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1-2 教材が備えるべき要素

適切な教材は、捉えにくい外の世界をその子どもに合った形で伝え、働きかけた結果を明確にフィードバックしてくれます。ここでは、教材が備えるべき要素について述べます。
■シンプルさ
・教材そのものが、何をすれば良いのか課題を明確に示している。
・子どもが自分自身で取り組みながら新しい事柄を発見していけるように、それぞれのねらいが特化されている。
→単純で捉えやすいことが重要です。
■手ざわり
・表面がツルツルしている。
→触覚過敏の方には特に必要な配慮です。
■重さ
・重力が下向きという方向性を示してくれる。
・重さにより持っているという実感が生まる。
→何かを穴に入れるという場合でも、重さがあるものは穴に引っ張られるように入っていくので、運動の手
  がかりとなります。
■明確なフィードバック
・子どもが働きかけた結果を途切れることなく教材から正確に受け取れるように振動・音・光・風などわかり
やすいフィードバックがある。
・ボコボコやカチッというような身体に響くフィードバックは特にわかりやすい(固有覚フィードバックや筋運
 動感覚フィードバックという)。
→わかりやすいフィードバックは、もっとやりたいという能動性を引き出します。
■はっきりとしたコントラスト
・教材自体が背景から際立って焦点化されていたり、操作する目標がハイコントラストでわかりやすく示され
ている。
→提示するときの背景を黒色などで整理することが必要です。
■面
・面はたどれる。自分と目標の物や場所を連続的につなぐ空間的な手がかりである。
・面は物を滑らすことができる。物を上から押し付けながら動かすことができるので、操作を援助する役割
もある。
→何かを穴に入れるという場合でも、面を滑らせて上から落とし込むという操作は比較的やさしいです。
■枠
・枠により「ここ」という場所が明確になり空間が捉えやすくなる。
・操作中に部品がはみ出さないためのガードレールの役割を果たす。
・課題が難しい場合、枠をつけることでできるようになる場合がある。
→枠をつけることにより感覚や運動の制約がある子どもも取り組める課題が広がります。
■ガイド
・方向を示してくれる。
・はみ出さずに、目標までたどり着くことができる。
→ガイドをつけることにより感覚や運動の制約がある子どもも取り組める課題が広がります。

■面とり・あそび(ブカブカ)
・部品の面とりがしてあると穴などに引っかかることなくスムーズに入るため操作しやすい。
・ブカブカだと簡単に入り、ぴったりだときちんと合わせないと入らないなど、穴のあそびを調整することで、
操作の難易度を変えられる。
→面とりをしたり、あそびをつけることにより感覚や運動の制約がある子どもも取り組める課題が広がります。
■大きさ・長さ
・子どもの手指に合わせて調整する。
・肩幅以内にあるものが操作しやすい。
→穴に入れる教材の場合、探索を引き出すためには穴と穴の距離は最初は狭く、次第に大きくしていくと良いです。
→教材を大きくし、片手では持てない状況を作り出すことで両手の協応を促せることがあります。 
■固定
・操作時に教材が動いてしまわないように安定させる。
→固定するには手で支えるだけでなく、教材の裏にシリコンの滑り止めクッションをつけたり、机上に滑り止
 めシートを敷くと良いです。
■抵抗
・抵抗を大きくし、片手では操作できない状況を作り出すことで両手の協応を促せることがある。 
■教材の横のバリエーション
・その子どもが今できる段階の教材のバリエーションを用意する。
→段階が同じ物をたくさん経験することによって次の段階へ行く土台ができます。
■同じ教材で縦のバリエーション
・同じ教材であっても提示の仕方を変えることで、段階の異なる課題を設定できる。
■明確な始点と終点
・始点と終点を明確にすることで教材の輪郭を際立たせ捉えやすくすることができる。
・特に終点を明確にする必要がある。
→始点と終点が明確になると「こうかな?」「ああかな?」という予測と「やっぱりそうだった!」という確か
めが可能になります。予測と確かめは外の世界を探索し発見し広げていくための土台となります。
■手の操作に合わせた工夫
・同じ課題でも取り組みやすいように操作を助ける工夫がある。

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