

これからは移動や滞在が密になるのを避けるために一斉休暇というよりも、ローテーションで社員に休暇をとってもらいつつ、リモートで仕事を行うことでオフィスの密度を下げるようにする施策が企業には求められるかもしれません。そうした中で地域にとっても閑散期を埋めるためのワーケーションではなく、継続的なワーケーションに向けて、これまでとは少し異なるワーケーション施策が必要になってくると思います。

サポートいただくと励みになります!