[2024/05/08] 往復書簡-インドネシア映画縦横無尽 第80信:音楽を通してみつめる家族のあり方~新作映画『グレン・フレッドリー ザ・ムービー』より~(横山裕一)
~『よりどりインドネシア』第165号(2024年5月8日発行)所収~
轟(とどろき)英明 様
レバラン(断食明け大祭)の長期休暇も終わり、4月下旬からジャカルタも通常の日常に戻っています。これに伴って、新作のインドネシア映画も再びボチボチとではありますが公開され始めました。レバラン後に最初に劇場で鑑賞したのが、『グレン・フレッドリー ザ・ムービー』(glenn fredly The Movie)です。グレン・フレッドリーは類い稀なる美声と音楽センスを持つ男性シンガー・ソング・ライターで、インドネシアを代表する歌手の一人でしたが、4年前に44歳で早逝してしまいました。その彼の生涯を描いたのが同作品です。
今回はこの作品を通して、グレン・フレッドリーが音楽を通して求め続けた家族のあり方、辿ってきた道について話してみたいと思います。作品の監督はグレンの親友の一人でもあったベテラン俳優のルクマン・サルディで、家族や知人友人から収集した膨大なグレンの実話をもとに制作されています。
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