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3-1 スケジュール提示版    日常生活を自ら組み立てる基礎に

目次通りではないですが、まず最初に揃えたいものから紹介します。

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■教材名
スケジュール提示版◎
■ セット内容(大きさmm)
・提示台(幅450/奥行き60/高さ60)                                                                  ・半実物カード(幅100/奥行き100/高さ10)  
■ 課題
 半実物カードを見たり触ったりして予定を確認する。
■ ねらい
・活動の見通しを持つ。
・活動を選択する。
■ 特徴
・半実物カードなので見ても触ってもわかる。
・黒で背景整理してあり見やすい。
・カードはマジックテープで着脱可能
・文字の手がかり付き

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■ ポイント
・教材に取り組みながら獲得した概念が日常生活の土台となります。そして、日常生活はその子どもなりの 方法で、今持っている力を十分活用しながら組み立てていくことが重要です。
・まず必要なのは人、場所、活動、時間の手がかりの提示です。子どもの今ある分かる力に合わせ日常生活のあらゆる場面で見通しを持てるようにします。何故ならば、見えにくさや聞こえにくさがあり、さらに注目したいものに顔を向けることや手を伸ばして触ってみることができない場合、隣に誰がいるのか、今どこにい
るのか、これから何をするのかなど、状況を把握するために必要な情報を得ることができない(情報障がい)可能性があるからです。その結果、子どもたちは本来持っているわかる力を発揮できず、見通しの持てない世界の中で、常に不安で防御的になっているかもしれません。また、情報が得られないため、何について話しているのかなどのやりとりの前提となるイメージの共有も困難になります。このような状態にあると、状況の変化に対応した行動が起こせないうちに、他者によって活動が進められてしまうことも多くなります 。
・直前に予告(①)することは、予告した活動とのタイムラグがなくわかりやすいです。そのため、まずは直前の手がかりを提示することから始め、1日の流れ(②)、そして1週間、1ヶ月とつなげていくと良いです。活動の手がかりを並べることで時間軸が生まれ時間の流れの見通しにつながります。
・いつも同じものが同じ場所に設置してあると見つけやすいため、教室の物の位置を固定すると良いです(③)。

①直前の予告
トイレ・食事・水分など関連のある実物で予告。                                                    袋に入れていつでも提示できるように携帯する。

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②スケジュール表示
1日の流れを常に確認できるように車椅子のテーブルに設置。活動が終了したら脇にあるボックスに入れる。

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③物の固定
姿勢保持のうつ伏せクッション、ケアに必要なもの、スケジュール表示、本、植物、ペットの水槽など。背景整理して見やすくすることも忘れずに。

図21

・わかりやすい手がかりの一つとして「色」が挙げられます。脳性まひなど脳への損傷による運動障がいがある場合、見えにくさも脳損傷に起因する可能性が高いことが指摘されています(同時に眼球や視神経が原因となることも多くあります)。このような場合にも、色はよく見えて手掛かりとして有効です。特に赤色や黄色を好んで見るという報告もあります。色をわかる情報として使うことで、様々な支援のアイディアが生まれます。具体的には以下の通りです。

○人の手掛かり
・支援者が常に同じ色の服を着る。
・支援者が鮮やかな色の腕飾りをつける(④)。
・メインティーチャーが目立つ色のベストを着る。
○場所の手掛かり
・エレベーターから降りた時に何階にいるか分かるように色の手がかりをつける(⑤)。
・遠くからもわかるように自分の教室前に鮮やかな色の大きな布を吊るす(⑥)。
○活動の手掛かり
・カップやスプーンはその子どもがわかる色のものにする。
・活動ごとにテーマカラーを決め、その色の布を活動中や一日のスケジュールの提示に使う。さらに、より見やすくするためには、背景を整理することや縞模様などでコントラストをつけることも効果的です(⑦)。また、布などある程度大きさのあるものは、視野の制約がある子どもにも見える可能性が高く有効です。さらに、天井にも色の手掛かりをつければ、車椅子のリクライニングで上向き姿勢が多い方にも見やすいでしょう。教室に入ってから初めて自分の教室とわかるのか、それとも遠くから自分の教室がわかり、友だちや先生、そしてその日の活動に想いを馳せながら教室に向かうのか。見通し、安心感、期待感の点でどちらが子どもたちにとって適切な環境であるかは明らかです。また、予測と確かめ、つまり「あの色布の辺りは自分の教室かな」と遠くから予測し、到着後「やっぱり自分の教室だった」と確かめることは、見通しをもって生活する力や論理的思考力の基礎となります。
このように日常生活の文脈の中で、わかる手掛かりを活動に結びつけることができれば、さらに進んで活動の選択も可能にします。常に他者に活動が進められることの多い障がいの重い子どもたちにも、能動的な日常生活の組み立てが可能になります。

④人の手掛かり

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⑤階数の手掛かり

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⑥教室の手掛かり

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⑦背景を整理して提示したスイッチ(左)やスイッチ部を縞模様にした音声を出力するコミュニケーション機器

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