教材作成備忘録 “文字盤”
「SHJ学びサポート」の生徒さんに以前から枠付きの指でポインティングできる文字盤を作成していましたが、今回は車椅子をリニューアルするのに伴い文字盤もリニューアルすることになりました。この方は、やり取りするのに主に「指差し文字盤」とトーキングエイドを使用しています。
今まで納品してきた歴代文字盤は以下の通りです。枠により「ここ」という場所が明確になり空間が捉えやすくなります。具体的には、目標場所がはっきりしてポインティングしやすい、ポインティングした場所が明確で支援者も読み取りやすい、そして文字配列の空間的な位置関係を触覚的に把握しやすいなどのメリットがあります。今回の生徒さんも以前は、確か枠なしの印刷された文字盤を使用していたと思います。枠付き文字盤は、障がい児教育の現場では古くから使われてきました。枠があるだけで、なんだか“ワクワク”してきます。
ご本人にとって声に代わるのが文字盤ですので、初期に納品した文字盤は年季が入っています。たくさん使ってもらい嬉しいです。
算数の学習時に使う数字専用文字盤。位取りがわかりやすくしてあり、数の上にはタイルが集まり棒になり、棒が集まり面になりという手がかりが付いています。点から線、線から面です。実は1000の位の上には「面から立体」にあたる立方体があったのですが持ち運びに邪魔だったので外してあります。
これはアルファベット文字盤。パソコン入力の学習用のキーボード配列のものもあります。
これはローマ字学習用。アクリル板にアクリル棒を使って作り耐久性を向上させました。
これもアクリル棒の枠のもの。
さて、今回依頼があった文字盤は、車椅子テーブルに突き出した書見台(下写真)に取り付けられるように作ります。
・取り外しもしたいとのことなのでバックルで固定できるように作ります。このアイデアに行き着くまで一週間かかりました。
・まず文字盤の配列をワードで作ってプリントアウトしてラミネートします。
ご希望の文字配列はこんな感じです。
・ラミネートは、反射しないように艶消しのものを使います。
・外枠をつくります。木ネジが効くように今回はやや厚めの6mmシナともしんを使用。5mmの枠をつけてサンダーで面取りから研ぎ紙やすり150でやすりがけします。枠のところだけ、黄色で塗ります。水性ペンキを一回塗って、500番で塗面をやすりがけそして2回目の塗装。
・耐久性を考え枠はアクリル板で作ることにしました。アクリル板も反射しない艶消しのものを使います。厚さは2mmで十分かな?
・ただ文字毎の枠作りが少し大変です。蛍光アクリル角棒をアクリサンデーでつけて行きます。
・まずはベースとなる横棒を接着。そのあと間の縦棒を一個一個埋めて行きます。
結構大変。アクリル角棒の切断はカッターで線を入れてパキッっと折る方法を採用。
・アクリル板を枠に固定します。
・縦の枠が途中ですが、文字盤部分はこんな感じ。
・次に固定部分作成。写真のようにベルトが通るように溝を彫ります。今回は丸のこをずらして行きながら彫ってみました。ここに幅2cmベルトを固定です。
・裏はズレないように、滑り止めと角材でガイドをつけます。これでバックルを留めてベルトを引けばガチッと固定できるはずです。
・サンダーで面取り、空研ぎ紙やすり150番でやすりがけして水性ペンキで塗装し、滑り止めを貼り、バックルベルトを通して固定部分完成。
・文字盤部分と固定部分を両面テープとねじでくっつけて完成です。
・納品日当日。前から見ると大丈夫そうですが・・・・・・
・後ろから見ると・・・・・・なんと微妙に合わない!!!!!
・その場でハンドサンダーで削ってみましたが追いつかず、結局お父様に車椅子のアクリル板を削っていただき見事ぴったりに!お父様に感謝。
・毎回オーダーをいただくたびに、新たな工夫が生まれ自分の支援のポケットも増えていく実感があります。今回も楽しく作成することができました。良い機会を与えてくれた生徒さんとご家族に心より感謝しております。
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