代表取締役としての自分が人生から分岐してきた話①
小説家の平野啓一郎さんが提唱している「分人主義」という概念があります。
たった一人「本当の自分」がさまざまな仮面(ペルソナ)を使い分けて生活している、という考え方”ではなく”、対人関係ごと環境ごとに分化した異なる人格がある、という考え方です。
この概念は少し前から知っていたのですが、「まぁ確かにそうだよなぁ…」くらいにしか思っておらず、今もまだ本も読めていません。
しかし、独立して4年目、立ち上げた会社(株式会社ロックスパーク)が少しだけ軌道に乗ったいま、唐突にこの概念が頭のなかを駆け巡るようになりました(本を読んでいないので合っているのかわからないけど)。それについて、頭のなかを整理する意味合いで書いておきたいと思います。
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僕は走ることが大好きで、それに携わる国内最大手の企業に新卒入社し、4年目には地元の事業所の立ち上げ、所長も経験。計7年半勤めた後に独立しました。営業・事業のポジションで、会社のサービス営業をしたり、市民マラソンイベントの企画や運営をすることが仕事の中心でしたが、地元の事業所立ち上げを任せていただいたこともあり、”いかに地域に根差してやるか”を常に考えていました。これが高じて独立に至ったわけです。
完全にノープランで独立したため暗中模索でしたが、2年目に法人化し、現在は売上も大きくなり、栃木県内での業界認知度も上がってきました。独立当初は、前職時代にやっていたことから少し離れようと思っていたのですが、3年経って結局同じ領域に戻ってきました。ただ、”地元で市民マラソンやランニングに関する仕事をして、地域に貢献する”という想いが、独立当初や、子どもの頃から描いていた根源的なものになるので、戻るべくして戻ってきたし、これで良いのだと思っています。
簡単に経歴を振り返りましたが、僕はこの子どもの頃から大好きだったことや想いを”仕事”にしたことになります。趣味やボランティアではなく仕事であり、株式会社を立ち上げたことも含め、競争もあれば利益も上げなければいけません。そうでないと、そもそも自分が生活できなくなってしまいます。
逆説的に言うと、地域×市民マラソンの価値を探求し続ける、発揮し続けることが会社としての役割だし、それができれば株式会社ロックスパークを続けることができます。
さて、最初は「走ることが大好きな松嶋少年」が主語でしたが、最後は「株式会社ロックスパーク」が主語になってしまいました。つまり、松嶋少年が大好きだった走ることや、地元や地域への想いは、突き詰めていった結果、株式会社ロックスパークと化したのです。そして、株式会社になったということは、僕自身からは分化しているわけです。
「ようやく松嶋本体から切り離すことができた」。これが、ここ最近唐突に湧いてきた感情です。
中学生から陸上競技部で長距離をはじめ、高校生くらいからは生活のほとんどを占めるようになり、競技者ではなく仕事に変わりつつも、今日まで間違いなく自分の中心に鎮座しているものでした。逆に考えると依存していたとも言えます。
分化したからこそビジネスとして、そして会社の理念として突き進んでいける。”マラソン(自転車)×地元・地域”を突き詰めていく以外の私情を、この会社で考えなくてもよくなる。これは本当に大きいです。
つまり、僕の中心にあるままだと、僕のその他の感情が、株式会社ロックスパークの事業推進を邪魔しちゃうんですよね。実際、法人化してからこれまでは、”自分が創った会社”というイメージが強すぎて、僕の想いや理念をすべて詰め込み、まっとうするための器だと考えてしまっていました。
株式会社ロックスパークの事業を推進するうえで、僕の感情からすると正しくないことや矛盾はどうしても発生してしまう。これを、”株式会社ロックスパーク代表取締役の松嶋”なら限りなく無視できる。でも、正しくないと思っていることや矛盾がなくなるわけではなく、違う松嶋がちゃんと持って生きている。
超相対性理論というポッドキャストで”「Aではないと思いながら(理解しながら)Bをやる」ことの大切さ”が説かれていましたが、まさにこれだと思いました。
もし、”株式会社ロックスパーク代表取締役社長の松嶋”ができないことが発生したら、会社でやるのではなく、違う松嶋がやることにすればいいのです。ただし、これは決して甘えにしてはいけないと思っています。むしろ、株式会社ロックスパークでやること、できることをより突き詰めることになるだろうし、もしこの会社でできることがなくなったり、必要とされなくなったら、会社とこの仕事をする僕を畳まなくてはいけません。
少年時代からずっと根幹にあり、その延長線上に発生した本業としての地域×ランニングは、株式会社ロックスパーク代表取締役がひとつの到達点だと思っています。そして、これをいかに大きくし、長く継続できるかが僕のなかのひとつの道です。そして、今までの人生では間違いなく中心にあったものでしたが、他のいくつもの松嶋に分岐したうちのひとつになります。むしろ、今は意識して分岐させるべきだと思っています。
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”株式会社ロックスパーク代表取締役”のことだけでこんなに書くと思っていなかったので(笑)、続きは分けて書きたいと思います。
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